【ヨミ】ポテンシャルサイヨウ ポテンシャル採用
ポテンシャル採用とは、潜在能力を重視した選考により、今後、大きな成長が期待できる人材を採用することです。不況時に新卒採用枠を狭めていた企業では、20代の人材不足は深刻な問題になっています。社員の年齢構成の歪みを解消するため、現在、このポテンシャル採用を導入し、20代の人材を積極採用を実施する企業が増えています。
(2007/4/16掲載)
ポテンシャル採用のケーススタディ
「潜在能力重視」の選考による採用
キャリアの軌道修正も見込める20代若手が中心
企業の中途採用は、「即戦力キャリア採用」と「ポテンシャル採用」の2つに分かれます。キャリア採用は、これまでの経験・実績から、即戦力になれるかという点で判断します。一方のポテンシャル採用では、ポテンシャルつまり、潜在的な力という、今後の成長の可能性が判断基準です。一般的に30歳を超えてからの転職は、テクニカルスキル重視のキャリア採用が大半ですが、キャリアの軌道修正も見込めるポテンシャル採用では、20代の若手が中心です。
現在、景気回復や2007年の団塊世代の大量退職に伴い、企業の採用意欲が高まっています。特に景気停滞時、新卒採用に消極的だった企業は、現在深刻な若手の人材不足に悩まされていて、いびつになった社員の年齢構成を解消するため、20代の採用に力を入れ始めています。求人全体に占める20代の募集案件は、7割にも及ぶといわれています。
ポテンシャル採用のメリットは、新卒と異なり、社会人としての言葉遣いやマナー、コミュニケーション・スキルが備わっている人材を確保できる点です。また、固有の企業カラーに染まっていない場合が多く、新卒採用と近いイメージで、会社の方向性を理解しながら会社と共に成長し得る、将来の幹部候補を採用することができます。一方で、キャリア採用のように経験や実績といった明確な判断基準がないため、潜在能力や可能性といった、抽象的で目に見えないものによって採用の可否を決定しなければならないという面もあります。
ポテンシャルの評価では、学生時代の経験を含め、これまで培った知識や経験のうち、他の業種や職種にも転用出来るスキルがあるかどうかがポイントとなります。例えば、コミュニケーション能力や問題解決能力、情報収集力などの、社会人としての基礎力があるか。また、自分自身がどういった価値基準を持って物事を判断し、行動しているか、仕事に対する自分の価値観をしっかりと持ち、自己理解しているかという点が挙げられます。
ポテンシャル採用を成功させるには、採用候補者の長所や今後の成長の可能性を理解し、メリットをより具体化する必要があります。また、売り手市場である現在、候補者に対して、自社の魅力をアピールすることや、給与条件や福利厚生などの処遇を整えることも大切ですが、それ以上に、候補者のキャリアビジョンを実現出来る環境があるかを示すことが重要でしょう。