企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】チェンジマネジメント チェンジマネジメント

「チェンジマネジメント」とは、業務や組織にかかわるさまざまな変革を推進・加速し、成功に導くためのマネジメント手法のことです。組織には急激な変化を好まず、慣れ親しんだ環境ややり方に固執する社員も少なくないため、変革を進めようとすると必ず抵抗や軋轢が生じます。チェンジマネジメントでは、社員を変化にうまく適応させられるよう、経営トップが率先して変革のねらいや必要性を組織に浸透させ、社員の意識改革に努める必要があります。
(2012/6/25掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

チェンジマネジメントのケーススタディ

最大の抵抗勢力は変化を怖れる人の心
日本特有の“チェンジモンスター”とは

経営環境のめまぐるしい変化に対応するためには、そのスピードを上回るほどの果断な意思決定をもって、改革を推進していく必要があります。しかし組織の誰もがその変化に速やかに適応できるわけではなく、多くの社員が変化を怖れ、慣れ親しんだ仕事の進め方や伝統的な慣習を捨てようとしません。改革に踏み切っても、社内の“抵抗勢力”に妨げられ、期待していたほどの効果が出ないといったことがよく起こります。

そこで重要になるのが、変革(チェンジ)をいかに適切に効率よくマネジメントするかという「チェンジマネジメント」の取り組みです。チェンジマネジメントは1990年代の米国で、BPR(Business Process Re-engineering:業務プロセス改革)を成功に導くためのツールとして開発、実践され、成果を上げてきました。一躍ブームとなったBPRですが、必ずしも導入に成功する企業ばかりではなく、多くは社内の抵抗を抑えきれずに頓挫しました。

BPRの考え方を提唱した元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマー氏は「BPRの失敗の確率は50%~70%だが、その数字はBPR自体がもつ成功・失敗の確率ではない。その多くの原因は人に起因するものである」と指摘しています。実際、改革と名のつくプロジェクトが想定したとおりに進まないのは、戦略やプランそのものの欠陥、進め方の問題が原因というよりも、むしろそれに関わる人々の意識や感情といった“心理的側面”の影響が大きいと考えられるのです。

 ボストンコンサルタンティンググループのコンサルタントであるジーニー・ダック氏は、改革を妨害したり、かき回したりする人間的・心理的な阻害要因のことを、総じて「チェンジモンスター」と呼んでいます。これには、人間関係のもつれや変わることへの怖れ・反発、喜怒哀楽・嫉妬・興奮など、改革にともなう諸々の感情が含まれます。ダック氏の指摘で特に興味深いのは、日本の企業組織に潜むという特有の“怪物”――「タコツボドン」(自分の担当を超えた視野を持つことを拒否し、よそ者の関与を否定する)や「ウチムキング」(社内で何が評価されるかを重視し、顧客などの外部ではなく社内にすべての行動の焦点をあわせ、社内外のズレに目を閉ざす)、「ノラクラ」(さまざまな言い訳を使いあの手この手で変革を避けようとする)、「カイケツゼロ」(課題の指摘やできない理由の説明は巧みだが、解決策の提言は出せない)などの存在です(『チェンジモンスター― なぜ改革は挫折してしまうのか?』ジーニー・ダック著、BCG東京事務所訳、2001 より)。

いくら改革に大義があり、プロジェクトが合理的でも、こうした心理にとらわれているモンスター社員を放置したままでは、うまくいくものもいきません。自社のチェンジモンスターの“正体”を探り、危機感の薄い社員に現状を打破する必要性を意識させることが、改革を成功に導くチェンジマネジメントの要諦といえるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

チェンジエージェント
「チェンジエージェント」とは、もともと組織開発の領域で使われ始めた用語で、組織における変革の仕掛け人、あるいは触媒役として変化を起こしていく人のことを言います。変革の当事者として、自らそれを指揮すべき立場にある経営者や組織のトップとは一線を画し、むしろその代理人(エージェント)として、変化への対応を...
組織社会化
組織研究において、新しく組織に加わったメンバーが、組織の目標を達成するために求められる役割や知識、規範、価値観などを獲得して、組織に適応していくプロセスのことを「組織社会化」といいます。個人が組織に参入するときは、必ずこの組織社会化の過程を通過しなければならないと考えられています。 (2012/5...
BPR
「BPR」とは、「ビジネスプロセス・リエンジニアリング」(Business Process Re-engineering)の略。企業活動の目標(売上、収益率など)を達成するために、既存の業務内容や業務フロー、組織構造、ビジネスルールを全面的に見直し、再設計(リエンジニアリング)することを言います。...

関連する記事

中村和彦さん: 組織に関する問題を「人」「関係性」に働きかけることで解決 いま日本企業に必要な“組織開発”の理論と手法とは(後編)
組織開発をどのように進めていけばいいのか、また、その際に人事部はどう関わっていけばいいのかなどについて、組織開発の実践に取り組んでいる研究者の南山大学教授の中村和彦さんに具体的な話をうかがっていきます。
2015/09/11掲載キーパーソンが語る“人と組織”
「働き方改革」の進め方
具体的な「働き方改革」の進め方を「働く環境・ツール」「働く制度・ルール」「働く意識・風土」の三つのテーマ別にまとめた。
2017/03/31掲載よくわかる講座
正岡 幸伸さん~定着のために「和式人材経営」へ変革せよ
労働政策研究・研修機構、社会経済生産性本部、日本経済新聞社……。成果主義の人事制度を導入する企業が相次ぐ中で、その実際の「効果」について調査を実施する機関もまた相次いでいます。
2005/05/30掲載編集部注目レポート

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


いま、見直される「セルフケア」

いま、見直される「セルフケア」

近年、働く環境が大きく様変わりし、職場におけるストレス要因が増加してき...