企業リスクの観点で考えるメンタル不調の早期発見/対応の重要性
『企業リスクの観点から考える メンタル不調の早期発見/早期対応の重要性』
~早めに企業リスクを判断するべき理由~
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『メンタル不調の早期発見/早期対応が重要』。
このことは、多くの企業で既に認識されていることと思います。
早期発見/早期対応の実現のため、企業ではラインケア研修などを中心に多くの取り組みがなされています。
しかしこれらは有効に機能しているでしょうか?
そもそも、なぜ早期発見/早期対応が重要なのでしょうか。
弊社ではその理由は主に以下の2つであると考えます。
(1)従業員側の不調の重症化や休職等の長期離脱を防ぐため。
(2)企業側のリスクを回避/低減するため。
このうち、(1)を意識している管理職や人事は多いと思いますが、人事責任者の立場からすると、(2)も大切なポイントになるのではないでしょうか。
企業側のリスクというのは、「メンタル不調の発生に(長時間労働やハラスメントなどの)企業要因が影響しているケース」、ということです。
もし背景にそういった企業要因があって従業員がメンタル不調になった場合には、企業側の責任が問われるリスクが飛躍的に高まります。
企業側のリスクを回避/低減するためには、早めに情報収集し、初動からの一つ一つの対応を慎重に行っていく必要があります。通常の不調者や休職者とは考慮すべきポイントも変わりますし、異なる対応をとる必要も出てきます。
例えば、通常のメンタル不調のケースですと、休職期間で回復せず復職できない場合は休職満了となって多くは自然退職ということになります。しかし、長時間残業やハラスメントなどの企業要因でメンタル不調になったケースについて同様の対応を行うと「自分がメンタル不調になったのは会社のせいだ!」と不満を爆発させて対立姿勢を招くことがあります。もしくは、その場で対立姿勢を見せていなくても退職後に訴えを起こすということもあります。実際に訴えられた場合、過去の判例から企業リスクは非常に高くなると思われます(参考:アイフル(旧ライフ)事件、平成24年12月13日判決)。このようなケースでは、会社が安全配慮義務を履行できていなかったことがメンタル不調の原因であるという理解になるので、休職期間の延長など通常とは異なる対応も想定し、どこまで何を考慮すべきか、ということを適宜判断しながら対応することになります。
こうした企業側のリスクの高いケースはトラブルになってから事態を把握すると、その後実行できる解決策は限られてしまい、対応する人事や関係者に相当な労力がかかります。
しかし、メンタル不調の早期発見/早期対応の体制ができていると、早い段階で人事に繋がり、企業側のリスクを確認できるようになります。そうすれば、リスクの高さを念頭に置いて初動から対象の従業員に対応することができるため対立や会社への不信感を増大させる事態を最小限にできます。
特に、早期発見の部分では一般的なラインケア研修などの取り組みだけではうまく機能していないという話を多くの企業で耳にします。そのようなご相談に対してキューブでは専門家の立場から、機能していない原因を考えて必要な取り組みができるようにサポートします。
さらに詳しい内容をお知りになりたい方は、ぜひセミナーへの参加もご検討ください。
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公認心理師/臨床心理士
【専門領域】産業精神保健、認知行動療法、臨床行動分析、復職訓練、ストレスマネジメント
大学院修了後、精神科、カウンセリングオフィス、大学病院にて心理検査、認知行動療法を主とした心理面接、集団認知行動療法に従事する。その後、精神保健福祉センターのディケアで生活支援や就労・復職支援に携わる。復職訓練、社内カウンセリングに従事。
長尾 文子(ナガオ アヤコ) コラボレーター

対応エリア | 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県) |
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