大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期変更に係る企業等への要請に関する申合せ(文部科学省)
国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校(以下「大学等」という。)で構成する就職問題懇談会(座長:濵口道成 国立大学協会副会長(名古屋大学長))では、「大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期変更に係る企業等への要請に関する申合せ」を取りまとめましたので、お知らせいたします。
○経緯・趣旨
大学等卒業・修了予定者(以下「学生」という。)の就職・採用活動時期については、学修時間の確保、留学等促進のため、日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)に基づき、平成28(2016)年3月卒業・修了予定者から、広報活動は卒業・修了前年度の3月1日以降に、採用選考活動は卒業・修了年度の8月1日以降に開始するよう、政府から要請が行われてきました。
就職問題懇談会では、学生の就職採用活動の秩序を維持し、正常な学校教育と学生の修学環境を確保するとともに、学生が自己の能力や適性に応じて適切に職業を選択できるようにするため、平成25年9月27日に、「大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)」を取りまとめたところです。
就職活動の早期化・長期化は、学業に専念すべき学生自身の負担になるばかりではなく、学生の成長が最も期待される卒業・修了前年度の教育に支障を来し、結果として学生の学力の低下が懸念されています。このことは、優秀な人材が育成される機会の逸失であり、将来の我が国の国力を損なうおそれのある重大な問題であることを大学側と企業側双方が十分に認識する必要があります。
この度、就職・採用活動時期が変更されることに伴い、その趣旨を周知徹底するため、特に企業に理解や配慮を求める事項について就職問題懇談会として、改めて申し合わせることとし、各大学等から学内で企業説明会を実施する企業に直接手交するなどして周知徹底を図っていくこととしています。
また、就職問題懇談会としては、学生の就職・採用活動における課題についての検討・協議に資するため、企業の採用活動における職業の選択の自由を妨げる行為や学生に対するハラスメント的な行為も含め、学生の就職・採用活動についての実態把握に努めていくこととしています。
大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期変更に係る企業等への要請に関する申合せ
平成27年2月25日
就職問題懇談会
国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校(以下「大学等」という。)卒業・修了予定者の就職・採用活動については、大学等における学生の学修時間の確保、留学等の多様な経験によって身に付けた資質能力をもとに社会に貢献できる適切な職業選択を行う機会を確保するため、平成28(2016)年3月卒業・修了予定者から、「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」(平成25年6月14日閣議決定) に基づき、広報活動 は3月1日以降開始、採用選考活動 は8月1日以降開始に変更(後ろ倒し)される。
大学等関係団体で構成する就職問題懇談会は、大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動の秩序を維持し、正常な学校教育と学生の学修環境を確保するとともに、学生が自己の能力や適性に応じて適切に職業を選択できるようにするため、平成25年9月27日付けで、「大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)」を定め、各大学等においては、全教職員が協力し、全学的にこれを実行することを求めている。
就職活動の早期化・長期化は、学業に専念すべき学生自身の負担になるばかりではなく、学生の成長が最も期待される卒業・修了前年度の教育に支障を来し、結果として学生の学力の低下が懸念されている。このことは、優秀な人材が育成される機会の逸失であり、将来の我が国の国力を損なうおそれのある重大な問題であることを大学側と企業側双方が十分に認識する必要がある。
このため就職問題懇談会として、学生の就職・採用活動が公平・公正かつ秩序をもって行われるよう、その趣旨を周知徹底するため、特に企業等に理解を求める下記の事項について、十分な配慮を求めることを改めて申し合わせる。
ついては、各大学等は、本申合せについて、学内の教職員及び学生への周知を図るとともに、企業等には求人依頼を行う際や学内での企業説明会実施時等において本申合せを手交するなど、円滑な就職・採用活動を促すよう周知徹底に努められたい。
記
1 就職・採用活動時期の変更について
(1)広報活動、採用選考活動開始時期の後ろ倒しについて
「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」(平成25年6月14日閣議決定)において決定された政府の方針に沿って、広報活動は卒業・修了予定年度に入る直前の3月1日以降開始、採用選考活動は卒業・修了年度の8月1日以降開始を遵守していただきたいこと。
※ 平成28年3月卒業・修了予定者の広報活動は平成27年3月1日に開始、採用選考活動は同8月1日に開始。
(2)採用内定日について
正式な内定日は卒業・修了年度の10月1日以降とし、採用選考活動開始(8月1日)以前の内々定を慎むととともに、9月30日以前の内々定は学生を拘束しないものである旨徹底していただきたいこと。
2 就職・採用活動の公平・公正の確保について
(1)職業の選択の自由を妨げる行為やハラスメント的な行為について
必要な人材確保に熱心になるあまり、
1 広報活動開始前又は広報活動期間中に早期に内々定を行うこと
2 正式内定開始日前に内定承諾書、誓約書をはじめとした内定受諾の意思確認書類の提出を求めること
3 8月1日以降の採用選考時期に学生を長時間拘束するような選考会や行事等を実施すること
4 自社の内々定と引き替えに、他社への就職活動を取りやめるよう強要すること
等の学生等の職業の選択の自由を妨げる行為や、学生等の意思に反して就職活動の終了を強要するようなハラスメント的な行為は厳に慎んでいただきたいこと。
(2)インターンシップについて
インターンシップとは、一般に「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と捉えられており、その実施にあたっては、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(注4) を踏まえ、適切に実施していただきたいこと。
そのため、広報活動開始前に「インターンシップ」と称した会社説明会や実質的な採用選考活動とも捉えられるような行事等は慎んでいただきたいこと。
3 採用選考活動における評価について
今般の就職・採用活動の後ろ倒しの趣旨を踏まえ、少なくとも卒業・修了前年度までの学業成果(成績や履修履歴等)を採用面接において活用するなど適切に評価していただきたいこと。
4 学生の健康状態への配慮について
採用選考活動が8月1日から開始されることに鑑み、学生の健康状態に留意し、クールビズなど必要な配慮を行っていただきたいこと。
以上
(注1)「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定) (抜粋)
第2.3つのアクションプラン
一.日本産業再興プラン
2.雇用制度改革・人材力の強化
5 若者・高齢者等の活躍推進
○若者の活躍推進
・学修時間の確保、留学等促進のための、2015年度卒業・修了予定者からの就職・採用活動開始時期変更(広報活動は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降に開始し、その後の採用選考活動については、卒業・修了年度の8月1日以降に開始)について、中小企業の魅力発信等、円滑な実施に向けた取組を行う。
(注2)「広報活動」とは、採用予定数や選考スケジュールなど採用を目的とした情報を学生に対して発信する活動であって採用のための実質的な選考とならない活動
(注3)「採用選考活動」とは、採用のための実質的な選考を行う活動であって、採用のために学生の参加が必須となる活動。
(注4)「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(平成26年4月8日一部改正 文部科学省、厚生労働省、経済産業省)(抜粋)
インターンシップと称して就職・採用活動開始時期前に就職・採用活動そのものが行われることにより、インターンシップ全体に対する信頼性を失わせるようなことにならないよう、インターンシップに関わる者それぞれが留意することが、今後のインターンシップの推進に当たって重要である。
【参考】
○「就職問題懇談会」について
大学等卒業予定者の就職活動の在り方について検討・協議を行う、国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校関係団体で構成される組織。昭和28年度から設置。(事務局:文部科学省高等教育局学生・留学生課)
(構成団体)
一般社団法人 国立大学協会、一般社団法人 公立大学協会、日本私立大学団体連合会、
全国公立短期大学協会、日本私立短期大学協会、
独立行政法人 国立高等専門学校機構、全国公立高等専門学校協会、日本私立高等専門学校協会
お問合せ先:高等教育局学生・留学生課
◆ 詳しくはこちらをご覧ください。
(文部科学省 http://www.mext.go.jp// 2月25日発表・報道発表より転載)