オフボーディング
オフボーディングとは?
「オフボーディング」とは、従業員が退職の意思表明をしてから退職するまでの一連の体験を向上させるための施策のこと。新入社員が入社する際の手続きや教育などの体験を向上させるための施策は「オンボーディング」と呼ばれており、“オン”ボーディングの反対の意味合いとして“オフ”ボーディングが用いられています。退職というエンプロイーエクスペリエンスの出口での体験を良いものにし、退職後もアルムナイ(卒業生)として良好な関係を維持することで、再雇用やリファラル採用、ビジネス上のつながり強化など、さまざまなメリットを生み出す可能性があります。
終わりよければ全てよし?
オフボーディングを改善するメリット
コロナ前の2019年、転職者は約351万人と過去最多になりました。その後、コロナ禍による受け皿の減少で転職者数は減少しましたが、終身雇用制が過去のものとなりつつあるため、中長期的にみて転職者数は増えていくことが予想されます。新規学卒就職者に関しても、「3年3割」という言葉が一般化しているように、早期に退職する新卒者は一定の割合で推移しています。
かつて退職や転職にはネガティブなイメージがあり、一つの企業にいかに長く勤めるかが“真面目”であることを示す指標のように語られていました。しかし、オフボーディングの重要性が注目される背景には、労働者の価値観の変化と産業構造の変化があります。
まずは、労働者のキャリア観の変化。人材の流動性は徐々に上がり、転職へのネガティブな見方は薄れてきています。むしろ複数の企業での経験が、その人材のユニークさを高める要因にもなりうるほどです。キャリアの多様化によって一つの企業に長く勤めるだけではなくなり、以前働いていた企業に戻ってくるアルムナイ採用や副業での関わりも珍しくありません。
また、人的資本経営の強化の一環で、退職者とのネットワーク形成を推進する企業も。退職時の体験を良いものにすることで、口コミによる企業イメージの向上や、退職者による採用候補者の紹介につながることもあります。退職者が次に入社した企業が自社の製品・サービスの顧客になるなど、ビジネス上の広がりも期待できるでしょう。
では具体的に、オフボーディングを改善するためには何ができるでしょうか。退職意思を伝えられたマネージャーは、きっと驚き、引き止める言葉を発するでしょう。引き止めること自体は悪いことではありません。しかし、部下の思いを聞かなかったり叱責したりしようものなら、会社へ悪い印象を抱いて退職してしまいます。そうすると、退職した部下と良い関係を保つことは難しいでしょう。
退職する理由を本音で話してくれるよう部下の思いに寄り添い、会社の改善につなげることが大切です。退職が決まった後は、惜しい気持ちを伝えつつ、「一緒に働けてよかった」「またいつでも戻ってきてほしい」などと伝え、その後も関係が続くような声掛けをすることが大切です。
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