社内イベントの実態調査
多くの企業が社員総会やキックオフ等の「社内イベント」を通して、経営層から一般社員へと企業の方針やビジョンを共有しています。また、このような「社内イベント」は、一体感醸成・モチベーション向上・コミュニケーション促進なども目的としている場合がほとんどです。
では、その目的は果たして本当に達成されているのでしょうか?
社内イベント後に意識向上、そして、日々の行動に変化が現れて初めて、方針やビジョン、会社の想いが"浸透した”といえるでしょう。
本調査では、直近1年以内に社内イベントに参加した会社員500人にアンケート調査をおこない、社内イベントの実態を明らかにしました。
<調査結果サマリー>
- 会場でリアルに参加した社員はその後の社内でのコミュニケーションが増加し、満足度も大幅にアップした。
- 上層部から一方的に伝えるだけでは、社員の心理・行動変容や社内変化にはつながりにくい一方で、ワークショップや社員表彰など双方向の参加型コンテンツが社内変化につながっている。
- 若手社員ほどイベントへの満足度が高く、その後の社内コミュニケーションも増えている。
- ビジョンや方針は、社内イベント後にも意見交換する機会を継続的に設けることによって心理・行動変容や社内変化につながる。
※本調査における「社内イベント」の定義:
社内へのビジョンや方針の共有を行うイベントで、毎年、クォーター毎など、定期的に開催されるもの。キックオフや社員総会など、全社の方針発表や社内交流を目的に多くの社員が参加するイベントを指します。朝礼や季節行事、社員旅行などは含みません
【本調査サマリー】
1.リアル参加者がオンライン参加者に比べて満足度が高い結果となった。
『Q,「社内イベント」の参加方法をお聞かせください。』
参加方法について、「リアル会場で参加した」と回答した人は約57%、「オンラインで参加した」と約43%が回答。直近1年間であったものの、会場に行って参加したリアル参加層が50%を超えていることから、徐々にリアル開催が増えていることがわかる。
『Q,社内イベントについて、総合的にどの程度満足していますか。』の質問に対し、とても満足・やや満足の回答率がリアル参加者がオンライン参加者に比べて高かった。
また、イベント終了後の社内の変化について聞いたところ、「中長期ビジョンや方針について社員間で意見交換する機会が増えた」等の5つの項目においてすべて、とてもそう思う・ややそう思うと答えた割合が、オンラインよりリアル参加のほうが高い結果となった。
2.ワークショップや社員表彰など双方向の参加型コンテンツが社内変化につながっている。
『Q,社内イベントの中で実施されたプログラムについて全てお選びください。』
社内イベントの中で実施されたプログラムについて、「一般社員のワークショップ」の実施ありの回答が約35%、実施なしと約65%が回答。また、「飲食を伴う社員交流」に約31%が実施あり、約69%が実施なしと回答。双方向のコミュニケーションのコンテンツを実施している企業の方が少ないが、コロナ禍の影響が考えられる。
社員同士のワークショップを実施した場合、「他の社員とのコミュニケーションが増えた 」に対して、「そう思う」・「ややそう思う」が54%と過半数となった。
また、飲食を伴う社員交流を実施している場合、『Q,社内イベント終了後のあなた自身の変化について、最も近いものをお選びください。/他の社員とのコミュニケーションが増えた。』に「そう思う」「ややそう思う」と55.5%が回答。実施していない場合が27.5%なので、2倍差をつけた。
3. 年齢が上がるにつれて満足度が徐々に下がる結果に。
『Q,あなたの年齢をお知らせください。』
回答者の年齢を若手社員(25-34歳)、中堅社員(35-49歳)、ベテラン社員(50-59歳)の3つに分けて分析。
回答者500人のうち、最も多いのは中堅社員(35-49歳)で43.2%、続いてベテラン社員(50-59歳)30.6%、若手社員(25-34歳)26.2%であった。
『Q,社内イベントについて、総合的にどの程度満足していますか。』について、若手社員(25-34歳)が最も高く、年齢が上がるにつれて満足度が徐々に下がる傾向がみられた。
4. 継続した共有機会があるほうが満足度も意識・行動変容にもつながる傾向がみられた。
『Q,参加した社内イベントの後に、そのイベントの内容をフォローするような取り組みは行われていますか。』
65.8%が「継続して共有される機会があった」、15.6%が「まだ行われていないが、今後共有される機会が予定されている」、18.6%が「イベント後に共有される機会はなく、今後も予定されていない」と回答。多くの企業が継続した共有の場を設けていることがわかる。
『Q,社内イベントについて、総合的にどの程度満足していますか。』について、「社内イベント後に継続した共有機会あり」が「社内イベント後に継続した共有機会なし」に比べ満足度が高い結果に。
社内イベント後に継続した共有機会が無いと、『Q,社内イベント終了後の社内の変化について、あなたの印象として最も近いものをお選びください。/共有された方針が個々の実務に活きている。』に「そう思う」と回答した人は0%、「ややそう思う」と回答した人は15%と、実務レベルまで落とし込めていないことがわかる。
社内イベント後に継続した共有機会が無いと、『Q,社内イベント終了後の社内の変化について、あなたの印象として最も近いものをお選びください。/社員一人一人が自社への帰属意識をもって業務に取り組んでいる。』に「そう思う」「ややそう思う」の回答者の割合が半減。
【まとめ】
1.社内コミュニケーションを重要視する場合は、できるだけリアル開催を。
総合満足度、行動変容、社内変化の回答について、いずれもリアル会場で開催しているほうが効果的であることがわかりました。実際にオンライン参加した回答者のなかには「オンラインだと意識の共有が難しい」「オンラインではコミュニケーションが取りづらい」という意見もありました。
遠方に居ても参加できる点ではオンラインが優れていますが、会社全体の意識・行動変容につなげるためにはできるだけ顔を合わせたコミュニケーションのできる社内イベントを実施してはいかがでしょうか。
2.社員参加型の双方向的コミュニケーションの場を。
行動変容として挙げられる「他の社員とのコミュニケーションが増えた」「社内全体がイベント直後のモチベーションを保っている」の回答結果を見ると、ワークショップ/飲食を伴う社員交流の実施有無によって大きく差がつきました。また、社内イベントの課題として「一方的になっており自己満足になっている」「自分から意見をいう機会はなかった」「上から下という感じで、横への展開・広がりを感じられない」といった声が挙がりました。
やはり、一方的なコミュニケーションだけでは社員一人ひとりが自分ゴトとして捉えづらく、社員間のコミュニケーション活性への影響は低いと言えるでしょう。
コミュニケーションも活性化しながらモチベーションを維持できるよう、社員も発言できる参加型のコンテンツを取り入れてみることをおすすめします。
3. 共感・意識・行動変容につなげるためには、イベント後も継続したフォローを。
行動変容として挙げられる「共有された方針が個々の実務に活きている」「社員一人ひとりが帰属意識をもって業務に取り組んでいる」について、いずれも継続した共有機会があるほうが効果的であることがわかりました。自由回答にも「単発で効果が持続しない」「その場限りの印象しか残らない感じがする」「その後のフォローアップがうまくいかない」等の意見もありました。
このように、企業の方針やビジョンは一度きりの共有では、共感は得られづらく実務レベルまで落し込めません。社員の意識・行動にまでつなげるためには、単発ではなく、社員同士で意見交換し合える場を継続して設けましょう。
上記から、社内イベント成功の秘訣として、「社内イベントで理解できなかった部分も含めて、方針やビジョンについて社員同士で話し合える機会をつくる」ということが言えるでしょう。
【調査概要】
調査期間:2023年3月
調査委託先:株式会社ディーアンドエム
調査対象:直近1年以内に社内イベントに参加した社員500名(社員数500名以上の企業対象)
有効回答数:500
調査方法:インターネット調査
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社 博展/ 3月28日発表・同社プレスリリースより転載)