<働くみんなのホンネ調査>「出産・子育てに関する制度・環境」に関する調査
総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)は、全国の転職希望者320人を対象に、【出産・子育てに関する制度・環境】についてアンケート調査を行いました。
■勤務先が出産・子育てと仕事が両立できる環境だと感じる人は35.9%
求められているのは制度の拡充だけでなく周囲の理解促進
6月3日、男性の育児休暇取得を促進する内容を盛り込んだ改正育児・介護休業法が成立しました。政府は2025年までに男性の育児休暇取得率を30%にすることを目標にしており、2022年からは企業でも育児休暇取得の意思確認や取得の促進が行われることになります。
今回、対象者に現在(直近)の会社は出産や子育てと仕事の両立が図れる環境が整っているか聞いたところ、「はい」と回答した人は35.9%、「いいえ」と回答した人は40.9%、「わからない」と回答した人は23.1%となりました。また、環境が整っていると回答した115人に現在の環境に満足しているか聞いたところ、36.5%の人は「まだ改善の余地あり」「もっと改善してほしい」と回答しました。出産・子育てと仕事の両立が図れるような制度や環境があっても、実際のニーズと一致しているかというとそうは言い切れず、まだまだ出産や子育てが仕事に影響を与える現状があることが見えました。
現在の制度や環境に満足している人以外の対象者に、職場に求める制度や環境を聞いたところ、「男性育児休暇取得の促進」(30代・男性・営業)、「リモートワークの推奨、フレックス制度の導入」(30代・女性・営業)といった制度の拡充のほか、「産休を取ったら迷惑がられたりする文化をなくす」(30代・女性・企画、マーケティング)、「従業員への周知や上司の理解不足が解消されること」(40代・男性・営業)といった、同僚からの理解や雰囲気といった職場環境の改善が多く挙げられました。制度があっても、取得することに対する周囲からの理解や円滑な業務の分担に課題が残る職場が多いようです。
▼職場に改善してほしいこととして挙げられた意見
「子育てが始まると役職を降りる風潮がなくなったらいいと思う」(30代・女性・接客、販売)
「妻の妊娠、出産および子どもの成長を考慮した転勤制度があればいい」(20代・男性・研究開発)
「妻子持ちの人向けの福利厚生を充実してほしい」(40代・男性・クリエイター)
「男性でも保育園等の送迎や子どもの病気等での早退が無理なくできるようになればいいと思う」(40代・女性・クリエイター)
▼職場の制度や環境に満足している人の意見(職場の環境や実際に行われている制度)
「産休・育休(取得実績あり)、マタハラ禁止の周知徹底」(20代・女性・管理)
「産休育休制度、保育園代の補助」(20代・女性・接客、販売)
「家庭の都合が悪ければ、出張の予定を変更できる」(30代・男性・機械系エンジニア)
「子どもの用事で帰ることが許される雰囲気」(30代・女性・事務アシスタント)
「育休、子の看護休暇、時短勤務、残業免除など」(40代・男性・システムエンジニア)
「男女とも産休・育休がとりやすい」(20代・男性・事務アシスタント)
「1時間単位での休暇取得が可能」(30代・女性・企画マーケティング)
「リモート、コアタイムなしのフレックス」(40代・女性・クリエイター)
■出産や子育てを理由に転職や退職を経験・検討中の人が全体の約3割
対象者に、出産や子育てを理由に転職や退職をしたことがあるか聞いたところ、「ある」が13.4%、「まだないが検討中」が16.2%、「ない」が42.5%、「出産・子育ての経験がないのでわからない」が27.8%となりました。回答から約3割の人が出産・子育てを理由に転職や退職を経験・検討していることがわかりました。また、経験・検討をしていると回答した95人の内訳では、女性が53人、男性が42人となり、女性だけでなく男性も、出産や子育てを理由に転職や退職を経験・検討していることがわかりました
■現在(直近)の職場では出産や子育てが昇進や昇格の妨げになると考える人が約6割!
対象者に現在(直近)の会社において、出産や子育ては昇進や昇格などの妨げになると思うか聞いたところ、「はい」が59.7%、「いいえ」が40.3%となりました。約6割の人が、職場では出産や子育てがキャリアを築く上でのマイナス要因になると考えていることがわかりました。
また、出産・子育ての負担は男女平等だと思うか聞いたところ、「男女平等だと思う」と回答した人は9.1%で、「男性の負担が大きい」と回答した人は2.2%、そして「女性の負担が大きい」と回答した人が88.8%と大多数を占めました。出産・子育てしやすい職場環境の整備や、出産・子育てにおける男女の負担のバランスなど、まだまだ残る課題は深刻であることが伺えます。
■転職するなら出産や子育てと仕事の両立が図れる会社がよいとする人が約9割
対象者に、転職するなら出産や子育ての両立が図れる制度や環境整備に力を入れている会社に転職したいと思うか聞いたところ、「とても思う」(61.9%)と「やや思う」(26.9%)を合わせて88.8%となりました。多くの人が、出産や子育てといったライフイベントも視野に入れ、制度や環境が整った会社に転職したいと考えていることがわかります。
「とても思う」「やや思う」と回答した理由では、「育児休暇を取得する際に、とても嫌な顔をされたため」(30代・男性・システムエンジニア)といった実際の経験を挙げた意見や、「母になってもキャリアとして働きたい願望があるので」(30代・女性・営業)といった今後のキャリアプランを考慮しての意見が挙がりました。またその他にも「出産、育児休業に力を入れている企業は、他の制度にも力を入れていると思うので」(40代・男性・管理)といった、出産や子育てに関する制度や環境の充実度が、福利厚生全体の充実や会社としての安定感と比例していると考える意見が多く挙がり、働きやすさの判断基準としても見られていることがうかがえました。
▼出産や子育ての両立が図れる制度や環境整備に力を入れている会社に転職したい理由
「現在の会社ではそういう制度がなく金銭的にも体力的にも大変なので」(30代・女性・管理)
「子どもは欲しいが、現在の勤務先では金銭面の負担や休暇の取りにくさにより叶わないため」(40代・男性・管理)
「配偶者との共働きのしやすさが、収入や家庭環境に大きく影響すると考えるため」(20代・男性・営業)
「子どものことも自分のキャリアも大事にしたいから」(20代・女性・公務員、教育)
「従業員のことを考えられる企業は将来的に成長しそうだから」(20代・男性・事務アシスタント)
「女性活躍推進は、経済活性の為に必須だと思うから」(20代・女性・営業)
「これまで子育てを妻に任せっきりだったため」(40代・男性・機械系エンジニア)
今回の調査では、出産・子育てと仕事を両立することが男女ともに依然難しい状況であることが浮き彫りになりました。
また、制度の拡充だけでなく、その制度を必要とする人がきちんと利用できるような職場の環境作りも重要であることがわかりました。改正育児・介護休業法の成立をきっかけに、今後多くの会社で制度が拡充されることが予想されますが、その制度が形だけのものとならないよう、並行して職場の人員補充やハラスメントの防止など、理解の周知にも着手する必要があると言えます。
2020年の出生数はおよそ84万人と、統計開始以降最も少ない数となりました。出生率も5年連続で前年を下回り、少子化に歯止めがかかりません。今回の調査で寄せられた意見を見ると、制度や環境が整えば夫婦で子育てをしたいと考える人が多くいることが伺えました。出産や子育てができる職場環境を整えることは社会貢献にも繋がり、会社への評価にも直結するという意見も多いため、今後はそういった制度や環境に注力する会社が求職者からの支持を得るのではないでしょうか。
■調査概要
調査内容:出産・子育てに関する制度・環境について
調査対象者:当社を利用している全国の転職希望者(20代~40代の男女)
有効回答:320人
調査期間:2021年6月2日~6月9日
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ワークポート / 6月15日発表・同社プレスリリースより転載)