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現場の疲弊感を払拭し、関係性を再構築する「第三者の視点」

今回は、ある技術系企業の女性社員で、
リーダー的立場のMさんとの個別相談のやりとりから、
技術系企業によくある「ダメ出し文化」に
風穴を開けた人事部の取り組み事例について
ご紹介したいと思います。



┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■褒めてもらえずメンタルダウンの危機・・
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛


Mさんはひどくモチベーションが落ちており、
とにかく辛そうだという印象でした。

一通りお話を伺うと、仕事に対する姿勢や
後輩指導への思い、会社のために役立ちたいという
気持ちがあるものの、行動や結果としてなかなか
表れてこなないため、上司(男性)からダメ出しされて
心が疲弊してしまっている状態でした。

私は、Mさんが辛い中でもできている部分、
仕事への向き合い方など素晴らしいと思う部分を、
具体的にどのように素晴らしいと思ったのかを
具体例を挙げながら褒めました。

するとMさんが

「褒めてもらえると、自信が湧いてきて
まだ頑張ろうと思えます。ありがとうございます」


とおっしゃったのです。

私はその様子から、Mさんの現場における「ダメ出し文化」
についての対応が必要だと感じました。


→「ダメ出し文化」の中でモチベーションを保つために
https://jinjibu.jp/spcl/hosoki/cl/detl/3549/



┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■上司は期待と可能性を込めて叱咤激励!
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛


私は人事担当者の方にMさんの状況について共有すると、
人事担当者は即座に現場の実態把握に動かれました。

そこで分かったことは、上司側のダメ出しの意図は
リーダーの立場であるMさんに大いに期待していること、
まだまだ力を発揮しきれていないと思っているので、
褒めるよりも具体的に指摘したり指導するという
関わり方が主になっているという実態でした。

しかし、私がMさんと個別面談した際に伝わった
Mさんの細やかな配慮、周囲を支える姿勢、
他部署との連携に心を砕いていることについては
上司には伝わっておらず、一方のMさんにおいても、
上司の期待や叱咤激励の真意は、Mさんに全く届いて
いなかったのです。

私がMさんの本心を引き出せた理由としては、
女性社員育成に長く関わっていることや、
同じ女性であること、
男性社会で長く働いてきたという似通った境遇、
そして利害関係のほとんどない外部の立場であること
等々、
さまざまあるかとは思います。

とはいえ、普段からMさんを最も近くで見ている上司が
Mさんが持つ強みを引き出し、その力を十分発揮できるような
関わりができれば、私が関わるより何十倍もモチベーション向上に
つながり、Mさんの成長を促進させることはもちろん、
これまで以上のチーム成果をもたらすに間違いありません。


今は、Mさんと上司の方が互いに近い存在ゆえの
やりづらさ、本音の言いづらさのほうが
目立ってしまっているのではないかと思いました。



┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■「第三者の視点」を活かして関係性を再構築する
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛


もちろん、これはマネジメント側の関わり方のみでなく、
女性社員側からの上司に対する関わり方についても
変えていく必要があるかと思います。

「どうせまた怒られる」
「私は認められていないから言っても仕方ない」

時に、こんな気持ちになってしまうことも
あるかもしれません。

しかし、そのまま何も言わず、向き合うことがなければ
双方の関わり合いはすれ違いを繰り返し、信頼関係も
構築されず、負のスパイラルに陥りかねません。

とはいえ、女性社員の側から変わっていこうと
努力したとしても、上司との良好な関係性がない中で
自分から変えていこうとするのは非常に難しいものです。

その難しい状況を打開し、新たなステージに進むための
きっかけを与えられるのが、第三者的な視点・立場にある
【人事部】であると私は考えています。

人事部主導となって、上司にも部下にも気づきをもたらし、
自律的な行動変容につながるような施策展開することで、
お互いの意識が歩み寄り、それまでにない関係性を
生み出すきっかけを作ることができると確信しています。



┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■実態に即した取り組みの先にあるもの
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛


この企業様は、全国に拠点を持っており、
人材育成や職場風土改革にも力を入れていますが、
男性管理職比率8割超といった技術系企業のため、
多くのことが主に男性視点で運用されています。

そこで、人事部の方から3年前にお声がけいただき、
こちらで女性活躍推進プロジェクトに携わることになりました。

私が外部の立場として関わる意義としては、
女性社員の育成を通して女性たちの自律型姿勢を醸成しつつ、
メンタル面の拠り所としてサポートしながら、
会社側と女子社員の間にある意識の乖離を埋めて
双方をつなぐ役割を担っている
ということが
1つ挙げられるかと思います。

それと同時に、女性部下を持つ男性上司向けには
女性特有の価値観や思考特性の傾向をお伝えしながら、
うまく女性の力を引き出し成果につなげた事例を多用して
気づきを促し、多様性融合の意義を深める取り組みを
それぞれ研修として展開
しています。

もちろん、こういった取り組みで職場風土や
人間関係が一気にガラリと変わることは
難しいかもしれません。

しかし、拠点ごとに差はあれど、
徐々にお互いの心の距離が縮まり、信頼関係が
構築されている現場が増えてきているのも事実です。


このように、普段近くにはいない人事部が主導となって、
場合によっては外部の力も上手に活用しながら
現場の課題に取り組み続けることが、
技術系企業によくある「ダメ出し文化」を解決する一歩となり、
その先に見据えた、“職場風土改革”や“ダイバーシティ推進”を
自社の現場の実態に即した形で実現することに必ずつながる
んだと
私は改めて実感している次第です。



もし、男性管理職比率8割超といった技術系企業の
経営層や人事部の立場にある際には、その立場を活かし、
現場の関係性構築に役立てることはないかという視点で
施策検討する機会を設けていただければと思います。

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • リーダーシップ
  • マネジメント

◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成

元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。

細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

細木聡子
対応エリア 全国
所在地 千代田区

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