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ニュース
人事サービス 人事労務・管理
掲載日:2024/01/24

役員報酬サーベイ-2023 Executive Pay Survey

過去最多の969社(日本企業456社・外資系企業513社)が参加。
報酬総額決定においてはグローバル水準や「ジョブ」別の報酬差を意識する企業が増加の傾向

【TOPIC】

  • 売上高1兆円以上の日本企業のCEO報酬の中央値は1億6,300万円であり、報酬構成比率は基本報酬(ABS):短期インセンティブ(STI):中長期インセンティブ(LTI)≒4:3:3である
  • 一方で、概ね売上高1兆円以上企業が含まれる役割の大きさ(ポジションクラス)に限ると、75%ileで2.4~7.9億円を示しており、グローバルを意識した企業等において報酬の高額化が見られる
  • 日本企業では元来「役位」を報酬水準の決定要素として重視する傾向が強かったものの、2023年は従前に比してジョブタイプ(CEO・CFO・CHROといった職務の種類)別での報酬差が生じてきており、役員報酬でもジョブタイプを報酬の決定要素とする「ジョブ型」企業が増えてきたものと推察される
  • 取締役会の監督機能強化に向けて、指名・報酬委員会では社外役員を委員長とする企業が6~8割に達するとともに、社外役員が委員の過半を占め、委員会の独立性は外形的には確保されている。委員会実施回数の中央値は4~5回となっているものの、コーポレートガバナンスの更なる高度化が要求される中で今後は開催時間や回数が増えていくことも想定される。実効性評価においては、取締役会の評価が6割程度の実施割合である一方、個別委員会の評価は3割程度に留まっており、増加傾向にはあるものの監督機能強化に向けて実施割合の更なる向上が期待される


組織・人事、福利厚生・ウェルビーイング、年金・資産運用のグローバルリーダー、マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 草鹿 泰士)は、日本における役員報酬に関する市場調査「Executive Pay Survey(以下EPS)」の2023年版レポートを発表した。

組織・人事変革コンサルティング部門 プリンシパル 役員報酬・コーポレートガバナンス プラクティスリーダーの河本裕也は、今回の結果を受けて今後の企業の取組みの方向性について次のように述べている。

「2023年は、改正開示布令に基づく取締役会、指名委員会および報酬委員会等の活動状況の開示が始まり、また東証から資本コストや株価を意識した経営の促進が要請されるなど、企業価値向上に向けた日本企業の取り組みをコーポレートガバナンス・コードや各種実務指針では到達することのできなかったレベルにまで押し上げようとする動きが目立ちました。一方、我が国がコーポレートガバナンスのモデルとしている英国では直近のコード改訂が小幅なものに留まる予定であり、その改革は曲がり角を迎えています。コードの各原則におけるコンプライ率が軒並み100%近くなってきた日本企業においては、“教科書”通りほぼ満点の対応をするステージから、2024年は改革の本来の目的である「持続的な成長と中長期的な企業価値の向上」に立ち返り、取り組みの「有無」のみならず「巧拙」までモニタリングされるという前提で自社としての取り組みを主体的に進めるステージへと足を踏み出していくことが求められています」

同部門でマネージャーの枝侑加は、昨今の役員報酬・コーポレートガバナンスの傾向について以下のように述べている。

「2023年の役員報酬においては、グローバルに事業を展開する企業を中心にCEO報酬総額を2~8億円に設定しており、一部の企業においてグローバル報酬水準を意識して報酬を高額化する傾向が見受けられます。また、従来日本企業では「役位」を報酬水準の決定要素とする傾向が強かった中、「ジョブタイプ(職務の種類)」の報酬差を加味して報酬総額を決定する企業が増加した点もポイントです。これらは、これまで役員報酬は『従業員報酬の延長線上の報酬水準で、社内の序列である役位を基に設定』という習慣から、『経営者のグローバルマーケットを意識した競争力のある報酬水準で、ジョブタイプの違いに応じた適切な差を有する報酬を設定』へと変化してきていることを示唆しています。コーポレートガバナンスにおいては、総じて施策の整備は進みつつあるものの、実効性評価の取締役会への実施割合が6割・個別委員会への実施割合が3割と依然増加の余地を残しており、各社の監督機能の強化に向けて実効性評価の実施や継続強化が望まれると言えます」

【調査結果ハイライト】

  1. 過去最多となる969社(昨年比169社増、日系456社・外資513社)がサーベイに参加。報酬額決定においてはグローバル水準や「ジョブ」別の報酬差を意識する企業が増加の傾向
  2. 売上高1兆円以上の日系企業のCEO報酬の中央値は1億6,300円であり、報酬構成比率は基本報酬(ABS):短期インセンティブ(STI):中長期インセンティブ(LTI)≒4:3:3である
  3. 日系企業のCEO報酬は、海外企業(米国、ドイツ、英国)に比べ総報酬額では大きく劣後するものの、基本報酬額の差異は抑制的であり、グローバルでの報酬競争力強化には変動報酬額の引上げがポイント
  4. 一方で、概ね売上高1兆円以上企業が含まれる役割の大きさ(ポジションクラス)に限ると、75%ileで2.4~7.9億円を示しており、グローバルを意識した企業等において報酬の高額化が見られる
  5. 日系企業は元来「役位」を報酬水準の決定要素として重視する傾向が強く、「ジョブタイプ(CEO/CFO/CHRO等)」での報酬差は抑制的だったが、2023年はこれまでに比してジョブタイプ別の報酬差がついてきており、役員報酬にも徐々に「ジョブタイプ」を報酬の決定要素とする“ジョブ型”企業も増えてきたと推察される
  6. 社外取締役の報酬も売上高が高くなるほど高くなる傾向。実在者数の一番多い売上高2,500~5,000億円企業では中央値1,200万円、1兆円以上企業(~2.5兆円)では同1,620万円である
  7. 役員報酬のKPIは引き続き多角化しており、財務KPI以外に、非財務KPI・株価関連KPI・個人評価を入れる企業が増えている。個人評価に関してはCXOへの導入が中心でCEOは全社業績への責任を負う観点から見送る企業も多いが、企業価値向上のためには全社業績では測定困難なKPIもあると考えられ、CEOへの個人評価導入も検討に値するものと考える。株価関連KPIに関しては、導入企業は2割程度とまだ少数だが着実に増加している。指標はTSR(株主総利回り)の活用が多く、相対TSRの形で市場・インデックスとの比較型とピアグループとの比較型が同数程度である
  8. 指名・報酬委員会については、社外役員を委員長とする企業が6~8割に達するとともに、社外役員が委員の過半を占め、委員会の独立性は外形的には確保されている。実施回数の中央値は4~5回であるが、更なるコーポレートガバナンスの高度化が要求される中、今後は委員会の開催時間や回数が増えることも予想される
  9. 実効性評価の実施状況は、取締役会に対しては6割程度の企業が実施している一方、委員会に対しての実効性評価は3割程度と抑制的である。取締役会の実効性評価の軸としては、「規模・構成」、「開催頻度・開催時間」、「アジェンダ・資料・プレゼンテーションの質」を挙げている企業が多い
  10. 社外取締役の後継者計画に取り組む企業は約1割である。取締役会の実効性のキーとなるのが社外取締役であること、また社外取締役の人材難がうたわれて久しい状況にあること鑑み、より計画的かつ社外取締役が積極的に関与する形で取組みを進めることが必要と考えられる

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(マーサージャパン株式会社/ 1月17日発表・同社プレスリリースより転載)

この記事ジャンル 給与・賞与・インセンティブ

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