フリーター経験者の高学歴化と正社員化減少。大学・大学院卒者がフリーター経験者の4割を占める~『第4回若者のワークスタイル調査』:JILPT
労働政策研究・研修機構(JILPT)では、若者の働き方と意識について把握するため調査を実施しました(対象は東京都の若者)。このほど、調査結果がまとまりましたので公表します。
《調査結果のポイント》
<フリーター経験者の4割を占める大学・大学院卒者>
フリーター経験者は2001年では高卒者が4割を占めていたが、2016年調査では大学・大学院卒者が4割を占めるようになっている。フリーター経験率は高卒者も大学・大学院卒者も2001年よりも2016年の方が高くなっている。
<「モラトリアム型」が減少>
フリーターのタイプとして「モラトリアム型」は減少し、「やむを得ず型」「ステップアップ型」の割合が増加した。
<フリーターから正社員化に成功する割合は改善せず>
フリーターからの正社員化については、正社員になろうとした割合は一定水準にあるものの、うち正社員化に成功した割合は減少傾向にある。
<「フリーター共感」意識弱まる>
「フリーター」に共感する意識は2001年に比べて、フリーター経験に関わらず弱まった。
<離職理由は「労働条件」理由が1位に>
離学後すぐに正社員になった者が就職した企業を辞める理由として、2001年には男性では「仕事が自分に合わない」が1位であったが、2016年調査では「労働時間(残業を含む)」が1位となった。女性でも2001年には「健康上、家庭の事情・結婚・出産」が1位であったが、今回調査ではこの理由と並んで「労働時間(残業を含む)」が1位となった。
<キャリアは安定化するも、学歴間格差は女性で拡大>
男性においては高卒者も大学・大学院卒者もキャリアは安定した方向に改善したが、特に大学・大学院卒者の改善が大きく格差は残った。女性については大学・大学院卒者は改善したが女性高卒者はそれほど改善せず、格差が拡大した。
<東京都内においても若者の働き方には地域区分により特徴>
中卒時の居住地と現在の居住地が同一である者は3割程度で、都外からの流入者が5割を占めていた。現在の就業地別にみると、周辺区と多摩地区の就業者はフリーター経験率が高く、都心区の就業者は大規模企業勤務で東京都外の出身者が多い 。
※詳細な調査結果は、JILPT労働政策研究報告書No.199として公表。
《調査の概要》
1.調査の趣旨・目的本調査は、大都市の若者の働き方や意識の変化を明らかにすることを目的としている。2001年から調査を開始し、今回の2016年で4回目(2001年、2006年、2011年)。
2.調査名「第4回若者のワークスタイル調査」
3.調査対象層化二段系統抽出法にて東京都の25歳~34歳の男女8000名を東京都の男女比を反映するように抽出。
4.調査方法郵送による調査票の配布・回収。WEBやスマートフォンでも回答が可能なように設計。
5.調査実施期間 2016年8月1日より10月3日まで。
◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /10月20日発表・同機構プレスリリースより転載)