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ニュース
人事サービス 雇用・採用
掲載日:2022/09/30

「企業の障害者雇用における課題と対策」調査

雇用課題1位「採用時の能力や適性把握」56.3%、従業員規模問わず半数超える
 
総合人材サービスのパーソルホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 CEO:和田孝雄)の傘下で障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルチャレンジ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:井上 雅博)は、2022年8月、障害者雇用に取り組む企業の担当者を対象に、「障害者雇用の取り組みと成果に関する調査」を実施しました。
本ニュースリリースでは、障害者雇用に取り組む企業が抱える雇用課題と具体的な対策について、業種や従業員規模、役職別の傾向とともに結果を発表いたします。
 
 
【調査概要】
  1. 障害者雇用の課題、1位は「採用時の適性や能力の把握」(56.3%)、2位「配属現場の受け入れ、雇用管理上の負担増」(47.6%)、3位「理解促進」(46.5%)。業種別では金融業が、従業員規模では200名以上をボーダーラインに傾向異なる。
  2. 障害者雇用の課題に対する取り組み、「仕事の配分・業務内容への配慮」が最多(58.1%)、以下「業務内容の明確化」「面談の実施」と続く。ITや金融業などは「障害者専門のエージェント活用」が高く、経営層は「能力発揮のための機会創出」に取り組むと回答(いずれも+10pt)。
  3. 障害者雇用を促進するために活用した既存の制度や取り組み、1位「相談窓口の設置」が最多。2位「正社員登用制度」、「3位「テレワークの活用・推進」においては、従業員規模「1001人以上」の企業、いずれも4割を超える。
 
1.    障害者の雇用課題(最大5つまで)
 
1位「採用時に適性や能力を把握できるか」(56.3%)が最多。2位「配属現場の受け入れ、雇用管理上の負担増」、3位「理解促進(配属現場、経営層、親会社やグループ等)」。業種別では金融業が、従業員規模では200名以上をボーダーラインに傾向異なる。
 
障害者雇用の課題は、1位「採用時に適性や能力を十分把握できるか」(56.3%)が最多となり、2位「配属現場の受け入れ、雇用管理上の負担増」(47.6%)、3位「理解促進(配属現場、経営層、親会社、グループ等)」(46.5%)、4位「新たな職域、業務の創出」(45.8%)などが4割を超え、5位「障害者の採用における量的・質的確保(母集団形成、求める人材の確保)」(29.8%)が続きました。
 
上位3つの業種「メーカー(n=94)」、「IT/通信(n=53)」、「金融(n=41)」のうち、「金融業」に着目すると、「採用時の能力や適性把握」や「(グループ、社内ステークホルダー)理解促進」などが、平均値<+10pt以上>となっています。コメントでは「大量のデータ入力業務は、RPAで代用しておりDX関連で業務内容の激変が予想される中、自己の特性を理解し状況に応じて対処できる人材を求めるため、適性や能力把握が従来以上に重要度を増している(金融/1001人以上/課長)」といった声があり、求める人材要件や給与水準の高さによって能力や適性把握が難しいという背景がありそうです。
一方、「現場の負担増」は平均値<-10pt以上>となっています。上位の他の業種と比べ、全国にある支店の規模が大きく業務がマニュアル化されていることや、変化の少ない業務を任せられる環境があることが要因だと考えられます。他にも、「金融n=41」の回答者を役割別でみると、「障害者専任の採用担当(22.0%)」(メーカー13.8%、IT/通信:3.8%)、「ダイバーシティ推進者(7.3%)」(メーカー3.2%、IT/通信5.7%)、「現場マネージャーや教育係(7.3%)」(メーカー2.1%、1.9%)となり、障害者が活躍できる環境や体制が整っていることも考えられます。
 
続いて従業員規模に着目すると、「201人~1000人」の企業は、200人以下の企業と比べて「現場の受け入れ・負担増」と「(グループ、社内ステークホルダー)理解促進」が<+10pt以上>となっています。障害者の採用人数が従業員数に比例して増えることが背景として考えられます。また、従業員数200名前後が企業トップと現場の意思疎通がしやすい範囲だということも推測できます。
一方、従業員200人以下の企業では「障害者の採用における量的・質的確保」<-10pt>や、「現場の受け入れ・負担増」への課題感が低い理由としては、大手企業と比べて必要な雇用数が少ないことが考えられます。ただし、採用が進んでいないことで、これらの課題が表面化していない企業もあるかもしれません。

 
 
2.障害者雇用の課題に対する取り組み(複数回答)

「仕事の配分・業務内容への配慮」が最多(58.1%)、以下「業務内容の明確化」「面談の実施」と続く。ITや金融業などは「障害者専門のエージェント活用」が高く、経営層は「能力発揮のための機会創出」に取り組むと回答(いずれも+10pt)。
 
障害者雇用の課題に対する取り組みは、1位「仕事の配分や業務量・業務内容への配慮」(58.1%)が最多となり、2位「業務指示内容の明確化」(48.3%)、3位「定期的/必要に応じた面談の実施」(42.7%)が4割を超えました。
 
従業員規模別で、回答数の割合に大きな差異はありませんでしたが、4位「障害者雇用専門のエージェントを活用」(38.0%)は、「IT/通信」・「金融」が<+10pt以上>、「運輸・物流」・「教育・福祉」・「小売り」は<-10pt以上>となり、業種別で利用傾向に違いがあることがわかりました。 IT/通信や金融をはじめ、業務に一定以上の経験やスキルのある人材を求める傾向がある業種や企業では、障害者専門のエージェントを活用する傾向がありそうです。
また、5位「個人の能力が発揮できる仕事や機会の創出」(33.9%)は、役職別でみると、「経営者・役員」、「本部長・事業部長・部長」では、<+10pt以上>となっています。上位役職者ほど、企業経営や人材戦略の視点から、障害者も企業活動に貢献できる人材として、活躍を期待しているのかもしれません。

 
 
3.障害者雇用を促進するために活用した「既存の制度や施策」(複数回答)
 
1位「相談窓口の設置」(37.3%)が最多。2位「正社員登用制度」(36.2%)、3位「テレワーク活用・推進」(34.7%)が続き、従業員規模「1001人以上」の企業は、いずれも4割を超える
 
障害者雇用を促進するために活用した「既存の制度や施策」は、1位「相談窓口の設置(就業・ハラスメント等)」(37.3%)が最多で、2位「正社員登用制度」(36.2%)、3位「テレワークの活用・推進」(34.7%)で、上位3位までの回答数は、ほぼ横並びとなり、4位「管理者層に対するD&Iの理解促進」(25.7%)、5位「社員のスキルアップ支援制度」(23.9%)が続きました。
業種別では、2位「正社員登用制度」は、「人材サービス/アウトソーシング」、「小売り」が<+10pt以上>、3位「テレワーク活用・推進」は、「IT/通信」、「商社」が<+10pt以上>の回答を集めました。
 
また、「正社員登用制度」や「テレワーク活用・推進」は、従業員規模が501人以上をボーダーラインに、割合が大きくなり、「1001人以上」では、いずれも4割を超え、「管理者層に対するD&Iの理解促進」においても、平均値を大きく上回りました。その要因として、必要な障害者雇用数が多く、採用競争力向上や求める人材の確保が必要であるため、採用後の定着・活躍のための取り組みを進めている背景や、働き方改革やD&I推進が進み、企業として制度が充実していることが考えられます。
 
 
<企業の声>
・上司の推薦による正社員化。資格取得支援制度やEAP(従業員支援プログラム)の活用。
(IT・通信/501~1000人/課長)
・障害者雇用の正社員職種を新設。等級制度・目標設定を特例子会社と当社事務職の制度を参考に設定。
(建設・プラント・不動産/1001人以上/一般職)
・従来、時短勤務は育児または介護に限定していたが、障害者にも適用。(金融/101~200人/課長)
・完全在宅勤務または月1回程度の在宅勤務でできる仕事を創出。(建設・プラント・不動産/1001人以上/課長)
・採用条件の欄に、在宅勤務、フレックス制度を設けた。(メーカー/1001人以上/グループリーダー)
・テレワークの推進とメンター制度の拡充。(運輸・物流/301~500人/課長)
・フレックスタイム制やリモート勤務などの導入。(インターネット・広告メディア/501~1000人/一般)
・まずは、管理職の理解を促すことが大前提と考えた。(運輸・物流/101~200人/経営者・役員)
・障害者雇用に関する研修を、「基礎編と実践編」で年1回ずつ開催。(メーカー/1001人以上/課長)
・発達障害の方の突出した能力を把握し、適正部署の配置は非常に効果があった。
(メーカー1001人以上/経営者・役員)
 

<調査概要>
調査名 障害者雇用の取り組みと成果に関する調査
調査方法 自社取引先に対するインターネットリサーチ
調査対象 障害者雇用を実施している全国の企業担当者
調査期間 2022年8月22日(月)~8月28日(日)
有効回答数 389人
実施主体 パーソルチャレンジ株式会社
 

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルチャレンジ株式会社/9月21発表・同社プレスリリースより転載)

この記事ジャンル 障がい者雇用

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