JILPT、様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための
集団的労使関係法制に関する研究会 報告書
JILPTでは、平成 23年 11月から「様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会」を開催してきたところです。今般、同研究会の報告書が取りまとめられたので公表します。
<報告書のポイント>
○ 労使協議の形骸化、労働組合の組織率の低下、多様な雇用形態の労働者の増加、個別労働紛争の増加、過半数代表の役割・権限の拡大などの労使関係の変化により、企業別労働組合は様々な課題に直面。とりわけ、企業別労働組合が有効に機能してきたはずの企業・事業所レベルの労使関係において、多様化する労働者の声を十分に反映し得ていないとすれば、改めて集団的発言チャネルの今後のあり方を検討する必要。
○ 過半数代表者に関する制度上の懸念から、喫緊に取り組むべき課題は、法定基準の解除を担う集団的発言チャネルの整備である。そこで、新たな従業員代表制の構想も視野に入れながら、法定基準の解除機能の担い手の実質化を図る観点から、課題とその解決のための方向性について検討。
○ 今後も、労働組合が集団的労使関係において団体交渉を通じて労働条件設定における中核的役割を担うべきであることが基本スタンス。その上で、次の2つのシナリオを念頭に考察。
(1)現行の過半数代表制の枠組みを維持しつつ、過半数労働組合や過半数代表者の機能の強化を図る方策
(2) 新たな従業員代表制を整備し、法定基準の解除機能等を担わせる方策
○ まずは過半数代表者の複数化・常設化等を図った上で、それが日本の労使関係の中でどのように役割を果たすかを検証しながら、新たな従業員代表制の整備の必要性を検討することが適当。
○ 過半数代表者の機能強化により、全従業員のために苦情処理機能を担うようになれば、非正規労働者等の不満や苦情の受け皿としての役割を果たすこととなる。正規労働者と非正規労働者の処遇格差に対して、分権化した労使レベルで問題を解決することが可能となる。
○ 今回提案した取組により、我が国の集団的発言チャネルが今後どのように発展していくのか等を見据えながら、集団的発言チャネルの労働条件設定機能を高めるための方策について引き続き検討していくことが必要。
◆詳細はこちらから
独立行政法人 労働政策研究・研修機構
研究調整部長 千葉 登志雄
研究調整部次長 田中 伸彦
03 (5991)-5102
(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /7月30日発表・同社プレスリリースより転載)