「裁量労働制実態調査」の結果を公表
厚生労働省では、このほど、「裁量労働制実態調査」の結果を取りまとめましたので公表します。
「裁量労働制実態調査」は、裁量労働制の制度の趣旨に適った対象業務の範囲や働く方の裁量と健康を確保する方策等についての検討に資するため、専門業務型及び企画業務型それぞれの裁量労働制の適用・運用実態や裁量労働制の適用・非適用による労働時間の差異等を把握することを目的としたものです。
この調査の対象は、①全国の裁量労働制が適用されている事業場11,750か所(適用事業場調査)、②全国の裁量労働制が適用されていない事業場(注)15,499か所(非適用事業場調査)、③①の事業場において裁量労働制が適用されている労働者104,985人(適用労働者調査)、④②の事業場において裁量労働制が適用される業務に相当する対象業務に従事する労働者104,375人(非適用労働者調査)で、令和元年10月31日現在の状況等について同年11月~12月に調査を行い、適用事業場6,489か所、非適用事業場7,746か所、適用労働者47,390人及び非適用労働者40,714人から有効回答を得ました。
厚生労働省は、今回の調査結果を踏まえ、今後、裁量労働制のあり方について検討していきます。
※注 事業所母集団データベース(平成29年次フレーム)における適用事業場を除く常用労働者5人以上の民営事業場であって、裁量労働制対象業務従事労働者がいると確認された事業場の中から、適用事業場の地域・業種・労働者規模の構成を踏まえて無作為に抽出
<調査結果のポイント>
① 適用事業場調査
(1)適用労働者がいる適用事業場における1か月の労働時間の状況の平均(1人当たり)は171時間36分、1日の労働時間の状況の平均は8時間44分(注1)、1か月の労働日数の平均(1人当たり)は19.64日である。
(2)裁量労働制に対する意見別事業場割合は、専門型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、「特に意見はない」(39.5%)が最も高く、次いで、「今のままでよい」(37.9%)、「制度を見直すべき」(15.8%)である。企画型裁量労働制の適用労働者がいる適用事業場においては、「制度を見直すべき」(39.7%)が最も高く、次いで、「今のままでよい」(33.9%)、「特に意見はない」(23.8%)である。
② 非適用事業場調査
(1)非適用事業場における1か月の労働時間の平均(1人当たり)は169時間21分、1日の労働時間の平均は8時間25分(注1)、1か月の労働日数の平均(1人当たり)は20.12日である。
(2)裁量労働制に対する意見別事業場割合は、専門型裁量労働制対象業務従事労働者がいる非適用事業場においては、「特に意見はない」(55.1%)が最も高く、次いで、「分からない」(19.3%)、「今のままでよい」(15.7%)である。企画型裁量労働制対象業務従事労働者がいる非適用事業場においては、「特に意見はない」(51.9%)が最も高く、次いで、「分からない」(19.0%)、「今のままでよい」(17.5%)である。
③ 適用労働者調査
(1)適用労働者における1週間の平均労働時間数は45時間18分、1日の平均労働時間数は9時間0分(注1)、1週間の平均労働日数は5.03日である(注2)。
(2)適用労働者における健康状態の認識状況別労働者割合は、「よい」(32.2%)が最も高く、次いで、「ふつう」(29.4%)である。
(3)適用労働者における裁量労働制が適用されていることに対する満足度別労働者割合は「満足している」(41.8%)が最も高く、次いで、「やや満足している」(38.6%)である。
(4)裁量労働制に対する意見別労働者割合は、専門型裁量労働制の適用労働者では、「今のままでよい」(33.0%)が最も高く、次いで、「特に意見はない」(28.8%)、「制度を見直すべき」(28.3%)である。企画型裁量労働制の適用労働者では、「今のままでよい」(41.0%)が最も高く、次いで、「特に意見はない」(26.4%)、「制度を見直すべき」(26.0%)である。
④ 非適用労働者調査
(1)非適用労働者における1週間の平均労働時間数は43時間2分、1日の平均労働時間数は8時間39分(注1)、1週間の平均労働日数は4.97日である(注2)。
(2)非適用労働者における健康状態の認識状況別労働者割合は、「ふつう」(33.8%)が最も高く、次いで、「よい」(30.0%)である。
(3)裁量労働制に対する意見別労働者割合は、専門型裁量労働制対象業務従事労働者では、「特に意見はない」(35.0%)が最も高く、次いで、「制度を見直すべき」(25.2%)、「今のままでよい」(19.7%)である。企画型裁量労働制対象業務従事労働者では、「特に意見はない」(34.7%)が最も高く、次いで、「制度を見直すべき」(23.8%)、「今のままでよい」(21.4%)である。
※注1:労働日数加重平均により算出した値
※注2:労働者調査における1週間の平均労働時間数、1日の平均労働時間数及び1週間の平均労働日数については、1週間に実際に働いた労働時間の合計を1時間単位で回答した調査票のみを集計しているもの。
◆詳しくはこちらをご覧ください。
(厚生労働省/6月25日発表・報道発表より転載)