パートナーシップ制度
パートナーシップ制度とは?
「パートナーシップ制度」とは、戸籍上は同性であるカップルに対して、地方自治体が婚姻と同等のパートナーシップであることを承認する制度のことをいいます。2021年1月現在、法的な拘束力はありませんが、パートナーとして公営住宅への入居が認められたり、病院で家族として扱ってもらえたりと、一定の効力が期待できます。最近では、企業が本人の申請に応じてパートナーシップを承認し、法律婚と同等の福利厚生を提供する事例も増えてきています。
パートナーシップ制度で
社員の同性パートナーにも法律婚の配偶者と同等の福利厚生を
日本でLGBTという言葉が広く知られるようになったのは、2013年ごろのこと。それまで見えにくかった性的マイノリティという存在を社会が認知するようになり、2015年11月には、渋谷区と世田谷区が日本で初めて同性カップルを結婚に準じる関係と認める証明制度を開始しました。以降、他の自治体にも制度導入が広がり、ビジネス面ではLGBT向けのウエディングプランや保険商品、企業向けのジェンダー研修といったSOGIにまつわるものも広がりを見せています。毎年ゴールデンウィークに開催される「東京レインボープライド」の参加者も、2012年の約4500人から2019年には約20万人にまで増えています。
そのような社会変化のなかで、同性のパートナーを配偶者として認めるべく、社内規定を改定する動きも見られます。一例を挙げると、サントリーグループやKDDI、ミクシィ、楽天、リブセンスといった企業が、法律婚における配偶者と同様に、同性のパートナーにも慶弔休暇などの福利厚生を適用しています。
ただ、そのような動きはまだ一部の企業に限られているのが実状です。厚生労働省が2019年に実施した調査によると、「性的マイノリティに対する配慮や対応を意図した取り組みを実施している企業」は、有効回答数全体の10.1%。また、「慶弔休暇の同性パートナーへの適用」は1.6%、「家族手当の同性パートナーへの適用」は0.9%で、企業による取り組みは今後の課題といえます。
企業にとって、パートナーシップ制度の導入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。まず、性的マイノリティ当事者へのアピールになること。また、社会に対して、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいることを伝えることもできます。多様な人材が活躍できる企業として認知されることは、社員のエンゲージメント向上や採用広報の観点からもメリットといえるでしょう。
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