コンフォートゾーン
コンフォートゾーンとは?
「コンフォートゾーン(Comfort zone)」とは、快適な空間、居心地のいい場所を意味します。米国ミシシッピ大学ビジネススクール教授のノエル・M・ティシー氏は、成長に関する環境を三つに分類しました。コンフォートゾーン、ラーニングゾーン(ストレッチゾーン)、パニックゾーンです。人の成長には負荷が欠かせませんが、コンフォートゾーンは負荷が最も小さい安全地帯。しかし、慣れ親しんだ人間関係や同じスキルセットの中に安住しているようでは、人は成長しません。コンフォートゾーンから出て、適度なストレス状態であるラーニングゾーンに身を置いたとき、成長すると考えられています。一方で、負荷が高すぎるとパニックゾーンに移行し、成長するどころか心身に支障をきたしてしまうこともあります。
誰しも「現状維持」が心地良い
ラーニングゾーンに身を置くには?
新しい職場、新しいチーム、新しい目標。4月は多くの変化が起こり、心理的な負荷を感じやすい時期です。変化に適応しようとするのは大変ですが、ストレスのある環境に身を置くことは「自分はこれまでコンフォートゾーンにいたのかもしれない」と気づくきっかけになります。
人は意識しなければ、変化を止めようとする性質があります。変化を拒んで一定の状態を維持しようとする「心理的ホメオスタシス(恒常性)」というメカニズムが働いているのです。このメカニズムにより、外部からの働きかけや自身の強い意志が無ければ、人は「平常運転(=コンフォートゾーン)」を保とうとします。
例えば、リモートワークが浸透して以来、成長実感を得られなくなった人もいるのではないでしょうか。上司や同僚からの刺激を受けづらい環境で、やる気がないわけではないのに平常運転を続けてしまう。これも、心理的ホメオスタシスに鑑みれば不思議ではありません。
では、どうすれば自分自身や部下をコンフォートゾーンから引き上げることができるのでしょうか。有効なのは、新しい業務や役割を引き受けること。新しい仕事は、これまで知らなかった知識や技術を習得するきっかけになります。
また、コーチングや面談、チームビルディングによって、自分が今どういう環境に身を置いているのかを自覚することも有効です。ありたい自分に到達するために、現在の自分の姿と理想の姿、あるいは自身と他者とを比較することで、今の自分がどのゾーンに属しているかを診断します。
とはいえ、変化には不安もつきまといます。一度に大きなジャンプをしようとするのではなく、伴走者とともに小さなステップを重ねながら適度な負荷をかけ、変化に適応しながら学びを吸収する。このような行動が、コンフォートゾーンを抜け出すことにつながるでしょう。
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