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人事サービス その他人事サービス
掲載日:2022/07/26

「企業の組織ケイパビリティ調査」コロナ禍収束期のミーティング開催方法は「職場で対面」の意向が合計35%「そのつどオンライン/リアルを判断」が30%で拮抗

「企業の組織ケイパビリティ調査」結果報告
〜コロナ禍へ能動的な適応が、今後の出社状況に影響することが明らかに〜


組織の実態や本音の思いを語り合うまじめな雑談「オフサイトミーティング」をベースに組織づくりを支援する株式会社スコラ・コンサルト(本社:東京都品川区、代表取締役:簑原麻穂)は、2022年1月に会社員2577名に対しアンケート調査を実施しました。調査の目的は、環境変化に適応できる組織がコロナ禍にどう対応してきたか、ならびに、変化適応力に関連する社員行動や文化要因を明らかにすることです。今回は第1弾として、コロナ禍の対応力に焦点を当て、社内でとられた行動、ツールの導入状況と効果、今後のミーティング方法を中心に分析結果を報告します。
 

  1. コロナ禍収束期のミーティング開催方法は、「職場で対面」の意向が合計35%。「そのつどオンライン/リアルを判断」が30%で拮抗
  2. コロナ禍に能動的に対応できた企業ほど、今後のミーティングもオンライン志向が強い
  3. 雑談を効果的に行なうことと自社のコロナ禍対応に対する評価は相関する
     

1.コロナ禍収束期のミーティング開催方法は、「職場で対面」の意向が合計35%。
 「そのつどオンライン/リアルを判断」が30%で拮抗

(注:本アンケートでは、新型コロナウィルス蔓延が常態化した期間(2020年~2021年)を「コロナ禍」と記載して質問した。なお、2022年にある程度「収束」に向かう前提で「コロナ禍が落ち着いたら」という設問にしたが、2022年7月現在、感染は再拡大し、収束時期が読めない状況が続いている。そのため、当設問は「”終息”後」ではなく「感染状況が比較的落ち着いている時期に企業はどう対応するか」の参考にしていただきたい。)

コロナ禍収束期の社内ミーティングの開催方法は、「『職場で対面』とオンラインをその都度判断」が30%で最も多い。一方、「職場で対面」が標準になりそうな3つの項目(「『職場で対面』が標準となりそうだが相談は可能」・「できれば『職場で対面』で行うべきという雰囲気」・「絶対に『職場で対面』で行うべきという雰囲気」)を合計すると、“職場標準派”が35%存在する。本調査は一人の社員の認識によるため、企業動向の推測としては参考値にとどまる面はあるが、両者は拮抗、あるいは職場回帰志向がやや強いと言える。

「オンラインが標準として定着」も21%と一定割合を占めるが、企業規模が大きいほどこの傾向が強い。逆に「100人~300人未満」の企業では「絶対に『職場で対面』」という雰囲気が強くなる。規模別分析が本調査の主目的ではないので割愛するが、一般的に言われるとおり、規模が小さい会社ではITツールの導入が進んでおらず、導入しても効果を発揮しづらい傾向が本調査の他の設問でも確認できた。そこで、世の中の実態に少しでも近づけるべく、従業員規模を考慮して再計算した。世の中には中小企業の数が多いのでその傾向を反映した結果だ。

『職場で対面』が標準となりそうと答えた割合は合計42%、「その都度判断」が27%、「オンラインが標準として定着」が15%となる。この結果からは職場回帰が進みそうに見える。

「『その都度判断』して使い分け」と、「オンラインも『相談は可能』」を合わせれば、約4割が柔軟に対応予定と解釈することもできるが、両者の差は大きいかもしれない。「『職場で対面』が標準」となっていくと、職場のミーティング参加者がメイン、リモート参加者がサブの位置づけに陥りやすい。”職場にいないと不利”と感じるようになり、コロナ禍以前の職場ベースの仕事の仕方に戻るのであろうか、今後の動向に注目したい。

2.コロナ禍に能動的に対応できた企業ほど、今後のミーティングもオンライン志向が強い
次に、コロナ禍における会社の対応力に関する評価を、従業員規模別に分析した。

1000~5000人規模の企業で「危機的状況をとらえて対応」が多いなど、企業規模ごとに多少の違いは見られるが、いずれの規模でも「対応できた」から「対応できていない」まで評価が分散している。そこでここから先は、企業規模にとらわれずにコロナ禍での自社の対応力評価を軸に分析していく(「わからない」と回答した402名を除く)。

コロナ禍対応評価別に、前述の「今後のミーティング方法」をみると、チャンスや危機をとらえて対応できた企業は、今後のミーティングもオンライン志向が強い。とりわけ、災禍にもかかわらず「チャンスととらえて対応」するマインドの企業では、今後は「オンラインが標準として定着」が高い割合となった(39%)。「その都度判断」(34%)と合わせると7割以上を占める。「危機ととらえて対応できた」企業では、「その都度判断」の割合が最も高い(39%)。一方、コロナ禍に「いまだに対応できていない」企業では、職場でミーティングを行なうべきという雰囲気が強い。

3.雑談を効果的に行なうことと自社のコロナ禍対応評価は相関する
それでは、コロナ禍に対応できたと評価されている企業では、社内でどのような動きがあったのだろうか。対応度別に特に違いが見られた事柄を掲載する。

「対応できた」と評価される企業ほど様々なアクションをとっていたことがわかる。(1)経営層は「通常時よりも意識して発信」し、(2)社員も「社内で広く意見を集め議論」、(3)打ち合わせの実施方法(リアルorオンライン)は「内容に応じて使い分け」していたのである。特に「自社が変化するチャンスととらえて対応」した企業では、これらのアクションが「積極的に」行われていた割合が高い。一方、「チャンス」や「危機」をとらえて対応できた企業が、必ずしも社員の「(4)仕事ぶりを管理する」傾向を強めたわけではない点は興味深い(項目(1)-(3)に比べて(4)管理強化の割合は低い)。
 
次に、コロナ禍におけるコミュニケーションツールの導入や雑談機会の設定状況、およびそれらの効果について分析した。

コロナ禍に「対応できた」企業ほど、(1)ウェブ会議システムを使用する割合が高く、効果も出せている。なかでも「自社が変化するチャンスとしてとらえて対応できた」企業の約4割が「とても」効果を出せている。一方、コロナ禍に「いまだに対応できていない」企業の約3割は未導入である。

ウェブ会議システム自体の導入率や効果には及ばないが、(2)会議を録画して共有する動きもコロナ禍対応評価と比例関係にあることがわかった。

会議のオンライン化はこのような状況だが、オンラインで雑談は行われたのだろうか。(3)「雑談の場づくり」については、コロナ禍を「チャンスととらえた」企業でも未実施が44%、「いまだに対応できていない」企業では66%に達した。(4)「打ち合わせの中に雑談の時間をつくる」もほぼ同様の傾向だった。

雑談の機会を設けてうまく活用できている企業は全体的には少ないかもしれないが、逆に言えばまだまだ取り組む余地がたくさん残っているとも言える。上記分析とは逆に、「雑談の実施と効果」の度合別に「コロナ禍対応評価」を分析したところ 、数は少なくなるものの雑談を実施して効果を出している企業(「とても/ある程度効果あり」)では、半数以上がコロナ禍に対応できているという評価になっている(「チャンスととらえて対応」+「しっかり対応」)。雑談未導入や効果を出せていない企業とはスコア差が見られるので、効果が出るように雑談に取り組んでみる価値はありそうだ。

 

調査結果を受けて

2020年初頭、新型コロナウィルスへの対応という、世界共通のお題が私たちに課されました。このような共通の問題への企業の対応結果の違いは、備えている組織力の違いを反映していると言えるのかもしれません。調査結果からも、(売上傾向からの推察ですが)コロナ禍以前から成長のダイナミズムをもっている企業がコロナ禍にも対応できたように見えますし、調査以外の場面でうかがった企業のオンライン化への対応、コミュニケーションの変化からも、元々もっていた改善能力や変化への対応力の差が、コロナ禍という共通テストであぶり出されたように思います。個々の調査結果について印象的だったのは次の2項目です。

今後のミーティング方法について、「職場で対面」で行なうか、オンラインで行なうかを「その都度判断して使い分ける」という割合が3割あったことからは、思考の柔軟性が感じられました。今後は、人が集まってするべきことは何か、集まって意味があったか、が問われる時代になりそうです。

一方、変更依頼や指示がない限りは「オンラインがデフォルト(標準)」という割合が21%(企業規模を反映した推計では15%)もあったのは、個人的には多すぎる感覚をもっています。インターネット調査でオンライン化について尋ねているという回答者特性のためか、それとも私の感覚が間違っているのか。数値の通りなら今後のオンライン化の進展は予想以上に速いのかもしれません。今後の動向が気になります。

オンライン雑談の状況については、実施率が意外に少ないというのが個人的な印象です。仕事がオンライン化したなかで足りない要素があれば補えばいいので、雑談はもっと実施されているものと私は思っていました。リアル職場でその習慣がなかった場合は、危機に際して急に「必要だからやろう」と思っても難しいのかもしれません。

雑談は、メンタル面の健康や、仕事に間接的につながるような情報の共有、思いつきを交わすことで創発するアイデアなど、さまざまな効果をもたらします。以前はリアル職場でなんとなくできてしまったために、雑談のプロセスや効果に気づいていなかったかもしれません。しかし、雑談を意図して自然に組み込めているか否かは、リアルであろうとオンラインであろうと重要な観点です。

調査結果では、災禍を「チャンスととらえて活かした組織」から「いまだに対応できていない組織」まで違いが見られました。調査はしていませんが、個人間でも認識や対応の差があるでしょう。特に個人の場合は、チャンスがあればこういう生活や働き方をしたいという願いを持っていた人ほど、機を見て俊敏に動いているように思います(移住して完全リモートワークなど)。コロナ禍によってリモート社会が10年早く訪れたと言われますが、個人の先端層では既に変化が始まっているようです。今後は企業社会においても、その変化を織り込んで対応する組織と、対応しない組織の間で差が開いていくのでしょう。変化に柔軟に対応する能力や文化を組織が備えているか否かが問われる時代であると私は感じました。

 

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社スコラ・コンサルト / 7月20日発表・同社プレスリリースより転載)

この記事ジャンル テレワーク、リモートワーク

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