第38回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界29カ国同時調査~
太陽グラントソントンは、2021年5~6月実施の2021年上半期(1~6月期)の非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した。この調査は、グラントソントン主要加盟国が年に2回実施する世界同時調査の一環である。
・世界29カ国の平均景況感(2021年1~6月期)はコロナ禍前の水準を超え69%に
・調査対象国のうち24カ国の景況感が改善し、うち14カ国が前回調査比2桁ポイント増
・日本の景況感は微増の17%、引き続き調査対象国中最低水準
■全調査対象国平均でプラスを記録
世界29カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する2020年下半期(7~12月期)の調査結果では、全調査対象国の平均景況感は2020年5月~6月に実施した2020年上半期(1~6月期)の調査結果から14ポイント増の57%を記録し、大幅な上昇をみせた。さらに、国ごとでみると、大多数の国でマイナスに転じた前回調査より一転し、多くの国がプラスに転じ、二桁ポイント増を記録した国が多く目立った。新型コロナウイルの継続的な拡大により世界中の経済活動が厳しい状況に置かれながらも、記録的な最低水準まで落ち込んだ前回の結果から脱却する格好となった。一方で、2019年下半期の調査結果と比較すると、感染拡大前の水準への回復へは、一部を除き多くの国が道半ばであると伺える結果であった。
■全調査対象国平均で12ポイント増、コロナ禍前の水準を超える
世界29カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する2021年上半期の調査結果では、全調査対象国の平均景況感は、顕著な回復をみせた2020年下半期(7~12月期)調査に続き、12ポイント増の69%を記録し、回復傾向が継続している。これは本調査直近10年のうち、最も高い水準であった2018年1月~3月期調査の全調査対象国平均71%に次ぐ高水準である。
さらに、前回調査では、多くの国が新型コロナウイルス感染拡大前の水準への回復途中にあるとみられたが、今回調査では、全調査対象国平均が感染拡大前の水準を上回った。未だ多くの国で厳しい経済的影響を受けながらも、各国で普及が進む新型コロナウイルスワクチンや移動制限の段階的な解除などによる経済回復への兆しが見え始めたことが伺える結果となった。
■中国がさらに伸び86%を記録、引き続き調査対象国中最高レベルに
日本・中国・米国・英国の4カ国をみると、前回調査で景況感が最も高かった中国がさらに上昇して86%を記録し、引き続きトップとなった。米国においても、前回調査に引き続き顕著な上昇を達成し、14ポイント増の83%となり、第2位となった。前回調査で伸び悩んだ英国は、29ポイント増の68%と大幅に上昇し、さらに過去5年のうち自国最高レベルの景況感に達し、コロナ禍前の水準を超えた。日本においては、わずか2ポイント増と伸び悩み、調査対象国中最低水準の17%に留まった。
今回の結果について、太陽グラントソントンパートナー 美谷昇一郎は次のように述べている。
「新型コロナウィルスのワクチン接種が進み、国内消費を中心に経済活動が回復する中国、米国、英国などの景況感が高水準なのに比べ、日本は調査対象国中最低の17%となった。しかし、感染拡大が続くマレーシア、タイ、ベトナムなどの景況感が日本より高く、前回比も増加しているのを見ると、日本の低さは、国民性によるものだけでなく、日本経済の構造的なデフレという問題点をコロナ禍で改めて露呈したことの表れと言えるだろう。コロナ禍による景況感は年末にかけて回復するとの見通しもあるが、政府による経済構造の改革への取り組みは待ったなしであり、経営者も抜本的な経営改革を推進する必要がある。」
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(太陽グラントソントン/8月2日発表・同社プレスリリースより転載)