ルール支配行動
ルール支配行動とは?
「ルール支配行動」とは行動分析学の概念で、他者からの依頼や命令に従ったり、他者の体験を利用して自分自身も同じ行動をとったりするなど、言語的教示によって行動が制限されることをいいます。これに対して、自分が直接体験した失敗例や成功例によって行動を決定することを「オペラント行動」といいます。
他者の経験を基に行動が制限される「ルール支配行動」
守られやすいルールと破られやすいルールがあるのはなぜ?
私たちは日々、周囲のさまざまなものに動機づけられ、行動を決定しています。過去に寝坊して取引先とのアポイントに遅刻した経験がある人は、寝坊しないように複数のアラームを設定するようになるでしょう。ベランダに干した洗濯物を盗まれたことがある人は、外に干すのをやめるかもしれません。このように、私たちは過去の失敗から学び、行動を変えています。
自分自身が実際に経験したことがないことでも、さまざまな言語情報が私たちの行動に影響を及ぼしています。自分が何かをすることによって、好ましくない結果を招くとわかっていれば、私たちは意図的にその行為を回避しようとします。
例えば、自動車で移動中に「一方通行」の道路標識を見たとき、それを守らずに逆走すれば正面衝突の危険性が高まることを知っています。また、交通違反として罰せられるリスクも、 常識として身に付いているはずです。「○○という行動をすると、××という結果が伴う」という言語刺激がルールとなり、それに応じて私たちは行動を決定しているのです。
ルール支配行動は他者からの教示だけでなく、自分自身で決めたことに到達するための努力という形でも発露します。例えば、「毎日3時間以上勉強すれば、志望校に合格できる」といったもの。過去に大学を受験したことがないのに、この勉強法なら合格できると信じ込むことができるのは、他者の成功体験が私たちの行動を制限するからです。
この法則に従えば、誰もが成功できるように思えます。しかし、ルールの内容に応じて、行動の影響の大きさは変動します。何らかの行動に伴う結果が、適切な大きさでかつ確実であれば、人はそのルールに従いやすくなりますが、その行動に伴う結果が小さかったり確率が低かったりすると、ルールには従いにくくなります。
会社の研修で「毎日15分、eラーニングを受講する」という目標を立てても、15分で得られる学習の結果が小さく、累積でしか成果に現れなければ、人はルールに従いにくくなります。そうならないためにも、ルール支配行動だけに頼るのではなく、メンターが伴走して褒めたたえたり、目標達成者にインセンティブを渡したりするなど、人の手を介して別の結果を付加することが大切です。
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