「ハラスメント」トラブル回避のため、部下への発言を躊躇する上司が8割強
ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社(本社:東京都港区、代表:山藤祐子(ざんとう ゆうこ 旧姓:倉本)、以下「当社」)は、上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」のトラブル回避がどのような影響を与えているかを調査目的に、インターネットによるアンケート調査を実施。3名以上の部下とコミュニケーションをとっている管理職の会社員312名から回答を得ました。
■調査概要
調査概要:上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」のトラブル回避がどのような影響を与えているかの実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年12月9日~同年12月10日
有効回答:3名以上の部下とコミュニケーションをとっている30代〜50代の会社員(管理職)312名
■調査結果
「ハラスメント」のトラブル回避のため、部下への指導やコミュニケーションを躊躇したことのある上司は8割強。上司が部下を指導または叱る際に、発言を躊躇するケースが多い
部下への指導やコミュニケーションをとる際、「この発言は、ハラスメントになってしまうのではないか」という不安から、発言を躊躇した経験のある上司は83%と大多数となりました。どんな場面で、部下への発言を躊躇したか聞いたところ、1位「部下の仕事の仕上がりに不満があるとき」(65.3%)、2位「失敗の言い訳をしてくるとき」(52.5%)、3位「ケアレス・ミスを叱るとき」(51.7%)と回答しました。
「ハラスメント」のトラブル回避をすることで、部下への育成指導・関係構築・能力開発に影響が出ている
上司が「ハラスメント」のトラブル回避のため部下への発言を躊躇することで、業務遂行上どんな影響が出ているか聞いたところ、1位「部下の育成指導がしづらい」(64.5%)、2位「部下と関係構築のための十分なコミュニケーションがとりづらい」(46.3%)、3位「部下の能力開発をしづらい」(39.8%)と回答しました。
約半数の上司が「もしかしたら、部下から『ハラスメントです』と指摘されるかもしれない発言をしてしまった」と思った経験をしている
これまでに「部下から『ハラスメントです』と指摘されるかもしれない発言をしてしまった」と思った経験を上司に聞いたところ、「はい」の回答は47.1%となりました。具体的にどんな場面でそれを感じたのかを聞いたところ、1位「部下に対して叱ったり・注意したりする時」(74.1%)、2位「部下に対して指導・指示・依頼する時」(62.6%)と回答しました。
部下から「ハラスメントです」と指摘されたことのある上司は約1割
部下から「その発言はハラスメントです」と言われたことがあるか聞いたところ、「はい」は11.9%となりました。また、「はい」と回答した人に、指摘された発言について、ご自身はどのように思っているか聞いたところ、約半数は「ハラスメントになる発言とは思わない」と回答。上司と部下の「ハラスメント」への認識の違いがある様子がみえました。
「ハラスメント」のトラブルを恐れて、部下と関わらないようにしようと思った経験のある上司は約4割
部下から「ハラスメントです」と言われることを恐れて、部下とはなるべく関わらないようにしよう、という気持ちになってしまった事があるか聞いたところ、「はい」は41%となりました。発言することを躊躇するだけでなく、関わり自体も躊躇する上司が4割いることがわかりました。
最も望まれているサポートは「事例/発言例」、 “アウトとセーフの線引き”を知りたいニーズが高い
「ハラスメント」のトラブル回避のために、どのようなサポートがあったら嬉しいか聞いたところ、1位「事例/発言例」、2位「研修/教育」、3位「相談窓口」となりました。その他、「第三者の介入」や「仲裁」なども望まれており、トラブル前の予防とトラブル後の対処、両方にニーズがあることがわかりました。
■まとめ
今回のアンケートでは、上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」のトラブル回避が、どのような影響を与えているかを調査しました。その結果、上司の8割強が部下への発言を躊躇したことがあり、それにより、部下の育成や能力開発といったマネジメント業務の遂行が阻害されている様子もわかりました。さらに、部下と関わらない様にしようと思ったことがある上司が約4割いました。また、上司の約半数が、もしかしたら部下から「ハラスメント」を指摘される可能性がある発言をしたことがあると回答しています。一方で、実際に「ハラスメント」を指摘されたことがある上司は約1割にとどまりました。
これらの結果から、上司は「ハラスメント」のトラブル回避への意識は高く、そのトラブル回避方法として、部下とのコミュニケーション量を減らす、部下との関わりを減らす方法を選択している人が多くいることがわかりました。これは、「ハラスメント」のトラブルを回避するために、部下の育成・指導を放棄せざるを得ない状況になっているともいえます。
このような状況に対して、上司に必要なサポートを聞くと、具体的な事例や発言例についてのニーズが高くなっています。場面別に「ハラスメント」になる発言と、ならない発言の線引きを把握し、発言に躊躇することなく、部下とコミュニケーションをとりたいと考えている上司の様子が見受けられます。
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(ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社 / 12月22日発表・同社プレスリリースより転載)