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【ヨミ】キュー ダブリュ エル QWL

「QWL」とは、Quality of Working Life(クオリティ・オブ・ワーキングライフ)の略で、日本語では「職場における勤労生活の質およびその向上に資する取り組み」を意味します。労働の機械化、標準化、画一化の推進が労働者におよぼす弊害――人間性の喪失や健康・精神衛生への悪影響を緩和するために、仕事のやりがいや働きやすさなど勤労生活それ自体の質的向上を重視する労働観、あるいはそれにもとづいて作業様式、職務内容、監督様式などを改善する諸施策の総称です。欧米では1960年代後半から注目されてきた考え方で、70年代に入ると、ILO(国際労働機関)やOECD(経済協力開発機構)など国際機関の積極的な関与もあり、世界的な関心を集めるようになりました。
(2016/8/5掲載)

QWLのケーススタディ

人間を疎外する労働の機械化、単純化への反省
働くことそれ自体の喜びを重視する労働観とは

賃金所得の多寡を労働問題における究極の関心事とするような旧来の労働観において、労働者の勤労生活の改善といえば、第一に、賃金や労働時間その他の雇用条件が向上することを意味します。ILOなどの国際専門機関が伝統的に推進してきた、いわゆる労働条件の改善です。具体的な内容としては、安全・衛生に関わる物理的作業条件の改善、賃金・諸手当などの雇用条件に関する団体交渉の保障、疾病・失業に対する保護、労働者の人格の保護などがあげられます。

これに対し、1960年代以降に新しく注目され、70、80年代にかけて世界的に広がった「QWL」は、働く行為それ自体における喜びや充足感をいかに高めるかという観点から、勤労生活の質的側面を重視する考え方です。それは、従来の国際機関や政府・労働組合などが追求してきた労働諸条件の改善とは、次元の異なる価値観でした。

第2次世界大戦後の物資不足を解消するために、欧米の工業先進国で採用され、急速に普及した大量生産方式の下では、労働の機械化、画一化、単純化が進み、人が仕事に順応することが求められました。その結果、人間性の喪失や健康・精神衛生上の問題といったリスクに晒される労働者が急増したことから、「QWL」が提唱され、人間が人間らしく働けるよう労働の質的向上を目指す取り組みとして注目を集めたのです。70年代には、アメリカの自動車産業を中心に、高賃金が保障されていたにもかかわらず、単調な作業や専制的な監督方式に労働者側の不満が集中。企業側はその対策として、従来のベルトコンベヤー方式をグループ生産方式に転換し、職務内容を拡大・充実させることで成果を上げました。

その後、経営のグローバル化や雇用の多様化が進み、大量生産方式にもとづく標準化、画一化された単純作業は、国内にあっては非正規労働者へ、国外にあっては発展途上国へ移転されるようになりました。さらに、二度の石油危機や世界経済の長期停滞を経験し、仕事や働き方の質そのものより、雇用の継続やワークライフバランスの確保といった勤労生活の全体に関わる問題が、人々の不満の対象となっていきました。その結果、労働それ自体の楽しさや働くことの喜び、充実感をいかにして高めるかを問うQWLへの社会的な関心は、90年代以降しだいに薄れていったのです。

しかしこの問題は、不断に問い直されるべき根本課題であり、その解もまた、時代とともにたえずアップデートされるべきなのかもしれません。

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