アクセンチュア、『上級役職者に対して行った最新調査』~82%の上級役職者が自社の成長に向けたコスト削減の意向を持つ一方、大多数が成長投資とコスト削減の連動に苦戦~
アクセンチュア(NYSE: ACN)が約700名の上級役職者に対して行った最新調査によると、82%の回答者は「コスト削減によって捻出した資金を、自社の成長分野に投資したい」と考えている一方で、大多数は「成長戦略とコスト削減の足並みが揃っていない」と考えていることが明らかになりました。
アクセンチュアが行った調査「Increasing Agility to Fuel Growth and Competitiveness(成長と競争力の拡大に向けた俊敏性の強化)」は、世界13業界における最高経営幹部やその直属の管理職を対象に実施されました。本調査によると、「自社の経営幹部はコストの削減目標を達成するために適切な施策を進めている」と考えている回答者は21%に留まりました。また、「自社は組織の価値向上につながっていない活動や投資を常に精査した上で打ち切っている」と答えた回答者は23%で、「コスト削減によって捻出した資金が、自社の事業戦略に沿って使われている」と答えた回答者は3分の1未満(30%)に留まりました。
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部でオペレーション戦略のシニア マネジング・ディレクターを務めるクリス・ティマーマンス(Kris Timmermans)は次のように述べています。「企業が成長を持続させるためには、コスト削減戦略とコスト削減によって捻出した資金の再投資先の施策とを関連付けるべきですが、本調査が示すとおり、多くの企業ではそれが十分に実現できていません。コスト削減自体が目的とならないためには、経営者は捻出した資金を成長分野に振り向けたいという“意向”を持つだけでなく、あらかじめ自社の成長を促進させる要因と阻害する要因、そして資金の再投資先となる施策について明確な“意思”を持つべきです。」
「自社はコスト削減効果を維持できていると思う」と答えた回答者は36%に留まっており、戦略的なコスト管理に関する課題も浮き彫りになっています。また、「自社は、一貫して事業戦略を実行できるように組織を順応させたり、成長や収益につながる活動に経営資源を集中させたりすることを可能にするような柔軟なオペレーティングモデルを持っている」と答えた回答者は4分の1未満(24%)でした。
こうした状況を招いている一因として、CEO(最高経営責任者)とCFO(最高財務責任者)間の認識の相違が挙げられます。約半数(51%)のCEOが「自社は組織の価値を高める活動に優先して経営資源を投資している」と答えたのに対し、同様に答えたCFOは34%に留まりました。また70%のCEOが「コスト削減によって捻出した資金の再投資先の精査を行い、その効果測定を行っている」と答えたのに対し、同様に答えたCFOは49%に留まりました。さらに、20%のCEOが「優先する再投資先は、短期で投資効果を得られる分野」であると認める一方、同様に答えたCFOの割合は30%でした。
本調査では、デジタル分野への投資については意見の一致が見られました。54%以上の回答者はデジタル分野への投資を既に行っており、61%は「テクノロジーをさらに活用できれば、自社におけるオペレーティングモデルの運用コストを半減できる」と答えています。また、85%の回答者が「デジタル事業は戦略的な成長を実現させる要因である」と答えていることに加え、82%は「デジタル戦略が新しいオペレーティングモデルを可能にする」と答えています。
アクセンチュア 製造・流通本部のシニア マネジング・ディレクターを務めるダニエル・シュルマン(Donniel Schulman)は次のように述べています。「企業に求められる柔軟性や市場対応力を獲得するには、デジタルビジネスの戦略が重要な役割を果たすことが本調査によって分かりました。しかし、持続的な成長を実現するには、それよりもまず最高経営幹部の間で事業戦略とコスト管理を連動させる全体方針を合意することが必須です。企業が成功するためには、利用可能なデータを活用して収益につなげることや、デジタルによって導き出された情報を経営の意思決定につなげる体制を構築すること、俊敏な組織を作ること、イノベーションを加速させること、そして従来のビジネス機能をデジタル化することが求められます。」
成長に向けたコスト削減の意向があり、全社的な戦略を確立している企業は、「テクノロジー、デジタル戦略、デジタルビジネスが、成長を実現させる要因である」と考える傾向が強いことが本調査によって明らかになりました。同様に、柔軟なオペレーティングモデルを持つ企業は、「テクノロジー、デジタル戦略、デジタルビジネスが、コスト削減、高度なオペレーティングモデル、戦略的な成長を実現させる要因である」と考える傾向が強いことも明らかになっています。
業界ごとの主な特徴は以下の通りです。
・「自社の経営幹部は、コストの削減目標を達成するために適切な施策を進めている」:医療技術(33%)と産業機器(31%)の業界の回答者が最も多く同意しています。
・「自社は、組織の価値向上につながっていない活動や投資を常に精査した上で打ち切っている」:医療技術(35%)、消費財(33%)、自動車(30%)の業界の回答者が最も多く実行しています。
・「自社は、組織の価値を高める活動に優先して経営資源を投資している」:エネルギー(46%)と公益事業(44%)の業界の回答者が最も多く実行しています。
・「戦略的なコスト削減の効果が維持できている」: 医療技術業界では53%の回答者が同意している一方、産業機器(27%)と銀行(28%)の業界に関しては同意している割合が最も低い結果となりました。
・「戦略的なコスト管理から捻出した資金の再投資先を定めている」:化学(65%)、自動車(64%)、健康(64%)、消費財(58%)の業界ではデジタル分野への再投資が最も多く行われています。しかし、産業機器業界では63%の回答者が新製品や新サービスの立ち上げに再投資しており、小売業界の60%が販売エリア拡大に向けた再投資を行っています。
<調査方法>
アクセンチュアは、13業界の682名の上級役職者に対してオンラインで調査を実施しました。調査対象となった業界は、自動車、銀行、化学、通信、消費財、エネルギー、健康、ホスピタリティ、産業機器、医療技術、製薬、小売、公益事業です。54%の回答者は最高経営幹部(CEOまたはCFO、COO(最高執行責任者))であり、16%は支社や事業部における最高経営幹部、残りの30%は年間10億ドル以上の売上を持つ企業の最高経営幹部直属の管理職です。調査は、ASEAN(インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム)、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、イタリア、日本、北米、英国の9つの地域で実施されました。
【ニューヨーク発:2016年1月12日】
<報道関係の方のお問い合わせ先>
アクセンチュア株式会社
マーケティング・コミュニケーション部
増田 繁夫
045-330-7157
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(アクセンチュア株式会社 http://www.accenture.com/jp /1月26日発表・同社プレスリリースより転載)