リバースメンタリング
リバースメンタリングとは?
「リバースメンタリング」とは、逆メンター制度ともいわれ、上司や先輩社員がメンター=相談役になって若手をサポートする通常のメンタリングに対し、部下が上司に助言する逆方向(リバース)の支援活動のしくみを指します。チームリーダーや管理職などの中堅・ベテラン社員が、若い世代の気持ちを理解して適切かつ柔軟な対応がとれるよう、直属の部下ではない若手社員をメンターに起用することで上司としての成長を促します。
逆メンターで“上司力”をアップ
部下のホンネや若手の感度に学ぶ
近年、社員の自主的・自律的な成長を促進する目的で社内メンターを制度化する企業が増えてきましたが、P&Gや米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米シスコシステムズなど一部の先進企業ではさらに踏み込んだ取り組みとして、上司が部下に、ベテランが若手に学ぶ「リバースメンタリング」を活用しています。
リバースメンタリングは、上述したとおり、管理職など次代のリーダーを育成するための施策です。組織では、より上位の役職に就けば就くほど部下に顔色をうかがわれ、現場からは耳ざわりのいい話しか上がってこなくなることがよくあります。しかし部下の“ホンネ”を知り、彼らの心を掴んだ上で適切な対応をとらなければ、メンバーの意欲と能力を最大限に引き出してチームの成果を高めるという、リーダーとしての使命を果たすことはできません。いわゆる“上司力”が求められるゆえんです。そうした必要不可欠のマネジメントスキルを養うプロセスとして、リバースメンタリングは極めて有効であると考えられています。
約20年前からメンター制度を導入し、社員の半数以上がメンターあるいはメンティの経験を持つP&Gでは、管理職がメンティに回り、自分より社内資格で数ランク下の社員から助言やサポートを受けるというリバースメンタリングのしくみが実践されています。メンティの直属の部下以外で、部下と同年代もしくは部下と同じような状況下にある若手社員がメンターとして起用されます。具体的に部下が上司に何を助言するのかというと、女性社員が多い企業だけに、例えば「仕事と育児の両立に関する部下のホンネ」がよく話題に上るそうです。役員・管理職世代と若手世代とでは、それぞれの育児期の時代環境が違いますし、キャリアに対する考え方や人生観にも世代間ギャップが少なくありません。満足のいく保育所を見つけることの難しさ、子どもが病気になったときに仕事か看護かで激しく迷う胸中――部下世代の生活実態やリアルな悩みなどをメンターから直接リサーチするといった、立場や世代を超えた交流が管理職に大きな示唆をもたらすのです。
一方、同じリバースメンタリングでもGEでは、ベテランが若い世代から彼らに特有の知恵やスキルを学んでいます。幹部や上級管理職も最新のIT技術を使いこなせるよう、社内の若手技術者を指導役に起用して、研修を行うのです。それはめまぐるしく変化するビジネス現場からの、貴重なフィードバックの機会でもあります。世界市場のスピードとトレンドに対応できる若い世代ならではの感度を、リーダーが組織として活かさなければ、グローバル競争には勝ち残れません。
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