JILPT、「大学キャリアセンターにおける就職困難学生支援の実態」調査
~就職困難学生を就職支援者の立場で分類すると、(1)反発型、(2)学内支援限界型、(3)支援不能型~
労働政策研究・研修機構(JILPT)では、全国17大学のキャリアセンターを対象に、就職困難学生への支援実態に関するヒアリング調査を行いました。このほど調査結果がまとまりましたので公表いたします。
■調査結果のポイント
<就職困難学生を就職支援者の立場で分類すると、(1)反発型、(2)学内支援限界型、(3)支援不能型>
大学キャリアセンター職員の目線で、就職に時間がかかると思われる一般の学生(就職困難学生)の特徴を整理したところ、以下の3点にまとめられた。
(1)反発型:自己流で現実に合わない認識に基づく就職活動を貫き、職員のアドバイスを受け入れないタイプ。
(2)学内支援限界型:就職活動において自主性を欠き職員に過度に依存する学生や、自信喪失・コミュニケーション不全等の問題から、大学キャリアセンターの現状の就職支援リソースでは支援が膠着・停滞してしまうタイプ。
(3)支援不能型:キャリアセンターからの呼び出しに応じない、授業欠席が多い等の理由で、連絡がつかず、支援できない状態にあるタイプ。
以上の就職困難学生に対し、キャリアセンターでは主に(1)傾聴、(2)ハードルを下げた対応、(3)本人の自覚を促す対応、を通じて就職支援を行っていることが明らかとなった。
<発達障害等の傾向が感じられる学生に対し、就職支援上で困難を感じる場面は、(1)本人・親に対し受診の同意を得る場面、(2)本人の希望と適性に合った就業場所等を見つける場面>
障害学生支援を専門とする機関ではない大学キャリアセンターが、発達障害等の傾向が感じられる学生への対応で困難を感じる場面は主に2点あり、(1)本人・親に対し医療機関への受診同意を得る場面、(2)本人の希望と適性に合った就業場所や施設を見つける場面、であった。
<大学キャリアセンターの最大の連携先は、教員と学生相談室。ただし、連携の程度や情報共有のしやすさに課題が残る場合あり>
大学キャリアセンターでは、就職支援に関する学生への個別連絡等を教員と連携し、発達障害等や精神疾患の可能性が感じられる学生対応を学生相談室と連携することが多い。ただし、連携のスムーズさや情報共有のしやすさに課題が残るケースもあった。
※詳細な調査結果はJILPT資料シリーズNo.156として刊行し、本プレスリリースと同時にJILPTホームページに掲載する。
◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /6月18日発表・同機構プレスリリースより転載)