公務員の身分保障
公務員の身分保障とは?
公務員にはさまざまな義務が課せられ、労働者としての権利が制限されている代わりに、身分保障が与えられています。
スト権などは認められていないが
解雇されるケースはほとんどない
民間企業の労働者には、団結権、団体交渉権、争議権(スト権)の労働基本権(いわゆる労働三権)がすべて保障されていますが、公務員の労働三権は何らかの制限を受けています。たとえば、警察、消防、監獄、海上保安庁、防衛庁、自衛隊などの各職員は、労働三権が全面的に否定されています。その他の公務員の場合は現業・非現業とも団結権は認められていますが、争議権が認められていません。
その代わりに、公務員の身分は法律で厳格に保障されています。政権交代などによる政治闘争から身を守り、政治介入を排して、職務の公共性、行政の継続性や中立性を維持するためです。このため、民間の企業の従業員のように業績によって給与が大きく変動することはなく、解雇されることもほとんどありません。
また、その意に反する不利益な処分を受けた場合は、国家公務員は人事院に対し、地方公務員は人事委員会または公平委員会に対して、行政不服審査法に基づく不服申し立てをすることができます。人事院や各委員会は審査の結果に基づいて、修正や取り消しが必要な場合には、その職員が処分によって受けた不当な取り扱いを是正するための指示をしなければならないとされています。
国家公務員の配置転換については厳しく制限することを求めた2000年の国会決議が有効でした。しかし2004年6月の衆議院決議で「必要な場合は研修や訓練を実施すべき」と明記、省庁間の配置転換を容認する方向に転じました。これを受けて政府は、役割の低下している省庁の国家公務員を、治安や環境など人員の需要が多い分野の省庁に配置転換する方針を打ち出し、第一弾として農林水産省の統計部門のうち最大500人を、刑務所や環境事務所などに配置転換する方向で省庁間調整を始めました。
政府は5年間で3万3000人の国家公務員の定員を見直すことを決めています。官業の民間移行が進めば、さらなる公務員の人員削減が必要不可欠になり、同時に官民の人事交流を活発にするための基盤整備が課題になってきます。
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