『2023年 生理休暇の実態調査』実施報告
“職場理解あり8割”も取得率は1割 名称と申請先が影響か
キャリアや就職・転職に特化した匿名相談サービス「JobQ」を開発・運営する株式会社ライボ(本社:東京都渋谷区 代表取締役:森宏記 以下「ライボ」)の調査機関『Job総研』は、828人の社会人男女(6:4)を対象に「2023年 生理休暇の実態調査」を実施しました。同調査は生理の体調不良に対する職場理解や生理休暇の取得経験有無、また生理休暇を利用する症状レベル及び、生理休暇の申請先が異性の場合や“生理休暇”の名称による取得のしづらさ、更に生理休暇と出世の関連性などを調査しました。
【生理休暇の実態】
異次元の少子化対策の一環として女性の働き方や仕事と子育ての両立にスポットが当てられる中、政府は、プライム市場上場企業を対象に2030年までに女性役員の比率を30%以上にすることを盛り込んだ女性版「骨太の方針」を決定するなど、昨今働く女性の話題に注目が集まっています。また女性特有の生理による体調不良と、日本企業での生理休暇の低取得率に対して政府でも“普及の提言”に動き出すなどしています。
2020年に公開した厚労省の「雇用均等基本調査」によると、有給の生理休暇を設けている事業所の割合は3割弱に留まっていますが、実際に働く社会人は生理休暇に対してどのような意識を持っているのでしょうか。
そこでJob総研では、生理の体調不良に対する職場理解や生理休暇の取得経験有無、また生理休暇を利用する症状レベル及び、生理休暇の申請先が異性の場合や“生理休暇”の名称による取得のしづらさ、更に生理休暇と出世の関連性などを調査した「2023年 生理休暇の実態調査」を実施しました。
【TOPICS】
- 全体の75.0%が生理による体調不良に「職場理解あり」を回答。生理休暇の取得経験は12.8%
- 生理休暇を利用したい症状レベルは「鎮痛剤が効かずに痛みがある場合」が53.7%で最多回答
- ・生理休暇の申請先が異性だと「取得しづらい」61.9%。利用経験者の76.2%が男性上司に申請
- 「生理休暇」の名称だと取得しづらい77.1%。名称次第で取得しやすくなると思う97.2%
- 生理に体調不良は「出世に関係している」56.9%。「仕事とコミュニケーションの質低下」が上位
【休暇を取る症状レベル】
回答者全体の828人に生理休暇を利用する“症状のレベル(※)”を聞くと、「レベル3」が53.7%で最多回答になり、次いで「レベル4」が20.3%、「レベル2」が17.3%で上位3つの回答結果になりました。これを男女別に見ていくと、「レベル3」の回答は男性が59.0%に対して、女性の回答は46.3%、「レベル4」の回答は男性が12.2%に対して、女性は32.3%と、生理による体調不良が原因で休暇をとるレベルは、男性が思う症状レベルよりも、女性の方が症状レベルが高い結果になりました。
※生理の症状レベル
・レベル1 鎮痛剤を飲まなくても普段通り生活できる
・レベル2 鎮痛剤を飲むと活動ができる
・レベル3 鎮痛剤を飲んでも痛みがあり時々休息する
・レベル4 鎮痛剤が効かず横になる必要がある
・レベル5 鎮痛剤が効かず普段通りの生活が困難
【異性への申請に対する意識】
生理休暇の取得経験があると回答した42人に取得の際の申請先を聞くと、「男性上司」が76.2%が最多回答で、次いで「女性上司」が35.7%、「その他」が16.8%の結果になりました。
また申請先が異性だった場合の意識を聞くと、「とても申請がしづらい」11.9%、「申請がしづらい」16.7%、「どちらかといえば申請がしづらい」33.3%を合算した61.9%が“申請しづらい派”の回答をしました。“申請しづらくない派”38.1%の内訳は、「全くしづらくない」14.3%、「しづらくない」16.7%、「どちらかといえばしづらくない」7.1%の結果になりました。
【生理休暇の名称について】
女性回答者全体の328人に「生理休暇」という名称と休暇取得の関連性を聞くと、名称による取得のしづらさが「とてもある」27.1%、「ある」25.0%、「どちらかといえばある」25.0%を合算した77.1%が名称による取得のしづらさが“ある派”の回答をしました。
また「生理休暇」という名称以外になる場合、取得への意識変化を聞くと、生理休暇と悟られない名称であれば「とても利用したい」24.9%、「利用したい」32.4%、「どちらかといえば利用したい」39.9%を合算した97.2%が「利用したい派」の回答をしました。
【生理の重さと出世について】
回答者全体の828人に生理の症状の重さが出世に関連しているか否かを聞くと、「とてもあると思う」8.2%、「あると思う」17.1%、「どちらかといえばあると思う」31.6%を合算した、56.9%が“関連ある派”の回答をしました。“関連なし派”の回答は43.1%でした。また“関連ある派”を男女別で見ていくと、男性回答は53.5%に対して、女性回答は62.6%になり、女性の方が出世に影響する意識が高い結果になりました。
【ある派・なし派の理由】
生理の重さと出世には関連が“ある派”を回答した471人にその理由を聞くと、「休む印象がついて任せてもらう仕事が変わる」が62.8%で最多回答になり、次いで「仕事のパフォーマンスが下がる」が62.0%、「コミュニケーションなど精神的なパフォーマンスが下がる」が33.1%、「スキルアップのための時間奪われるから」が31.6%で上位4つの回答になりました。
一方“なし派”を回答した357人の理由では、「職場が事情を理解している雰囲気から」が41.5%、「身近に出世している女性がいるから」が40.3%、「上司が事情を理解してくれているから」が27.2%、「生理にそこまで辛い印象がないから」が7.3%で上位4つの回答結果になりました。
【調査まとめ】
今回実施した「2023年 生理休暇の実態調査」では、全体の75.0%が生理による「体調不良に対して職場で理解あり」の結果が出た一方、実際に生理休暇を利用した経験のある女性はわずか12.8%にとどまりました。職場の理解は一定感じるものの、休暇を取るには至っていないことが明らかになりました。この要因の1つとして考えられるのが、異性の上司に休暇申請するケースが多いことも考えられます。これは生理休暇の利用経験者42人のうち76.2%が男性上司への申請を経験していて、内61.9%が異性への申請では生理休暇を申請しづらいと回答していることからもわかります。また「生理休暇」という名称も影響があると考えられ、この名称以外で、生理と認識されない名称になる場合は、97.2%が生理の体調不良による休暇を利用したいと回答していることからも推測できます。
さらに生理休暇を取得する症状のレベルでは、女性回答と男性回答に意識の差が見られました。症状レベル3の「鎮痛剤を飲んでも痛みがあり時々休息する」は男女ともに最多回答だったものの、症状レベル4の回答率は男性よりも女性の方が高い結果になったことから、休暇をとるラインを女性の方が高くおいていることが推測できます。
そして生理による体調不良と出世の関連性では、男女で認識の差がある結果になりました。「出世との関連性がある」の回答では、男性が53.5%に対して、女性は62.6%になり、「生理による体調不良が出生に影響する」認識が男性よりも女性の方が高く捉えている傾向が見られました。この理由として、仕事へのパフォーマンス低下や休む印象がついてしまうなどの回答が上位になりました。
昨今少子化が激進する中、政府は「異次元の少子化対策」の柱に“働き方改革の推進”を盛り込んでいます。同調査のテーマでもある生理休暇の取得は女性の働き方にとどまらず、男性の働き方や会社全体、社会全体の理解も含めて、取り組んでいくことが重要だと感じる調査になりました。
【調査概要】
調査対象者:現在職を持つすべての社会人
JobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件:全国 / 男女 / 20~50代
調査期間:2023年6月7日~6月12日
有効回答数:828人(男性6 / 女性4)
調査方法:インターネット調査
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ライボ / 6月26日発表・同社プレスリリースより転載)