業績連動報酬に関する開示、主要な業績評価指標(KPI)については100%近い企業が開示~『役員報酬等の開示状況』に関する調査:ウイリス・タワーズワトソン
世界有数のグローバルカンパニーであるウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)は、2019年3月期の有価証券報告書における役員報酬等の開示状況について、時価総額上位企業を対象とした調査を実施しました。
《 調査の目的 》
役員報酬の開示規制が強化され、2019年3月期の有価証券報告書より、報酬プログラムの説明(業績連動報酬に関する情報や役職ごとの方針等)や、報酬プログラムに基づく報酬実績等の詳細な記載が求められるようになりました(※1)。本調査は、新開示規制適用初年度における、大手企業の対応状況を把握することを目的としています(※2)。
※1 「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正(金融庁 2019年1月31日 公表)
※2 調査対象企業:JPX日経400構成銘柄かつ3月末決算企業のうち時価総額上位の100社
《 調査結果 ハイライト 》
役員の業績連動報酬に関する開示状況(開示企業の割合)
●報酬構成比率
業績連動報酬の割合:60%
●賞与(※a)
主要なKPI:95%
主要なKPIの経営戦略との関連性:50%
主要なKPIの目標と実績(FY18):55%
●業績連動型株式報酬(※b)
主要なKPI:100%
主要なKPIの経営戦略との関連性:70%
主要なKPIの目標と実績(FY18):60%
※a 分析対象:調査対象企業100社のうち業績連動賞与がある旨を開示している93社
※b 分析対象:調査対象企業100社のうち業績連動型株式報酬がある旨を開示している43社
※c 分析対象:調査対象企業100社のうち2018年度に業績連動型株式報酬の受給権が確定した旨を開示している33社
《 コメント 》
ウイリス・タワーズワトソン
コーポレートガバナンス・アドバイザリーグループ 兼 経営者報酬プラクティス
ディレクター 宮川 正康
本年は有価証券報告書における新開示規制適用初年度ということもあり、各社の開示の程度には(情報の質・量ともに)、大きなバラツキが見られた。他方で、新開示規制が欧米企業の充実した開示を参考に規定された背景もあり、昨年までの開示と比べると、多くの企業で質・量ともに飛躍的にレベルアップしている。特に株主や投資家が重視する業績連動報酬に関する開示が充実化しており、主要な業績評価指標(KPI)については、そもそもの算定方法が少し曖昧な企業もあるものの、100%近い企業が開示している。一方、「業績連動報酬の割合」、「主要なKPIの経営戦略との関連性」、「主要なKPIの目標と実績」に関する開示については、開示していない企業が半数近くに上り、全体的に記載内容が不十分で分かり難い傾向にあった。
本年秋口以降には、金融庁による新開示規制に係る有価証券報告書レビューも実施されるため、来年は、記載内容の充実性が一段と高まることが予想される。また、2020年3月期から有価証券報告書における記述情報(経営戦略、経営者による経営成績等の分析(MD&A)、リスク情報等)の充実が求められることを踏まえると、経営戦略やリスクと関連付けた業績連動報酬制度や、MD&Aと関連付けたペイ・フォー・パフォーマンスに関する開示が進むことも期待される。
なお、本調査対象企業のなかで、規制で求められている以上の充実した開示を行っている事例として、アステラス製薬や三菱商事が挙げられる。両社ともにグローバルに事業を展開し、欧州並みの報酬水準を志向しているなかで、建設的な報酬ガバナンスのあり方を意識していることがうかがえる。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(タワーズワトソン株式会社 https://www.willistowerswatson.com/ /9月3日発表・同社プレスリリースより転載)