外国人留学生/高度外国人材の採用に関する調査
株式会社ディスコ(本社:東京都文京区、代表取締役社長:新留正朗)は、全国の主要企業22,110社を対象に、日本の大学または大学院に留学する外国人留学生の採用実態を中心に、高度外国人材(大学卒以上)の採用や活用、課題等について調査を実施しました。回答企業のうち、高度外国人材の雇用経験・予定のある企業(=高度外国人材雇用企業/回答企業全体の64.4%)の結果を分析しました。
(調査時期:2023年12月11日~12月25日、回答社数:478社)
主な内容(抜粋)
Ⅰ.外国人留学生の採用(新卒)
1.外国人留学生の採用状況
高度外国人材雇用企業のうち、2023 年度(2023 年 4 月〜2024 年 3 月入社)に外国人留学生を「採用した」企業は、全体の 21.8%(3 月までの予定を含む)。過去を振り返ると、採用企業の割合は、2020 年度までは 35%前後が続いていたが、コロナ禍により 21 年度で 10 ポイント以上減少していた。22 年度では増加に転じたものの、23 年度は再び減少。外国人留学生の数自体が戻っていないことも影響しているだろう。
2024 年度(2024 年 4 月〜2025 年 3 月入社)の採用を見込んでいる企業は 4 割近くに上り(39.6%)、2023 年度の実績企業の割合を大幅に上回る。特に非製造業で高い(46.3%)。
2.採用規模と属性
2023 年度に外国人留学生を採用した企業に、採用実績を詳しく尋ねた。まず、採用人数を見てみると、「1 名」という企業が半数強(56.7%)。採用人数の平均は 3.37 名で、前年度(2.97 名)、前々年度(1.90 名)を上回る。採用企業の割合は減少したものの、1 社あたりの採用人数は増加したことがわかる。
最終学歴を見ると、「文系(学部卒)」が最も多く(58.2%)、次いで「理系(学部卒)」34.3%、「理系(修士課程了)」23.9%の順。
外国人留学生が就いた職種を見てみると、製造業においては、「生産・製造・品質管理」が最も多く(34.5%)、「研究・開発・設計関連」(27.6%)が続く。非製造業では「IT・ソフトウエア関連」が 4 割近くに上り(39.5%)、集中している。
3.外国人留学生を採用する目的と求める資質
外国人留学生を採用する目的を文理別に尋ねた。文系・理系ともに「優秀な人材を確保するため」が圧倒的に多く、理系では 7 割を超える(文系 64.0%、理系 73.8%)。文系は「日本人社員への影響も含めた社内活性化のため」「語学力が必要な業務を行うため」がともに 30.6%で続く。多くの企業が、外国人である強みを発揮しながら、社内の活性化など日本人社員への好影響をもたらすことを期待としていることがわかる。
5.2024年度の募集・採用方法
外国人留学生の募集・採用方法を尋ねた。入社後の配属先を「限定せず募集」が約 6 割を占める(59.8%)。採用枠については、「国内の日本人学生と同じ枠で募集・採用」する企業が 8 割を超え(82.0%)、別枠での採用(一部別枠を含む)は 2 割未満(計 18.0%)にとどまる。
7.入社3年後の離職率
外国人留学生の入社 3 年後の離職率を、日本人社員と比較して回答してもらった。「日本人新卒社員と比べて高い」と回答した企業は 17.0%で、「日本人新卒社員と比べて低い」と同率。コロナ禍の影響などにより、2021 年調査で「日本人新卒社員と比べて高い」と回答した企業が大きく増加したが、昨年微減し、今年は大きく減少した。
8.外国人留学生を採用したことによる自社への影響
外国人留学生の採用実績のある企業に、採用したことによる自社への好影響を尋ねた。影響として多くの企業が選んだのは、「グローバル化推進への理解、意識醸成」で 6 割強(64.3%)。「異文化・多様性への理解の向上」(55.4%)、「日本人社員への刺激・社内活性化」(44.6%)が続く。
ビジネス上の直接的なメリットだけでなく、自社の企業文化や社員の意識にも間接的に良い影響をもたらしていることを実感している企業が多いことがうかがえる。
Ⅱ.海外大学卒の外国人材の採用(新卒・中途問わず)
1.海外大学卒の外国人材の採用状況
この章では、日本以外の国や地域の大学・大学院(=海外大学)を卒業した外国籍社員の採用状況について見ていきたい。
高度外国人材雇用企業のうち、海外大学卒の外国人を 2023 年度に「採用した」企業は 22.5%。
2019 年度(25.8%)をピークに減少した後、昨年度 3 年ぶりに増加に転じ、同水準を維持している。2024 年度の採用を見込んでいる企業は 26.0%で、2023 年度の実績(22.5%)をやや上回る。
製造業・非製造業別に見ると、実績・見込みともに、非製造業に比べ製造業の方がやや高い。
3.2024年度の採用施策
海外大学卒の外国人材採用のための施策として最も多かったのは「自社ホームページでの告知」(38.8%)。次点は「人材紹介(エージェント)・アウトソーシングの活用」で、前年より 9.7 ポイント増加。現地に出向くよりは、オンラインやエージェント、ダイレクトリクルーティング等を通して効率的に採用活動を行う企業が多いことがうかがえる。
Ⅲ.高度外国人材共通
1.外国人社員採用の課題
最後に、外国人社員の採用・活用における課題や取り組み、将来の展望などに関するデータを紹介する。
外国人社員の採用における課題で多いのは、「求める日本語コミュニケーション能力を有する人材が少ない」(46.6%)、「社内の受け入れ体制が未整備」(37.6%)など。多くの企業が日本語での高度なコミュニケーション力を求めており、採用のハードルになっていることがこのデータからもわかる。
2.外国人社員活用の課題
外国人社員を活用していく上での課題として最も多いのは「社内での日本語コミュニケーション能力の不足」(51.7%)で、採用の課題同様に、日本語力が最大の課題として挙げられた。「文化や価値観、考え方の違いによるトラブルがある」(37.5%)、「外国人社員を活用できる日本人管理者の不足」(34.8%)が続き、受け入れ態勢や相互理解などを課題とする企業も多いことがわかる。
なお、外国人社員受け入れのために「何らかの取り組みを実施」している企業は 3 割強(34.7%)。「実施していないが、今後は実施したい」企業は 23.4%。実施している取り組みの中で最も多いのは、「外国人社員への日本語コミュニケーション能力の研修」(45.8%)。ここからも、日本語によるコミュニケーションが外国人材活用の鍵と捉えられていることがうかがえる。
《 調査概要 》
調査対象:全国の主要企業 22,110社
調査時期:2023年12月11日 ~ 12月25日
調査方法:インターネット調査法
回答社数:478社
調査機関:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ディスコ/ 1月30日発表・同社プレスリリースより転載)