第8回 働く人の意識調査
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人 日本生産性本部(東京都千代田区、会長:茂木友三郎)は1月27日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第8回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。本調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期毎にアンケートにより実施しているものです。8回目となる今回は、新しい変異株・オミクロンによる感染が急拡大する第6波の渦中で、まん延防止等重点措置が3県で適用中、13都県で適用される直前の1月17日(月)~18日(火)、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1,100名を対象にインターネットを通じて行いました。
【第8回「働く人の意識調査」概要】
調査結果から、2021年1月以降、微増を続けていた楽観的な景気見通しが悲観に転じ、オミクロン株の感染拡大が影を落としていることが確認されました。テレワーク実施率は過去最低の18.5%を記録、特に中堅・大企業、首都圏での低下が寄与していること明らかになりました。反面、週当たり出勤日数は減少に転じ、週3日以上テレワークを行う者は前回10月調査の41.2%から53.0%に増加、在宅勤務の効率が上がった、および満足しているとの回答は過去最多、コロナ禍収束後もテレワークを行いたいとの回答も初めて8割を超え、過去最多となりました。また、今回の調査では、サーキュラーエコノミー(CE)の認知度や再生資源利用商品の購入意向等についての設問を新たに追加しました。主な特徴は以下の通りです。
【第8回「働く人の意識調査」主な特徴】
1. わが国の景況感:楽観的な見通しが減少、オミクロン株の感染拡大が影を落とす
- 現在の景気について、「やや悪い」「悪い」の合計は66.4%と過去最少。
- 今後の景気見通しについて、「良くなる」「やや良くなる」との楽観的見通しは16.7%で前回21.8%から減少、「悪くなる」「やや悪くなる」との悲観的見通しは43.4%で前回10月調査の37.0%から増加し、2021年1月以降、微増を続けてきた楽観的見通しが悲観に転じ、オミクロン株の感染拡大が影を落とす結果となった。
2. 感染不安と外出自粛:感染不安は全年代で増加するも、外出自粛には影響せず
- 自分自身が新型コロナウイルスに感染する不安の程度について、何らかの不安を感じる者の割合(「かなり不安を感じている」「やや不安を感じている」の合計)が75.6%と、本問を新設した2021年1月以降、減少を続けていた不安を感じる者の割合が増加に転じた。
- 年代別では、全年代で何らかの不安を感じる割合(同上)が、前回10月調査より増加。高年齢層ほど不安を感じる割合が多く、50代以上では8割を超えている。感染力の強いオミクロン株への警戒感が全年代で広がっていることが分かる。
- 不要・不急の外出自粛を「できるだけ避けるようにしている」割合は39.6%と、前回10月調査の38.3%からほとんど変わっていない。年代別で見ると、不要・不急の外出を「できるだけ避けるようにしている」の割合は、高年齢層ほど多い傾向は変わらない。外出自粛の割合は、前回10月調査と比べて30~40代で僅かに減少、他の年代では若干増えている。
3. 勤め先への信頼感:雇用者の勤め先への信頼と最も関連性が高いのは健康への配慮
- 勤め先は健康に十分配慮をしてくれているかについて、肯定的な評価(「そう思う」「まずまずそう思う」の合計)は67.9%と、最多の2020年5月に次ぐ高い割合。
- 勤め先の業績に、「不安を感じない」(「全く不安は感じない」「どちらかと言えば不安は感じない」の合計)割合は45.9%と、1年前と比較して10ポイント改善し、業績への不安は軽減の方向にある。
- 今後の自身の雇用について、「不安を感じない」(同上)割合は、本調査を含め5回連続で好転している。
- 今後の自身の収入について、「不安を感じない」(同上)割合は38.3%と、前回10月調査の38.4%より統計的有意差はないものの微減。業績と自身の雇用への不安感はこの1年間で好転しているが、収入への不安感には好転の兆しが見られない。
- 勤め先への信頼の程度は、「信頼している」9.6%、「まずまず信頼している」50.6%、合わせて60.2%と、前回10月調査の60.8%から微減したものの、6割以上が肯定的。
- 健康への配慮、業績・雇用・収入の3つの不安感と、勤め先への信頼の程度との関連性の強さについてクラメールの連関係数で数値化したところ、勤め先への信頼と最も関連性が強いのは健康配慮、次いで、雇用不安と収入不安が続く。最も関連性が弱いのは業績不安。
4. 働き方の変化:テレワーク実施率は過去最低、中堅・大企業、首都圏で大きく低下
- テレワーク実施率は前回10月調査の 22.7%から18.5%へと減少し、過去最低を記録。
- 従業員規模別に前回10月調査からの減少幅をみると、100名以下では3.2ポイント(14.3%→11.1%)、101~1,000名では7.4ポイント(29.4%→22.0%)、1,001名以上では7.3ポイント(37.1%→29.8%)低下しており、中堅・大企業のテレワーク実施率の低下が全体の低下に寄与したことが分かる。
- 大企業の本社機能が集中する首都圏(1都3県)のテレワーク実施率が前回10月調査から10.1ポイント低下した(36.9%→26.8%)のに対し、その他地域では1.3ポイントの低下(14.2%→12.9%)にとどまった。
- 職種別にみると、これまでテレワーク実施率の高かった「管理的な仕事」「専門的・技術的な仕事」「事務的な仕事」で増減状況に差が生じた。「専門的・技術的な仕事」は前回10月調査から微増したのに対し、「管理的な仕事」は10ポイント弱、「事務的な仕事」は10ポイント以上減少。
- テレワーカーの週当たり出勤日数は減少に転じ、週のうち3日以上テレワークを行う者は、前回10月調査の41.2%から53.0%に増加。
- 在宅勤務の効率について、「上がった」「やや上がった」の合計は63.3%と過去最多。
- 在宅勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」割合は、2021年4月調査以降、微減していたが、前回10月調査の66.1%から77.5%に増加し、過去最多。
- テレワークの課題(複数回答)は、11項目中9項目で課題とする割合が前回10月調査から微減。労務管理上の課題(複数回答)も、8項目中5項目で前回調査より低下。
- コロナ禍収束後のテレワーク継続意向について、意欲的な割合(「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計)は80.4%と、初めて8割を超え過去最多。
- テレワークの実施率が低下する一方で、テレワーカーが感じる効率、満足度、課題、継続意向は好転している。現在のテレワーカーは、よりテレワークに適した環境・仕組みを構築している企業に属し、中でもテレワーク向きの業務をしている雇用者が中心になっていると考えられる。
5. サーキュラーエコノミー(CE):認知度は低いが、再生資源利用商品の購入意向は5割超
- サーキュラーエコノミー(CE)を「聞いたことがあり、内容もある程度分かる」6.2%、「聞いたことはあるが、内容はよく分からない」16.1%、「聞いたことがない」77.7%と、4分の3は認知していない。
- CEを社会に実装する際に重要な再生資源利用商品の購入意向について、典型的な5種類の商品例(自家用車、家電製品、衣料品、洗剤(容器)、食品(容器))を挙げて質問したところ、いずれの商品についても意欲的な割合が5割を超えた。
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(公益財団法人 日本生産性本部/1月27日発表・同社プレスリリースより転載)