ワークライフバランスへの取組「男性の意識が低い」。課題は「代替要員の不足」「業務量の過多」(東京都)~『企業における男女雇用管理と男性のワークライフバランスへの取組に関する調査』
東京都では、東京都男女平等参画基本条例の規定に基づき、毎年、雇用状況に関する調査を実施し、広く労使の方々にご利用いただくとともに、行政運営の参考として活用しております。
本調査では、男女雇用機会均等法、改正育児・介護休業法への対応等に加え、男性のワークライフバランスをテーマに、企業における雇用管理の取組状況や従業員の意識等について調査しました。事業主や働く皆様にこの調査結果をご活用いただければ幸いです。
「調査の概要とポイント」
1.女性管理職《事業所調査》
管理職に占める女性の割合は前年度調査より上昇したが、約1割にとどまる
管理職に占める女性の割合は全体で12.1%であり、前年度調査(10.7%)に比べてわずかに上昇したが、最も女性の割合の高い「係長相当職」をみても20.2%にとどまる。女性管理職を有する事業所の割合をみると、全体の74.0%の事業所に係長以上の女性管理職がいる一方で、「女性管理職なし」と回答した事業所も24.0%となっている。
なお、一般的に管理職は「課長相当職」以上であるが、本設問では事務遂行の指揮命令者である「係長相当職」も管理職に含めている。
2.母性保護等に関する制度の有無と認知度《事業所調査》《従業員調査》
労基法よりも均等法上の制度を有する事業所の割合が低く、全体的に従業員の認知度は低い
母性保護制度の有無を事業所にたずねたところ、労基法で定められた3項目については、「制度あり」が8~9割と高い。一方、均等法で定められた5項目については、「制度あり」の割合が高い「妊娠中の通勤緩和措置」と「妊娠中・出産後の通院休暇制度」の2項目でも6割未満にとどまる。また、母性保護制度の認知度を従業員にたずねたところ、均等法の5項目のうち「妊娠中の通勤緩和措置」以外の4項目については、3割以上の従業員が「わからない」と回答しており、制度の有無に関する認知度が低い。
3.育児休業取得者の有無《事業所調査》
育児休業取得率:男性4.49%、女性93.3%、男性の取得率が上昇傾向
過去1年間(平成26年4月1日~平成27年3月31日)に出産した女性(男性は配偶者が出産)がいた事業所は男性52.9%、女性54.2%で、そのうち育児休業者がいた事業所は男性17.7%、女性95.3%である。
育児休業取得率は男性4.49%、女性93.3%であり、多くの男性は育児休業を取得していない。育児休業の取得率の推移でみると、男性の取得率が上昇傾向にある。
4.介護休業取得者の有無《事業所調査》
介護休業取得者がいた事業所は約1割。過去7年間ほぼ同じ割合
過去1年間(平成26年4月1日~平成27年3月31日)に介護休業取得者がいた事業所は10.5%であり、介護休業取得者がいない事業所は88.7%である。 推移をみると、介護休業取得者がいた事業所の割合は平成20年度以降10~13%台の範囲におさまり、過去7年間ほぼ同じ割合である。
5.ワークライフバランスの認知度《従業員調査》
「内容まで知っている」従業員は4割台半ば。平成20年度以降、上昇傾向に
「ワークライフバランス」という言葉について「内容まで知っている」と回答した従業員は44.2%となっており、平成20年度の28.5%と比べると約1.5倍に増加している。一方、「知らない」と回答した従業員は24.8%であった。
6.「仕事」「家庭生活」「個人の生活等」の優先度(希望と現実)《従業員調査》
男性は「仕事と家庭生活」、女性は「仕事と家庭生活と個人の生活等」を優先したいが、現実は男女とも「仕事」を優先させている者が最も多い
「仕事」「家庭生活」「個人の生活等」のうち、優先したいものをたずねたところ、男性は「仕事と家庭生活」(28.8%)、「仕事と家庭生活と個人の生活等」(19.2%)である。女性は「仕事と家庭生活と個人の生活等」(25.6%)、「仕事と家庭生活」(19.5%)の順となっている。
一方、現実に優先させているものは、男女とも「仕事」の回答が最も多く、男性46.9%、女性35.1%となっている。
7.ワークライフバランス推進のための取組《事業所調査》《従業員調査》
事業所の取組状況は、「取り組んでいるが、成果が十分でない」、取組内容は「長時間労働の削減」が最も多い。従業員が有効と考える取組内容は、「有給休暇の取得促進」「柔軟な働き方の導入」が多い
ワークライフバランス推進のための取組についてたずねたところ、事業所の取組状況は、「取り組んでいるが、成果が十分でない」(55.6%)、取組内容は「長時間労働の削減」(77.5%)が最も多い。 一方、従業員が有効と考える取組内容は、「有給休暇の取得促進」(男性 60.0%、女性56.3%)、「柔軟な働き方の導入」(男性49.5%、女性56.3%)が上位となっている。
8.ワークライフバランスへの取組について、男女従業員の意識の差《事業所調査》《従業員調査》
事業所は「男女の差はない」、従業員は男女とも「男性の意識が低い」が最も多い
ワークライフバランスの取組について、男女従業員の意識の差があるかたずねたところ、事業所は「男女の差はない」(44.4%)が最も多い。一方、従業員は「男性の意識が低い」(男性36.8%、女性37.2%)の回答の方が多い。
9.ワークライフバランスへの取組について、男性の意識が低い理由《事業所調査》《従業員調査》
事業所の約8割、従業員の約7割が「男性は仕事を優先する意識が強いから」
男性の意識が低いという回答に対し、その理由をたずねたところ、事業所は「男性は仕事を優先する意識が強いから」(79.0%)、「男性の長時間労働の削減が進まないから」(47.2%)の順となった。 また、従業員も「男性は仕事を優先する意識が強いから」(男性72 .8%、女性 68.8%)、「男性の長時間労働の削減が進まないから」(男性44.8%、女性52.4%)の順となり、同様の回答であった。
10.男性のワークライフバランス推進に取り組む必要性《事業所調査》《従業員調査》
事業所、従業員とも「取り組むべき」が8割超
今後、特に男性のワークライフバランスの推進に取り組む必要があるか考えをたずねたところ、事業所は「ある程度取り組むべき」(43.4%)、「積極的に取り組むべき」(40.8%)の順となった。また、従業員のうち男性は「積極的に取り組むべき」(45.7%)、「ある程度取り組むべき」(41.1%)、女性は「ある程度取り組むべき」(44.8%)、「積極的に取り組むべき」(43.5%)の順となっており、両者を合わせると事業所も従業員も8割以上が「取り組むべき」と回答している。
11.男性のワークライフバランスを推進する上での課題《事業所調査》《従業員調査》
課題は「代替要員の不足」が最も多く、事業所の64.7%、男性従業員の48.2%が回答
男性のワークライフバランスを推進する上での課題をたずねたところ、事業所の64.7%が「代替要員の確保」が必要と考えており、男性従業員の48.2%が自身のワークライフバランスを実現するために、「代替要員の不足」を課題としている。このほか、男性従業員が課題として挙げているのは「業務量の過多」(36.0%)、「突発的な業務が多く、スケジュールの見通しが困難」(29.7%)の順となっている。
12.男性のワークライフバランスを推進する上で有効と思われる取組 《事業所調査》《従業員調査》
事業所、従業員男女ともに「長時間労働の削減」が最も多い
男性のワークライフバランスを推進する上で最も有効と思われる取組をたずねたところ、「長時間労働の削減」が最も多く挙げられ、事業所では45.1%、従業員では男性29.5%、女性25.8%が回答した。また、事業所、従業員男性では「有給休暇の取得促進」(事業所16.5%、男性20.0%)が2番目に挙げられているが、従業員女性は「男性従業員の意識啓発」(19.4%)が2番目に多い。
<調査実施概要>
1.調査対象
○事業所調査
都内全域(島しょを除く)の従業員規模30人以上の事業所で、「建設業」、「製造業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」、「サービス業(他に分類されないもの)」の13業種、合計2,500社
○従業員調査
上記事業所に勤務する従業員男女各2,500人、合計5,000人
2.調査方法
(1)抽出方法・・・無作為抽出 (2)調査方法・・・郵送配布・郵送回収
3.調査実施期間
平成27年9月1日から平成27年9月30日まで
<報告内容>
目次 (246.4KB)
第1章 調査の概要とポイント(p1 - 8) (862KB)
第2章 事業所調査結果(p9 - 44) (1.8MB)
第3章 従業員調査結果(p45 - 74) (1.6MB)
第4章 参考資料(p75 - 199) (3.2MB)
概要版 (2MB)
全文まるごとダウンロード (7.2MB)
<お問い合わせ>
産業労働局雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4649(直通)
◆ 詳しくはこちらをご覧ください。
(東京都 産業労働局 http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp// 3月24日発表・報道発表より転載)