企業がテレワークで感じたメリット・デメリットに関するアンケート
導入企業の経営者・管理職の52%が不満
~テレワークを実施していない企業は約6 割、企業規模・地域間に格差~
新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)など感染症対策のほか、BCP(事業継続)対策のために在宅勤務やリモートワークなどテレワークが推奨されています。政府はこれまでテレワークの導入に係る経費について助成金や補助金制度を設けたほか、税制面での支援、特別貸付など特に中小企業に対しさまざまな支援策を実施してきました。また、各都道府県においても補助金制度のほか、無料テレワーク導入コンサルティングが実施されるなど、行政はテレワークに関する政策を積極的に推進しています。しかし、テレワークにおける課題点も聞かれます。そこで、帝国データバンクは、企業がテレワークで感じたメリット・デメリットについてアンケートを行いました。
※ アンケート期間は 2022 年 2 月 4 日~8 日、有効回答企業数は 1,837 社(インターネット調査)
<アンケート結果>
1. 31.5%の企業がテレワークを実施し、その 52.1%がデメリットの方が多いと感じる
テレワークを実施し、「メリットの方が多い」としている企業は15.1%であった一方、テレワークを実施しているが、「デメリットの方が多い」とした企業は 16.4%となり、テレワークを実施している企業のうち 52.1%の企業がデメリットの方が多いと感じています。合計 31.5%の企業がテレワークを実施している一方で、「テレワークを実施していない」企業は 61.5%となりました。
2. 大企業におけるテレワーク実施率は半数近く、全体を大幅に上回る
規模別にみると、大企業においてテレワークを実施している企業は 46.0%となり、全体(31.5%)を大幅に上回りました。一方で、中小企業では29.1%、うち小規模企業では 19.8%と、それぞれ全体を下回っており、規模が小さくなるほどテレワークの実施率が低くなっていました。他方、企業規模にかかわらず、テレワークを実施している企業のうち、約半数がデメリットの方が多いと感じています。従業員数別にみると、従業員数が「300 人超」企業のテレワーク実施率が 57.6%でトップとなり、「101~300 人」(48.7%)、「51~100 人」(34.4%)が続き、従業員数が多い企業ほどテレワークが進んでいるといった傾向がみられました。特に従業員数が「300 人超」企業において、テレワークを導入し「メリットの方が多い」とした企業は 45.5%、「デメリットの方が多い」は 12.1%となり、テレワークを実施している企業のうち 78.9%がメリットの方が多いと感じています。
3. 『製造』のテレワーク実施率は『非製造』を 7.5 ポイント下回る
『製造』と『非製造』で比較すると、業務上工場など現場での作業が多い『製造』でのテレワーク実施割合が『非製造』を 7.5ポイント下回っています。なかでも「飲食料品・飼料製造」のテレワーク実施率は 12.9%で低水準となりました。企業からは、「製造業のため実物の確認・輸送等がほぼ必須」(製造、京都府)といった声が聞かれています。
『非製造』においては、パソコンを使用し、対面での業務が比較的に少ない「ソフト受託開発」や「パッケージソフト」などを含む「情報サービス」では、81.0%の企業がテレワークを実施しています。そのうち、「メリットの方が多い」が 47.6%、「デメリットの方が多い」が 33.3%となり、テレワークを実施している企業の約6 割で「メリットの方が多い」と感じています。一方で、現場での作業が多い「建設」や「運輸・倉庫」のテレワーク実施率は低水準にとどまりました。
4. 地域別では、1都3県でのテレワーク実施率が47.2%で突出して高い
地域別にみると、「東京」、「神奈川」、「埼玉」、「千葉」の 1 都 3 県(『南関東』)におけるテレワークの実施率が 47.2%で、全体を 15.7ポイント上回り、突出して高くなりました。なかでも昨今の新型コロナ下で感染者数が多いかつテレワーク支援制度が比較的充実している「東京」(56.3%)では半数超の企業がテレワークを実施しています。
5. 社内コミュニケーションに関連することが一番のデメリットに
アンケートに寄せられた自由回答から、具体的なメリットやデメリットについて集計しました。メリットの方が多いとしている企業のうち、「通勤時間や移動時間を有効活用できる」が 35.7%でトップとなっています。次いで、「新型コロナの感染を防げる」(15.2%)、「ワークライフバランスを実現できる」(13.0%)が続きました。
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(株式会社帝国データバンク/2月10日発表・同社プレスリリースより転載)