学歴フィルター
学歴フィルターとは?
「学歴フィルター」とは、企業が採用活動において、低学歴の学生をふるい落すことやその仕組みを指す言葉です。具体的には、書類選考や説明会の参加予約の際に、いわゆる上位校か下位校かで差をつけるなどの手法がとられます。表向きは、大半の企業が「学歴不問」をうたうものの、実際は、インターネットを通じた膨大の数の応募を効率的にさばく必要性から、採用活動で学歴フィルターを導入している企業は少なくないといわれます。
ネット就活普及で学歴による選別が露骨に
売り手市場なのに、就活後ろ倒しで復活!?
企業の採用活動に関するさまざまなアンケート調査などを見ても、「採用に学歴は関係あるか」といった趣旨の質問に「関係ある」と明言する企業はほとんどありません。とはいえ、企業が大学名を選考の材料にすること自体は、何もいまに始まった動きではなく、世間に与える印象を考慮して、特に公にはしてこなかっただけでしょう。日本企業のそうしたスタンスは、基本的に現在も変わっていないはずです。
ところが1990年代後半から、いわゆる就職情報サイトが登場。それを機に、学歴による選別の仕方が露骨になったと言われます。インターネットを介して、誰でも簡単に各企業と接触できるようになったおかげで、人気企業には学生が殺到。選考作業にかかる負担を減らすために、「学歴フィルター」に頼らざるをえなくなった一面があるのは否めません。そうした学歴フィルターの仕組みの最たる例が「説明会予約」です。
採用説明会への参加申し込み枠を大学群別に調整して、学生をふるいにかける手法で、例えば説明会の定員100人に対し、80人を東大などトップ校に充て、残り20人の枠を他大学の就活生に割り振ります。そうすると、どうなるか。まったく同じ時刻に同じ企業の採用ページを開き、説明会への参加申込ボタンをクリックしても、上位校の学生の画面には「空き」が表示され、下位校の学生には全日程「満席」と出たりするわけです。説明会予約の前にも、大学名によって説明会の案内をメールで知らせるタイミングに差をつけるケースや、そもそも下位校の学生には案内自体をしない企業もあるといいます。
景気回復が鮮明化し、売り手市場となった今春卒採用では、人材確保の必要性から学歴フィルターが“緩く”なったとされます。それならば、大企業の業績回復が著しく、採用意欲もより高まっている今シーズンはさらに緩くなるのかというと、そうではありません。逆に、一部では再び学歴重視の傾向が高まっているようです。これは、例の採用活動後ろ倒しの影響。近年の傾向として、大企業では、レベルの違うさまざまな大学の学生が集まる合同説明会より、取りたい大学(=ターゲット校)の学生だけに対象を絞る「学内説明会」を重視する傾向が強まっています。ところが今年は選考期間に余裕がないため、企業側から足を運べる大学の数は当然、上位校や採用実績のある大学を中心に限られてくる。これも学歴フィルターの、一つの形と言えるでしょう。もっとも、内定のピークが短期間に集中することが予想されるため、多くの企業が学歴フィルターを復活させ、優秀な人材を効率よく採ろうとすると、逆に採りはぐれるケースが増える恐れもあります。
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