人手不足の今こそ求められる、中小企業の健康経営
近年、企業の関心が高まる健康経営だが、中小企業の取り組みはまだまだ進んでいないのが実情だ。東京商工会議所が300人以下の都内中小企業を対象に行った調査によると、健康経営を「実践している」と回答した企業は20.8%。「いずれ実践したい」(67.1%)「近い将来具体的な実践の予定がある」(4.6%)と併せると、90%以上が関心を持っている一方で、「どのようなことをしたらよいか分からない」(38.1%)「ノウハウがない」(22.7%)といった企業も多いことが分かった。
こうした声を受け、経済産業省では、東京商工会議所と共同で「健康経営ハンドブック」を作成し、健康経営に取り組む中小企業の事例などを紹介している。
アルミホイール製造を行う旭テック(静岡・菊川市)では、生活習慣病対策として、社員食堂での健康イベントの開催や、ウォーキングイベントなどへの参加奨励を行っている。食堂メニューにも栄養素やカロリー情報の表示などを行い、継続的に従業員の健康増進をサポートする。また、倉庫業のオリソー(京都市)では、従業員への健康診断受診を呼びかけ、受診率100%を実現。健康診断結果を踏まえた保健指導、特定保健指導を積極的に受けるように促している。安全衛生委員会では産業医を招き、毎月勉強会を実施。それを冊子にまとめ、社内にも配布しているという(「健康経営ハンドブック 2017」より)。
中小企業では、従業員が健康問題によって休職や退職に陥ってしまうと、大企業以上に人員の補てんが難しく、痛手が大きい。採用売り手市場が続き、人手不足が深刻になる中で、健康経営は今まさに中小企業が取り組むべきテーマといえるだろう。
(『日本の人事部』編集部)