既卒者が学卒枠で応募できた事業所割合は46%と調査開始(平成20年)以降最高~『労働経済動向調査(平成29年8月)』(厚生労働省)
厚生労働省では、このほど、労働経済動向調査(平成29年8月)の結果を取りまとめましたので、公表します。
「労働経済動向調査」は、景気の変動が雇用などに及ぼしている影響や今後の見通しについて調査し、労働経済の変化や問題点を把握することを目的に、四半期ごとに実施しています。また、今回は特別項目として、「既卒者の募集採用」及び「労働者不足の対処方法」についても調査しています。
本調査は、平成29年8月1日現在の状況について、主要産業の規模30人以上の民営事業所のうちから5,835事業所を抽出して調査を行い、このうち2,684事業所(うち有効回答2,660事業所、有効回答率45.6%)から回答を得ています。
<調査結果のポイント>
1.正社員等は増加見込とする事業所割合が引き続き多い(平成29年7~9月期実績見込)
(1)生産・売上額等判断D.I.(注1)
「調査産業計」で1ポイント。主な産業別にみると「製造業」(+7)、「建設業」(+2)、「サービス業(他に分類されないもの)」(+1)でプラス、「卸売業,小売業」(△4)ではマイナス。
(2)所定外労働時間判断D.I.(注1)
「調査産業計」で1ポイント。主な産業別にみると「建設業」(+4)、「製造業」(+3)でプラス、「サービス業(他に分類されないもの)」(△4)、「卸売業,小売業」(△3)ではマイナス。
(3)正社員等雇用判断D.I.(注1)
「調査産業計」で4ポイント。主な産業別にみると「建設業」(+9)、「製造業」(+6)、「サービス業(他に分類されないもの)」(+4)でプラスとなったが、「卸売業,小売業」(0)はゼロ。
2.正社員等、パートタイム労働者ともに、不足とする事業所割合が引き続き多い
労働者過不足判断D.I.(注1)は、「調査産業計」で正社員等労働者は37ポイントと25期連続して、パートタイム労働者は31ポイントと32期連続して、それぞれ不足超過。正社員等労働者、パートタイム労働者ともに全ての産業で不足超過。
3.既卒者(注2)の募集採用(平成28年8月から平成29年7月まで)の状況(今回調査の特別項目)
新規学卒者の採用枠で正社員を募集する際、既卒者が「応募可能だった」とする事業所割合は調査産業計で46%となり、調査を開始した平成20年以降で最も高かった(前回平成28年8月調査43%)。
4.労働者不足の対処方法の状況(過去1年間:平成28年8月から平成29年7月、今後1年間:平成29年8月~平成30年7月)の状況(今回調査の特別項目)
現在不足している労働力に対して何らかの対処をしている割合は73%、対処方法としては過去1年間及び今後1年間とも「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」が最も高かった(過去1年間:62%、今後1年間:62%)。
(注1)「D.I.(Diffusion Index:ディフュージョン・インデックス)」とは、変化の方向性を表す指標である。
(1)「生産・売上額等判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」、「正社員等雇用判断D.I.」は、当該期(間末)を前期(間末)と比べて「増加」と回答した事業所の割合から「減少」と回答した事業所の割合を差し引いた値である。なお、これらの値には季節による変動があるため、季節調整を行っている。これらの判断D.I.がプラスであれば、前期(間末)よりも増加させた事業所が多いことを示す。
(2)「労働者過不足判断D.I.」は、調査時点において、労働者が「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値である。この判断D.I.がプラスであれば、人手不足と感じている事業所が多いことを示す。
(注2)「既卒者」とは、学校卒業後すぐに調査対象事業所に就職する者以外で、35歳未満の者をいう。勤務経験の有無は問わない。
<問い合わせ先>
政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室
参事官 石原 典明
室長補佐 佐田 晴康
労働経済第一係
(代表電話)03(5253)1111(内線7622)
(直通電話)03(3595)3145
◆ 詳しくはこちらをご覧ください。
(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp// 9月20日発表・報道発表より転載)