アジアの複数の国々で春節(旧正月)明けに求人数が回復傾向に~『アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向』(2018年1月~3月):JACリクルートメントグループ
世界10ヵ国で人材紹介事業を展開し、東南アジアでは最大級の規模(※1)を誇る株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役社長:松園 健)は、この度、2018年第1四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向をまとめましたので、お知らせいたします。
(※1) 自社調べ (アジアで人材紹介事業を展開する同業他社の売上規模を比較)
【サマリー】
・アジアの複数の国々で春節(旧正月)明けに求人数が回復傾向に
・マレーシアでは化学、電子、医療機器、自動車部品などの事業拡張・拡大により対前四半期比で160%と大幅増
・インドでは多くの企業が西部のグジャラート州に進出したことにより、対前年四半期比で194%と大幅増
・韓国では半導体の輸出が盛況となり、関連求人が増加し対前期比129%、対前四半期比184%と大幅増
■■マレーシア■■
新年度となり企業の求人活動は活発化
特に外資・地場企業のマネジャークラス以上の求人が増加基調に
【求人数】
対前年四半期比 94%
対前四半期比 160%
JAC Recruitment マレーシア法人社長 大西 信彰
マレーシアでは5年ぶりの総選挙が行われる予定で、投票日は5月9日に決定しました。1957年の独立以来60年にわたり政権を維持してきた与党連合・国民戦線に対する閉塞感がある一方で、元首相のマハティール氏(92歳)が政界復帰をかけて出馬。近い将来の先進国入りを実現するための施策や政治体制が実現するかどうかは不透明な状態です。マレーシア統計局が4月16日に発表した2月の失業率は3.3%と前月比0.1ポイントの減となり、この一年間の失業率は3.3%から3.5%の間で安定しています。
■■シンガポール■■
採用ニーズは現地採用に偏り活発化
一方で外国人のシンガポール勤務希望者は過去最多を記録
【求人数】
対前年四半期比 107%
対前四半期比 104%
JAC Recruitment シンガポール法人社長 早瀬 恭
1月~3月のGDP速報値は4.3%増と好調でした。シンガポール金融管理局(MAS)は金融政策を引き締める方向に変更し、2018年の成長率を堅調、物価上昇率も高まっていく見通しです。産業別では昨年に引き続き、電子産業部門の好調が底堅く、製造業購買担当者景気指数(PMI)は53.0に上昇しました。
■■タイ■■
景気が底を打ち、景気が回復し雇用も改善
【求人数】
対前年四半期比 91%
対前四半期比 119%
JAC Recruitment タイランド法人社長 山下 勝弘
ここ数年続いたタイの不況が底を打ち、経済が回復基調となっています。タイのGDPは2017年通年では3.9%増でしたが、2018年のGDPは3.6%~4.6%増になると予想されており、自動車の販売台数の増加だけでなく13ヶ月連続で外国人旅行者数が伸びるなど、さまざまな業界に波及しています。
■■インドネシア■■
インフラ関連のプロジェクト向け人材の需要が活発
【求人数】
対前年四半期比 65%
対前四半期比 99%
JAC Recruitment インドネシア法人社長 小林 千絵
インドネシアでは2019年の大統領選挙を前に、現大統領がインフラの整備を急ピッチで進めています。日本の円借款によるインドネシア発の地下鉄工事、パティンバン港のプロジェクトほか、都市圏ではLRT(路面電車)、各地での発電所や空港の整備も進んでおり、景気が若干回復傾向にあります。消費者物価指数も今期は上昇しました。産業別では情報・通信、運輸・倉庫、建設などの業界が伸びていますが、製造業は鈍化傾向です。
■■ベトナム■■
政治情勢は安定し、経済も順調に成長基調となり求人数が大幅に増加
【求人数】
対前年四半期比 419%
対前四半期比 207%
JAC Recruitment インドネシア法人社長 Le Thuy Dieu Uyen(レー・トゥイ・ユー・ウィン)
ベトナム統計総局は、2018年第1四半期のGDPが前年同期比で7.38%増加し、直近10年間で最高を記録したことを発表しました。主に農林水産業で4.05%、工業・建設業で9.7%、サービス業で6.7%増加したことが底上げの要因です。また、内需産業である小売業が7.45%、飲食業が7.6%、不動産関連業が3.56%の増加となり、これらの市場も急速に成長しています。また、外資系企業がこれらの内需型産業に着目し、参入が増加しています。
■■中国(上海・広州)■■
成長率は鈍化傾向だが、GDPは6.8%増
製造業で事業拡大のための営業職のニーズが増加
【求人数】
対前年四半期比 110%
対前四半期比 96%
JAC Recruitment 中国法人社長 蓮子 哲也
中国国家統計局が発表した2018年1~3月のGDPは前年同期比で6.8%増となり、伸び率は予測値の6.7%から若干上回りました。また、中国の3月の生産者物価指数(PPI)は5カ月連続で伸びが鈍化し、消費者物価指数(CPI)上昇率も2.1%に鈍化しました。理由としては、春節(旧正月)連休の影響が薄れたためと統計局は説明しています。また、米国との貿易摩擦による景気冷え込み懸念の声もありますが、統計局報道官は、内需の力強さを挙げ、対米輸出の落ち込みが経済全体に及ぼす影響は小さいと説明しています。
■■香港■■
春節(旧正月)が明け、転職マーケットは活況な状況
【求人数】
対前年四半期比 93%
対前四半期比 105%
JAC Recruitment 香港法人社長 蓮子 哲也
2017年の香港の実質GDP成長率は3.8%で前年を1.7ポイント上回り、4年ぶりに3%台に回復しましたが、隣の中国深セン市の域内総生産(GDP)が香港のGDPに迫る勢いで成長しており、2018年中にも追い抜くと予想されています。また、2月の住宅価格が16カ月連続で過去最高を記録するなど、経済状況の見通しは不透明です。
■■韓国■■
景気は依然として低迷、新政策で雇用指標が改善されない中でも、半導体の輸出により求人数が増加
【求人数】
対前年四半期比 184%
対前四半期比 129%
JAC Recruitment 韓国法人社長 土山 雄一郎
1月に実施された最低賃金16.4%増の大幅引き上げの政策は全国民、経営者が注目したトピックとなりました。この政策の結果はまだ出ていませんが、中小企業を始め多くの企業で影響が出始めています。しかし、3月の失業率が4.5%まで上昇し若年層の失業率が初めて2桁台となったことから、現段階では雇用改善には至っていません。また、自動車メーカーの韓国GMの郡山工場閉鎖発表や米中の貿易交渉が雇用や経済に与える影響も少なくないとの見方もあります。
■■インド■■
グジャラート州での求人が引き続き増加
日系企業は同州での人材採用が課題に
【求人数】
対前年四半期比 194%
対前四半期比 86%
JAC Recruitment インド法人社長 筧 裕樹
2017年度第3四半期のGDP成長率は7.2%となり、第2四半期の6.5%から上昇しました。インド政府が併せて発表した2017年度GDP成長率の2次推計値は、事前推計値の6.5%をやや上方修正した6.6%となりました。また、毎年2月初めに発表された「インド国家予算案」はモディ首相の任期中最後の通年予算案の発表になるため、昨年同様大きな変革があるか注目されていましたが、特に大きな変更はありませんでした。
■■日本■■
自動車業界、電気・電子部品などの業界から海外関連要員のニーズが高まる
【求人数】
対前年四半期比 93%
対前四半期比 115%
(日本企業の海外事業関連求人)
JAC Recruitment(日本)海外進出支援室 室長 佐原 賢治
厚労省が発表した2018年1月の有効求人倍率は1.59倍と、1990年以降の最高水準で高止まっています。一方、景気の先行きについては、年始の各社トップの所感が比較的楽観的であったのに対し、米中貿易摩擦に対する懸念などからやや不透明感も生じています。また、これまで景気を下支えしていた設備投資も前期比1.4%減と落ち込みました。
※各国の求人数の増減については、その国々の景況感による変動や各国が講じた戦略(高額帯年収の求人やスペシャリスト層求人に特化など)により、意図的に減る場合もございます。そのため、求人数の増減は直接各国の業績に結び付くものではありません。
◆ 本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(株式会社 ジェイ エイ シー リクルートメント http://corp.jac-recruitment.jp/ /4月27日発表・同社プレスリリースより転載)