【人的資本経営】の未来を担う女性リーダー育成の実践ポイント

先日、ある技術系大企業で管理職向けの研修を行いました。
その受講者の中に、数年前に「しなやかリーダー塾」を
受講された女性の方がいらっしゃいました。
終了後にお声がけいただき、
「管理職になると裁量範囲が広がり、
やりたいことがよりできるようになりました」
と笑顔で話してくださいました。
今のお立場で大きなやりがいを感じながら、
全社員が力を発揮できるよう施策を進める姿に、
とても頼もしさを感じました。
当時の受講者に「ぜひこの景色を見てほしい」と
願っていたことを思い出し、
「すべての人が安心して成長できる未来を実現したい」
と改めて決意を固めました。
それでは、今回は、
「人的資本経営の突破口としての女性リーダー育成」
というテーマでお届けします。

■【事例】女性管理職が倍増した大手製造業と経営戦略の関係
ある大手製造業では、女性管理職が極端に少ない状況から、
「女性リーダーを育成することが企業価値を高める」
という経営層と人事部長の強い想いのもと、
5年前に取り組みを開始しました。
私のアプローチは、まず経営層・人事と現場の間にある
意識のギャップを埋めることから始めました。
人事担当者から経営層の想いを共有いただくとともに、
私自身の技術系職場での管理職経験を踏まえて、
組織に起こりがちな傾向や女性社員の思考特性を丁寧に分析。
人事の方と議論を重ねながら施策を提案・実行し、
PDCAを回し続けました。
その結果、女性管理職・リーダーの数は倍増し、
「女性が管理職として当たり前に活躍する」
という新しい組織の風景が定着しました。
この流れは単なる社内施策にとどまりません。
2023年からは人的資本開示で「女性管理職比率」が
必須指標となり、内閣府(男女共同参画局)の調査では
機関投資家の半数以上が「女性役員比率」などを
投資判断に活用していることが示されています。
つまり女性リーダー育成は、
市場や投資家からの評価に直結する
経営戦略そのものといえるのです。
■最初の一歩は「実態把握」
まずは現状を把握することが大切です。
(例)
- 女性管理職候補者の人数やキャリアパスを確認する
- 上司の関わり方を点検する
- 候補者の本音を把握する
- 制度と風土のギャップを洗い出す
こうした確認を進める中で、
「想像以上に候補者が多い」
「制度はあるのに風土が追いついていない」など、
意外な気づきが得られることがあります。
その一歩を踏み出すことで、
組織の中に眠っていた可能性が見えてきます。
そこから描かれる未来は、数字の達成にとどまらず、
社員一人ひとりが安心して挑戦できる風土そのもの
につながっていきます。
実態把握から得た気づきを行動に変えることこそが、
女性リーダー育成を突破口とした
【人的資本経営】の推進につながります。
人材育成やDE&I推進を担う皆さまにこそ、
現場の実態に丁寧に目を向けて
施策を進めていただければと願っています。
このコラムを書いたプロフェッショナル
細木聡子
株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。

細木聡子
株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまで延べ7,700人以上の技術系企業の女性管理職育成に携わる。技術系企業のジェンダーギャップ解消を突破口としたダイバーシティ経営推進を支援。
得意分野 | 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、キャリア開発、リーダーシップ、マネジメント |
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対応エリア | 全国 |
所在地 | 千代田区 |
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