賃上げに関する意識調査
2024年、年収の希望賃上げ率は平均7.2%に対し、
実際の予想賃上げ率は平均3.0%。賃上げの希望と予想に乖離あり。
家計が楽になったと実感するのに必要な年収の賃上げ金額は、平均300,225円*1
※1:賃金(基本給または年収)が上がった人の中で「給与が上がっても生活・家計が変わらない/苦しくなった」と答えた人(851名)における平均金額
世界No.1求人サイト* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、以下Indeed)は、20歳~59歳の正社員の男女計2,400名を対象に、「賃上げに関する意識調査」を実施しました。本調査は、継続的な物価高と人手不足感から2024年の春闘では2023年を上回る水準の賃上げが求められる中、働く人々の賃金上昇に対する意識と実態を明らかにするために行いました。
*出典:Comscore 2023年6月総訪問数
◾️調査結果 主要ポイント
- 2023年は、正社員就業者の期待賃上げ率の平均は、年収で+3.9%(基本給では+3.2%)であったのに対し、実際の賃上げ率の平均は年収で+1.0%(基本給では+1.1%)となり、実際の賃上げ率が期待を下回る結果となった。
- 2024年は、正社員就業者の希望賃上げ率の平均は、年収で+7.2%であるのに対し、実際の予想賃上げ率の平均は年収で+3.0%。希望と予想には乖離があり、就業者は希望するほどの賃上げに期待が持てていない傾向。
- 給与が上がっても生活・家計が変わらない/苦しくなった人が「生活・家計が楽になった」と実感するために、最低限望む賃上げ額は平均で年間300,225円※1。
◾️調査実施の背景
2023年の春季労使交渉(以下、春闘)による民間主要企業の賃上げ率は3.60%※3と1994年以来、29年ぶりに3%を超える高い賃上げ率となりました※4。2023年に賃上げを実施した企業は過去最大の84.8%にのぼるという調査結果※5もあります。
2024年の春闘が1月末から事実上スタートし、日本労働組合総連合会(連合)や産業別労働組合等からは2023年を上回る水準の賃上げ要求が打ち出されています。春闘を待たず2024年の賃上げを表明する大企業も相次ぐ中、春闘の賃上げ率は、継続的な物価高や人手不足による労働需給の逼迫等の影響を受け、2023年を上回る水準になると予測※6されています。
本調査は、このように賃上げに対する社会的な機運が高まる中、就業者の賃上げに対する意識や実態を明らかにすることで、就業者に有益な情報として活用いただくとともに、雇用主である企業の賃上げ検討においても参考にしていただきたいと考え、実施いたしました。
※3:厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」2023年8月
※4:厚生労働省「民間主要企業における春季賃上げ状況の推移」
※5:東京商工リサーチ 2023年度「賃上げに関するアンケート」調査 2023年8月
※6:公益社団法人 日本経済研究センター ESPフォーキャスト1月調査
◾️調査結果詳細
【賃上げの期待と実態】
<2023年の賃上げの期待と実態>
1. 賃金が上がった人の割合
2022年より2023年の賃金が上がった人の割合:基本給40.5%、年収36.1%
20-59歳の正社員 男女2,400名に、2023年の基本給および年収が2022年と比べてどう変化したかを尋ねたところ、「上がった・増えた」と答えた人が基本給で40.5%、年収では36.1%となりました。
基本給、年収が「変わらない」と回答した人は、それぞれ53.9%、51.6%となっており、「下がった・減った」人と合わせると約6割の人は賃金が上がっていない結果となっています。
また、賃金(年収)が上がったと回答した人(866名)に対して、賃金が上がった理由を尋ねたところ、1位「自分のパフォーマンス・成果が評価されたから」(45.1%)、2位「勤続年数に応じた自然昇給(毎年決まった額が上がるなど)があったから」(43.3%)、3位「会社の業績がよかった・上がったから」(42.3%)と続き、個人の実績や状況、会社の業績を要因とした賃上げの割合が高いことが分かりました。一方、「社会的な賃上げ機運の高まりを受けて」(35.2%)や「物価高を受けて」(30.9%)、「春闘(集団的な賃金交渉)があったから」(21.4%)といった賃金に影響を与えうる社会的な動きを要因とする回答は、それぞれ4割以下という結果でした。
2. 賃上げへの期待と実態
2023年の期待賃上げ率(平均) :基本給+3.2%、年収+3.9%
2023年の実際の賃上げ率(平均):基本給+1.1%、年収+1.0%
2023年の収入がどの程度上がることを期待していたかを尋ねた結果、期待賃上げ率の平均は基本給で+3.2%、年収で+3.9%でした。
一方、2022年と比べた実際の賃上げ率(増加/減少割合)を尋ねたところ、全体(2023年の賃金が上がった人、変わらない人、下がった人全てを含む)の平均は基本給で+1.1%、年収は+1.0%となっています。期待していた賃上げ率と実際の賃上げ率には、基本給で‐2.1ポイント、年収では‐2.9ポイントの差があり、期待ほどの賃上げが実現されなかった実態がうかがえます。
なお、2023年に賃金が上がった人のみにおける平均賃上げ率は基本給で+4.1%、年収で+5.7%となりました。
企業規模別、2023年の実際の賃上げ率
大企業 :基本給+1.6%、年収+1.5%
中小企業:基本給+0.9%、年収+0.6%
就業者が勤務する企業規模別※7に見ると、2023年の実際の賃上げ率の平均(2023年の賃金が上がった人、変わらない人、下がった人全てを含む)は、大企業に勤める就業者では基本給で+1.6%、年収で+1.5%でした。それに対し、中小企業に勤める就業者では、基本給で+0.9%、年収で+0.6%で、大企業と比較して基本給で-0.7ポイント、年収で-0.9ポイントの差となりました。中小企業では大企業よりも賃上げ率が低いことが明らかとなりました。
なお、2023年に賃金が上がった人のみにおける企業規模別の賃上げ率の平均は、大企業に勤める就業者では基本給で+4.2%、年収で+6.0%、中小企業に勤める就業者では基本給で+3.9%、年収で+5.5%でした。
※7:大企業は従業員数(アルバイト・パートを含む人数)1,000人以上、中小企業は1,000人未満と定義
<2024年の賃上げの希望と予想>
3. 賃上げを予想する人の割合
2024年に賃金が上がると予想した人は6割以上(基本給67.3%、年収67.0%)。
2024年の予想賃上げ率を尋ねたところ、具体的に予想賃上げ率を回答した人の割合は、基本給では67.3%、年収では67.0%にのぼりました。2024年は、基本給・年収ともに6割以上の人が賃金が上がると予想しています。
一方で、「そもそも賃上げをしないと思う」と回答した人は基本給で32.7%、年収では33.0%でした。
4. 賃上げ率の希望と予想
2024年の希望賃上げ率(平均):年収+7.2%
2024年の予想賃上げ率(平均):年収+3.0%
2024年に、どの程度の賃上げを望むかを尋ねた結果、年収の希望賃上げ率の平均は+7.2%という結果になりました。一方、実際の年収の予想賃上げ率の平均は+3.0%という結果になっています。
2024年の年収の希望賃上げ率と予想賃上げ率に‐4.3ptの差があり、希望する賃上げの実現が実際は難しいと考えられている様子が明らかとなりました。
5. 賃上げを望む費目
最も賃上げを望む費目:1位「ベースアップ」(51.5%)、2位「定期昇給」(25.0%)、3位「賞与・ボーナス」(20.5%)
2024年に賃上げを望んでいる人(2,037名)に、賃上げを望む費目・要件を優先度順に回答してもらった結果、最も優先度が高い費目として、全社員の給料水準を一律で引き上げる「ベースアップ」と回答した人が51.5%でした。これは2位の「定期昇給」(25.0%)、3位の「賞与・ボーナス」(20.5%)と比べて、2倍以上の結果となっています。
◾️「賃金に関する意識調査」概要
調査主体:Indeed Japan株式会社
調査対象:現在就業中の20~59歳の正社員(勤務先の従業員規模が2名以上、現在の勤務先の勤続年数が2年以上) 男女計2,400名
割付方法:性別×年代(10歳刻み)×勤務先の従業員規模別に均等回収
補正 :「令和4年就業構造基本調査」を用いて、性年代・従業員規模別の構成比にあわせて補正
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年1月16日~1月19日
※構成比(%)、差分(pt)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や、少数第1位までの計算とは数値が異なる場合があります。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(Indeed Japan株式会社 / 2月26日発表・同社プレスリリースより転載)