BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2019年)
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
国内のBPO市場は、IT系BPOと非IT系BPOに大別され、2018年度のIT系BPO市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比3.9%増の2兆4,762億円、非IT系BPO市場規模(同)は前年度比1.9%増の1兆7,348億7,000万円であった。
IT系BPO市場の拡大は、クラウドサービスの普及によるクラウドサービス提供事業者におけるデータセンターの利用拡大や、企業の扱うデータ量の増大によるデータセンター利用企業の増加が要因となっている。加えて、災害時等における事業継続対策(BCP)の必要性が再認識されており、堅牢なデータセンターサービスが重要視されていることも一因である。
非IT系BPO市場は、昨今の労働力不足や人材不足に加え、働き方改革推進の影響によって、多くの企業では、自社の人的資源における生産性向上や業務効率化を目的に、非中核業務を外部委託(アウトソーシング)するといったBPOサービス需要の高まりに伴い、拡大基調となっている。また、民間企業のみならず、官公庁からのアウトソーシング需要も高まっていることも当該市場にプラスとなっている。さらに、労働契約法や労働者派遣法の改正の影響により、人材派遣サービス(派遣スタッフ)の利用からBPO サービスに切り替える企業が増えていることも市場拡大を後押ししている。加えて、BPO事業者の中には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能) などのデジタル技術を活用することで、BPO 業務の効率化・迅速化・省力化が図られており、請け負う業務領域拡大による利用企業からの受注量増加によるプラス効果も期待されている。
2.注目トピック
人事BPO市場
2018 年度の人事BPO市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比1.9%増の828億4,000万円であった。
働き方改革の推進に伴う非中核業務の外部委託の進行によって、人事部門の業務に対しても外部への業務委託を検討する企業は増加している。また、労働契約法や労働者派遣法の改正の影響により、人材派遣サービス(派遣スタッフ)の活用からBPOサービスへの切り替えが進み、人事業務の外部委託需要は拡大傾向にある。
その一方、人事関連業務の外部委託に対する抵抗感はいまだ強く、その進行は部分的・段階的になるものとみられることから、市場は緩やかに推移し、2023 年度の人事BPO 市場規模は906 億円を予測する。
3.将来展望
2023 年度のIT系BPO市場規模(事業者売上高ベース)は2兆8,076億8,000万円、非IT系BPO市場規模(同)は1兆8,730億6,000万円といずれも拡大を予測する。
IT系BPO市場は、今後もクラウドサービスの普及によるクラウドサービス提供事業者におけるデータセンターの利用拡大や、企業の扱うデータ量の増大によるデータセンター利用企業の増加が見込まれることから、拡大基調を予測する。
非IT系BPO市場は、人材不足や働き方改革の推進、人材派遣サービスからの切替需要などを背景に、当該BPO サービスに対する需要はより一層高まっていくものとみられることから、堅調な成長が続くものとみる。
■調査要綱
1.調査期間: 2019年5月~10月
2.調査対象: IT系BPO事業者、印刷系BPO事業者、コールセンター系BPO事業者、事務系BPO事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・電子メールによるヒアリング、ならびに文献調査を併用
<BPO市場とは>
本調査におけるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、通常企業内部にて行われるシステム運用管理業務、コールセンター系業務(コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント)、間接部門系業務(人事、福利厚生、総務、経理)、直接部門系業務(購買・調達、営業、コア部門単純業務、業界固有業務)などの業務を発注企業から業務委託を受けて代行するサービスを指す。但し、従来から外部に委託することが一般的な、税務、物流、情報システム開発、ビルメンテナンスなどの専門的な事業所向けサービスに関しては対象外とする。
また、BPOのうち、IT系BPOとは発注企業からシステム運用管理業務を委託され代行するサービスとし、非IT系BPOとはその他の業務を委託され代行するサービスとする。
<市場に含まれる商品・サービス>
コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント、人事代行、福利厚生代行、総務代行、経理代行、購買・調達代行、営業代行、コア部門単純業務代行、業界固有業務代行等
<お問い合わせ先>
マーケティング本部 広報チーム
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(株式会社矢野経済研究所/12月24日発表・同社プレスリリースより転載)