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ニュース
社会 行政・法律
掲載日:2018/04/02

2019年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)(文部科学省)

大学、短期大学及び高等専門学校(以下「大学等」という。)は、グローバル化や情報通信技術の急激な進展により、社会構造が大きく変化している状況の中で、学生にこのような社会に対応し、未来を切り拓いていけるような高い学力と豊かな人間性を身につけさせた上で、社会に送り出す社会的使命を負っている。その責務を果たすためには、正常な学校教育と学生の学修環境を確保することが不可欠である。

その理念の下、国公私立の大学等で構成する就職問題懇談会は、2019年度卒業・修了予定者の就職活動の秩序を維持し、学生の就職機会の均等を期するため、各大学等が取り組む事項について下記のとおり申し合わせる。

なお、この申合せを行うに当たり、各大学等においては、全教職員が協力し、全学的にこれを実行することを確認する。

 

<記>
1.大学等は、以下の就職・採用活動の日程を遵守するとともに、企業等に対して、その遵守を要請する。
   ・広報活動開始   : 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
   ・採用選考活動開始 : 卒業・修了年度の6月1日以降
   ・正式な内定日   : 卒業・修了年度の10月1日以降
 

2.大学等は、就職・採用活動に関する本申合せの大きな目的の一つが、学生の学修時間の確保や留学などの多様な経験を得る機会の確保など、学生の学修環境の整備であることを再度認識する。その上で、学生に対して、関連情報の周知や情報提供に努めるとともに、個別の相談や指導等を行い、場合によっては企業に具体的な対応を要請するなど、きめ細やかな支援を行う。
 

3.大学等は、インターンシップの本来の趣旨に鑑み、その教育効果を高めることに努める。また、「インターンシップ」と称した会社説明会や採用選考活動と捉えられる行事等を行わないよう、企業等に要請する。
 

4.大学等は、採用選考において学生の学業への取組状況を適切に評価するよう企業等に要請する。

 

<具体的取組>
1.就職・採用活動の円滑な実施について

【大学等における取組】
(1)学生への周知・情報提供
 1.就職・採用活動に関して注意すべき点の十分な周知
 各大学等は、学生が混乱することのないよう、就職・採用活動時期について、その趣旨を含めて、学生に対して十分に周知する。採用選考活動が授業期間と重複するスケジュールであることを踏まえ、学生個々の学業と採用選考関係の日程が重複する場合には、採用選考関係の日程調整に関して企業等に相談することも可能であること、留学や教育実習等を希望する際は注意が必要であること等を特に周知し、就職活動が学業を妨げないよう指導する。
 また、就職活動に関して不都合が懸念される場合には、できるだけ早期に企業等に申し入れたり、大学等の就職担当者に相談したりすることが重要であることも、合わせて周知する。

 2.就職関連情報の積極的な提供
  学生が進路選択する際の検討に資するため、各大学等は学部・分野別の就職実績や、各大学等の職員採用についての採用方針・採用実績等の情報の積極的な提供に努める。

(2)就職・採用活動スケジュールに関する留意事項
 1.「企業説明会」の取扱い
  卒業・修了前年度3月1日より前は、学内及び学外で企業等が実施する「企業説明会」に対して会場提供や協力を行わない。なお、「企業説明会」とは「会社説明会」、「学内セミナー」等の名称に関わらず、採用を目的として事前に採用予定数や選考スケジュールなどの採用情報を広く学生に発信するための説明会を指す。
  卒業・修了前年度3月1日以降、「企業説明会」を大学等の協力の下に実施する場合は、参加の有無がその後の選考に影響しないことを学生に対して明示する。また、実施に当たっては、土日祝日や平日の夕方以降の実施など、可能な限り学事日程に配慮する。

 2 学校推薦の取扱い
  学校推薦は、卒業・修了年度6月1日以降とすることを徹底する。

 3 正式内定開始日
  正式内定日は、卒業・修了年度10月1日以降である旨学生に徹底する。正式内定に至るまでの間においては、複数の内々定の状態が継続しないよう、学生を指導するとともに、9月30日以前の内々定は学生を拘束しないものである旨徹底する。

(3)初年次からのキャリア教育・職業教育の充実
 キャリア教育・職業教育は、就職活動に関する指導とは異なるものである。しかし、学生の職業観や勤労観を涵養し、個々人の個性や適性に応じた職業を学生自ら選択できる能力の育成や学修意欲を高めるために極めて重要であることを踏まえ、初年次からのキャリア教育・職業教育の充実を図る。
 キャリア教育の実施に当たっては、前述の「企業説明会」とは明確に区分した上で、幅広く企業等の協力を得つつ、積極的な取組を行う。

 

【企業等への要請事項】
(1)就職・採用活動開始時期の遵守
  以下の就職・採用活動日程の遵守を、企業等に対して要請する。
   ・広報活動開始   : 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
   ・採用選考活動開始 : 卒業・修了年度の6月1日以降
   ・正式な内定日   : 卒業・修了年度の10月1日以降

(2)学生の学業への配慮
 企業等が学期期間中に採用選考活動を実施する場合には、当該活動が学業の妨げとならないよう、以下の配慮を企業等に対して強く求める。
 1.学生の学修に十分配慮した形での採用選考活動の実施
  授業、試験、留学、教育実習等と採用選考活動が重複する場合は、学生からの求めに応じ、個別的な採用選考日時の変更など必要な対応を明示的に行うこと。また、土日祝日や平日の夕方の活用も取り入れるなど、学生の学修環境を損なうことのないよう極力柔軟に対応すること。

 2.採用選考開始日より前に採用選考活動を実施しないことの徹底

(3)採用選考活動における評価
 学生の本分を考えれば、採用選考において学生の学業に対する取組状況が適切に評価されることは重要である。
 このため、企業等に対し、少なくとも卒業・修了前年度までの学業成果を表す書類(例えば成績証明書や履修履歴等)を選考の早期の段階で取得し、採用面接等において積極的に活用することにより、学生の学業への取組状況を含めて適切に学生を評価することを求める。

 

2.就職・採用活動の公平・公正の確保について
【大学等における取組】

(1)情報の収集と学生へのケア
 就職・採用活動が学生の学業を妨げることのないよう、開始時期の実態、職業の選択の自由を妨げる行為やハラスメント的な行為の有無等について、情報を収集するとともに、学生へのケアに関する組織的な取組を行う。

(2)インターンシップ
 インターンシップとは、一般に、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と捉えられており、あくまでも教育プログラムである旨を、学生に対して周知する。また、大学等が実施に関わる場合は、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」 及び「留意点について」 を踏まえ、適切に実施することを徹底する。

 

【企業等への要請事項】
(1)学生の応募書類等
 学生の応募書類は、「大学等指定書類(『履歴書・写真・自己紹介書』、『成績証明書《卒業見込証明書を含む》』)」とし、企業等に対して、就職差別につながる恐れのある項目を含む「会社指定書類」《エントリーシート等を含む》、「戸籍謄(抄)本」、「住民票」等の提出を求めないよう要請する。
 また、面接においても同様に就職差別につながる恐れのある内容の質問等をしないよう要請する。

(2)雇用の機会均等
 就職・採用活動は、男女雇用機会均等法及びその指針の趣旨や障害者雇用促進法等に則って行われるよう要請する。特に、総合職採用における女子学生への配慮や、障害のある学生への適切な対応、あるいは学生が持つ多様性の尊重など、採用活動における適切な対応を要請する。

(3)職業の選択の自由を妨げる行為やハラスメント的な行為
 必要な人材確保に熱心になるあまり、
  1.  広報活動開始前又は広報活動期間中に早期に採用の内々定を通知すること
  2.  正式内定開始日前に内定承諾書、誓約書をはじめとした内定受諾の意思確認書類の提出を求めること
  3.  6月1日以降の採用選考時期に学生を長時間拘束するような選考会や行事等を実施すること
  4.  自社の内々定と引き替えに、他社への就職活動を取りやめるよう強要すること
等の学生の職業の選択の自由を妨げる行為や、学生の意思に反して就職活動の終了を強要するようなハラスメント的な行為は厳に慎むよう企業等に対して要請する。
  また、予め示された必要書類以外のものを選考の最終段階や内々定後に求めることがないように、必要書類を含む採用選考情報をあらかじめ明示することも要請する。

(4)インターンシップ
 インターンシップとは、一般に「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と捉えられており、あくまでも教育プログラムである。
 したがって、その実施にあたっては、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」及び「留意点について」を踏まえ、適切に実施するよう要請する。

 そのため、
 1. 広報活動開始前に「インターンシップ」と称した会社説明会や実質的な採用選考活動とも捉えられるような行事等は厳に慎むこと、
 2.そもそも、インターンシップは、「就業体験を伴うこと」が必要であるが、現在、インターンシップとして行われているプログラムには、1日限りで就業体験を伴わないもの(いわゆる「ワンデーインターンシップ」など)もあることから、このようなプログラムはインターンシップと称さず、実態にあった別の名称を用いること(当然、それらのプログラムの目的が広報活動であれば3月以降に、採用選考活動であれば6月以降に行うべきこと。)、
 3.インターンシップの本来の趣旨を踏まえ、その教育的効果を高めるためには、一定期間のまとまりにより職業生活を体験することが有益である。大学等との連携の下、可能な限り長期間のインターンシップを実施すること、
を要請する。

(5)大学等の所在地等への配慮
 大学等の所在地や学生の居住地が遠方である場合などには、それが採用選考において不利とならないよう配慮することを要請する。

 

3.その他の事項について
【大学等における取組】

(1)各大学等における職員採用の対応
 企業等への就職・採用活動のみならず、各大学等における職員採用においても、本申合せを踏まえた対応を行う。

(2)「申合せ」の内容の周知
 各大学等は、「申合せ」の内容について、学内の教職員はもとより、学生への周知徹底を図り、学生に不安と混乱が生じないよう適切に対応する。
 また、企業等に対しても、以下の手段等により、「申合せ」の内容の周知を図る。
 1.学内で企業説明会を実施する企業等への要請内容の手交
 2.企業等に求人依頼文書を発送する際、「申合せ」又は「申合せ」の内容をまとめた文書の添付
 3.その他、メール等による企業等への「申合せ」の内容の遵守に関する直接的依頼
 各大学等による企業等への直接的な要請は「申合せ」の趣旨の理解促進に極めて重要であるため、各大学は主体的に上記に取り組み、一層の周知徹底に努める。

 

【企業等への要請事項】
(1)学生の健康状態への配慮
 採用選考活動の実施時期が梅雨や夏季に当たるため、企業等に対して、学生のクールビズ等への配慮を明示するよう求める。

 

就職・採用時期の変更に関する背景と今後の方針について
学生の就職・採用活動の早期化・長期化の是正について、これまで、国公私立大学等で構成する就職問題懇談会が、大学等関係団体の総意として、経済団体等に対し長年にわたり要請を行い、意見交換を重ねてきた歴史的経緯がある。現在の就職・採用活動スケジュールは、2015年度卒業・修了予定者から、広報活動の開始時期を卒業・修了前年度3月に、採用選考活動の開始時期を卒業・修了年度の8月に変更することが、2013年に合意されたことが基本になっている。

2016年度卒業・修了予定者からは、学生の学修時間確保の観点等から採用選考活動の開始時期を卒業・修了年度の6月とすることに変更されたが、あくまでも就職・採用活動の早期化・長期化を是正するとの趣旨は堅持したものとなっており、以降3年間にわたり、同じスケジュールが適用されている。そして今月、一般社団法人日本経済団体連合会は、現行の就職活動の実態を踏まえ、2019年度卒業・修了予定者についても同じスケジュールを維持することを決定した。

学生の学修環境の確保を考えた場合、現行日程が必ずしも最良のものとは言い切れないが、現行日程において、1 学部3年次の授業への出席状況が改善していること、2 日程が維持され定着に向かうことにより、学生・大学は計画的に就職活動に対応できるようになること、といったプラス面が確認されているところである。

2020年度以降の卒業・修了予定者の就職・採用活動については、例えば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催等、年ごとの状況変化はあるが、安定的な就職・採用活動が行われることが重要であることから、頻繁な日程変更は避け、学生が学業及び就職活動の両方により安心して取り組むことができる環境整備を目指し、経済団体等と意見交換を行うこととする。

 

1.「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(平成26年4月8日一部改正 文部科学省、厚生労働省、経済産業省)
(抜粋)
インターンシップと称して就職・採用活動開始時期前に就職・採用活動そのものが行われることにより、インターンシップ全体に対する信頼性を失わせるようなことにならないよう、インターンシップに関わる者それぞれが留意することが、今後のインターンシップの推進に当たって重要である。

2.「インターンシップの更なる充実に向けて 議論のとりまとめ」等を踏まえた「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」に係る留意点について~より教育的効果の高いインターンシップの推進に向けて~
(平成29年10月25日 文部科学省、厚生労働省、経済産業省)
(抜粋)

1.就業体験を伴わないプログラムをインターンシップと称して行うことは適切ではない
インターンシップについては、就業体験を伴うことが必要です。
一方で、いわゆるワンデーインターンシップなど短期間で実施されるプログラムの中には、就業体験を伴わず、企業等の業務説明の場となっているものが存在することが懸念されます。

インターンシップの信頼性の確保や教育効果の向上のため、こうしたプログラムをインターンシップと称して行うことがないようご留意ください。

また、就業体験を伴わないプログラムについては、インターンシップと称さず、実態に合った別の名称(例:セミナー、企業見学会)を用いてくださいますようよろしくお願いいたします。

2.より教育効果の高いインターンシップの推進を図る
(略)
インターンシップを正規の教育課程に位置付ける場合には、「基本的考え方」に則りつつ、インターンシップの実施期間については、より教育効果を高める観点から、5日間以上の実習期間を担保することが望まれます。

地域の事情や企業規模等により、連続した5日間の実習が困難な場合は、事前・事後学習との組み合わせや、5日間で複数の企業において実習を行う等の形態も可能であると考えられますが、教育プログラムとして単位認定を行うものであれば、可能な限り連続した5日間とするなど、一定期間のまとまりにより職業生活を体験することが有益であると考えられます。

 

<お問合せ先>
高等教育局学生・留学生課

 

◆ 詳しくはこちらをご覧ください。

(文部科学省 http://www.mext.go.jp// 3月30日発表・報道発表より転載)

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