新入社員意識調査2022
10年の経年比較から見えてきたZ世代の新入社員の特徴について、
働きたい職場は「お互いに助け合う」が過去最高、仕事で重視したいことのトップは「貢献」「相手の意見や考え方に耳を傾ける」上司を求め、「仕事についていけるか」に不安を持つ
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、2022年3月~4月に全国で開催した新入社員導入研修受講者525名(調査1)、2021年12月~2022年5月に開催した新入社員向けeラーニングサービス受講者1,672名(調査2)に対し、「新入社員意識調査2022」を実施し、その調査結果を公表しました。
1. 調査の背景
毎年、新入社員受け入れの時期になると、育成担当者や管理職の皆さんから「新入社員は自分の世代とは違いすぎて接し方が分からない」「どうしたら活躍してもらえるだろうか」などのご相談を多くいただきます。新入社員と効果的に関わり、新入社員にいきいきと仕事をしてもらうためには、どのようにしたらよいのでしょうか。
当社は、2010年より毎年、新入社員を対象とした意識調査を実施し、その結果を踏まえて「新入社員の特徴」の分析と「新入社員を生かす」という視点で考察を行っています。
※調査2は、2020年より実施開始
2. 調査の結果
【働くうえでの意識 調査結果】
● 働くうえで大切にしたいことについて、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」がトップ(49.0%)で10年前と比較し11.5ポイントUP、「周囲との良好な関係」が過去最高(45.0%)、「何があってもあきらめずにやりきること」が過去最低(13.9%)
- 「周囲(職場・顧客)との良好な関係を築くこと」が過去最高(昨対比5.0ポイントUP、10年前と比較し6.2ポイントUPで45.0%)。
- 「元気でいきいきと働き続けられること」が過去最高(昨対比8.5ポイントUPで33.9%)。
- 「失敗を恐れずにどんどん挑戦すること」が過去最低。
- 「何があってもあきらめずにやりきること」が過去最低(10年前と比較し9.4ポイントDOWNで13.9%)。
- 「会社の文化・風土を尊重すること」が過去最低。
● 働きたい職場の特徴について、「お互いに助け合う」が10年前と比較し20.6ポイントUPし過去最高(69.7%)、「ルール・決め事が明確」は過去最低で10%を切る(8.6%)
- 調査開始以来、「お互いに助け合う」がトップ (10年前と比較し選択肢の中で最も大きな伸び率であり、かつ、10年前と比較して20.6ポイントUPし過去最高の69.7%)。
- 「活気がある」(29.5%)、「お互いに鍛え合う」(14.3%)は、10年前と比較して11.6ポイントDOWN。
● 上司に期待することについて、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」がトップ(54.1%)で過去最高
- 「職場の人間関係に気を配ること」(32.6%)が過去最高。
- 「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」(44.2%)が10年前と比較して14.0ポイントUP。
- 「よいこと・よい仕事をほめること」(32.6%)が10年前と比較して12.9ポイントUP。
- 「仕事がバリバリできること」が過去最低(9.5%)。
● これから身につけたい力について、調査開始以来、「コミュニケーション力」が継続してトップ(61.1%)「PCスキル」が過去最高(19.4%)
- 調査開始以来、「コミュニケーション力」が継続してトップ(61.1%)。
- 「PCスキル」が過去最高(5年前から8.7ポイントUPで19.4%)。
- 「マナー」が過去最低(10年前から7.4ポイントDOWNで19.0%)。
● 仕事・職場生活をするうえでの不安について、調査開始以来、「仕事についていけるか」がトップ(63.8%)
【キャリア観の特徴 調査結果】
● 管理職になりたい・どちらかと言えばなりたい(55.6%)がなりたくない・どちらかと言えばなりたくない(12.8%)を上回る
● 管理職になりたい理由は「自分が成長できるから」、「部下育成の醍醐味を味わえるから」の割合が高まっている
- 3年前の調査開始以来、「自分が成長できるから」がトップ(65.4%)。
- 「部下育成の醍醐味を味わえるから」が過去3年を比較し上昇傾向(16.8%)。
- 「高い目標を達成する喜びを手に入れられるから」が過去3年を比較し下降傾向(24.3%)。
● 管理職になりたくない理由は「自分は管理職には向いていないように思うから」がトップ。また、「現場の仕事が面白そうだから」の割合が高まっている
- 3年前の調査開始以来、「自分には管理職は向いていないように思うから」がトップ(74.6%)。
- 「現場の仕事の方が面白そうだから」が過去3年を比較し上昇傾向(43.3%)。
- 「面倒な調整業務などが増えそうだから」が過去3年を比較し下降傾向(9.0%)。
● 就職先での勤続意向について、「現在の会社で勤め続けることにこだわらない・どちらかと言えばこだわらない(57.5%)」が「定年まで現在の会社で勤めたい・どちらかと言えば勤めたい(32.0%)」を上回る
【重視したいこと・スタンス 調査結果】
● 仕事をする上で重視することについて、トップ2は「貢献(31.9%)」と「成長(28.4%)」。「競争」は過去最低の1.4%
● 得意なスタンスのトップ2は「相手基準」と「協働」。不安・苦手意識があるけど大事、意識して取り組みたいスタンスのトップ2は「自発」と「試行」
3. 調査担当研究員のコメント
調査担当武石美有紀株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDサービス開発部 トレーニング開発グループ 研究員
武石 美有紀
新入社員の近年の特徴として、「仕事をするうえで得意なスタンス」は「相手基準」と「協働」の選択率が高く、「不安・苦手意識があるけど大事、意識して取り組みたいスタンス」は「自発」と「試行」の選択率が高いことがあげられます。また、「上司に期待すること」としては、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「職場の人間関係に気を配ること」が過去最高の選択率となりました。
この背景としては、新入社員が、学校機関でのボランティア活動、地域貢献やSDGsなどをテーマとした総合的学習の時間を通して、社会や他者への貢献、地球環境への意識が醸成されている世代であり、自己成長のみならず、貢献や協働、相手基準などへの関心が高いことがあると考えられます。また、価値観の多様化が謡われる社会において、個性や違いに受容的で耳を傾けるコミュニケーションが当たり前という感覚の中で育ってきたことが、相手の意見や考え方に耳を傾けるコミュニケーションを望む傾向を生み出していると推測できます。
このような特徴を持つ新入社員の可能性を引き出すポイントは、「承認のコミュニケーション」と「はじめの一歩のフォロー」だと考えます。具体的には、前者は、新入社員を理解し、良い特徴や小さな変化を承認していくコミュニケーションを図り、心理的安全性を高めていくことなどがあげられます。後者は、新入社員の意欲を捉え、行動を促すコミュニケーションを取ったり、初めてのトライを傍で伴走したりするなど、はじめの一歩に対するフォローを意識して行うことがあげられます。
自分とは違う考えを持つ人と関わるとなれば、違いから衝突や不快の感情が生じる可能性は少なからずあります。しかし、その負の感情を感じたときにこそ「この人は自分にはないものを持っている」「この人から学ぼう」とチャンスと捉えて向き合うことで、受け入れ側の先輩も、他者を理解する力がついたり、新たなものの見方や考え方を獲得できたりします。
“この出会いから、何を学べるでしょうか?”組織にとっても、個人にとっても、新入社員との新たな出会いが、少しでも価値あるものになりますことを、心から祈っています。
4. 調査概要
新入社員意識調査2022 調査1
調査時期:2022年3~4月
対象者:弊社新入社員導入研修「8つの基本行動」の受講者525名、
平均年齢:22.3歳、最終学歴:大卒以上81.0%、300名未満企業比率:67.2%
調査目的:今年の新入社員の意識・特徴を把握する
調査方法:質問紙調査
調査機関:リクルートマネジメントソリューションズ
質問形式:期待や不安などに関する5つの質問について選択肢のうち、
あてはまるものを最大3つまで選択する管理職・雇用・就職先での勤続意向などに関する質問について、リッカート式で選択する
新入社員意識調査2022 調査2
調査時期:2022年2~4月
対象者:弊社eラーニングサービスでビジネスマナーや基本行動・スタンスを学んだ受講者1,672名
300名未満企業比率:15.8%
調査目的:今年の新入社員の意識・特徴を把握する
調査方法:インターネット調査
調査機関:リクルートマネジメントソリューションズ
質問形式:仕事をするうえで重視するキーワードについて、選択肢のうち、
あてはまるものを最大2つまで選択する。得意なスタンスについて、あてはまるものを1つ、苦手意識のあるスタンスについて、あてはまるものを複数選択する
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ/6月29日発表・同所プレスリリースより転載)