ケアハラスメント(ケアハラ)
ケアハラスメント(ケアハラ)とは?
「ケアハラスメント」とは、働きながら介護を行う人に対して行われる嫌がらせや、不利益を与える行為のことを指すハラスメントの一種で、「ケアハラ」と略されることもあります。家族の介護が理由で残業ができなかったり、休まなければならなかったりする従業員に対して、人事評価を下げる、介護休暇の取得を阻害する、尊厳を傷つけるなどという行為に至ることがケアハラにあたります。介護休業は、育児・介護休業法で認められた労働者の権利であり、これを阻害するハラスメント行為は法令違反となります。
ケアハラを起こさないために
人事ができることとは
超高齢社会である日本では、介護と仕事を両立しなければならない労働者が今後ますます増えていくと予想されます。企業には、介護のための休暇や時短勤務などへの対応が求められますが、一方で、社内のケアハラへの対応はまだ不十分といえそうです。
産休・育休の場合は、子どもの成長とともに職場に復帰する可能性が高まるため、当事者も企業もある程度先を見通すことができます。しかし、介護は突然始まることが多く、終わりも見通せないことがほとんどです。
そのため、人事担当者は、自社の従業員が介護の必要性に迫られた場合、どのような権利や制度があり、会社としてどのようなサポートができるのかを事前に整理しておくことが重要です。また、介護のためにチームから一人抜けると、それ以外のメンバーの負担が増えます。各メンバーの声を聞き、ケアをすることも必要といえるでしょう。
介護のため休暇や時短勤務を行なう従業員に対して、正当な理由なく、管理職からメンバークラスへ降格させる、希望しない部署に異動させる、契約社員を雇い止めにする、などといった行為はケアハラに当たります。企業にはケアハラなどのハラスメントの防止措置が義務付けられていますので、ハラスメント対策委員会のような窓口を作り、相談できる環境を整えるといいでしょう。
また、降格などのわかりやすいケアハラではなく、「残業しなくて、いいな」「他に面倒を見てくれる人はいないのか」といった嫌味レベルのケアハラの場合、言われた側が我慢しがちでハラスメントが顕在化しにくい、という問題点があります。そのため、ハラスメント研修や管理職研修のなかにケアハラの事例も盛り込むなどして、介護休業という権利を否定するような行為は法令違反であるという認識を全社的に高めていくことが大切です。
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