マンパワー、労働白書
「中国で勝つために~優秀な人材を獲得する競争力の確立~」を発表
総合人材サービスのマンパワー・ジャパン株式会社(本社・神奈川県横浜市、取締役・代表執行役会長兼社長:ダリル・グリーン、資本金:40億円)は、この度、グローバル規模でまとめた労働白書『中国に勝つために~優秀な人材を獲得する競争力の確立~』を作成しました。
この白書では、最近中国系民間企業の労働環境が改善していることから、以前は中国人労働者の間で評価の高い就業先であった外資系企業の魅力が失われつつあることを指摘しています。そのため、外資系企業が求める中国人労働者の獲得は次第に困難になっており、今後ますます人材獲得競争が激化すると予想されます。マンパワーでは今回の労働白書を通し、中国に進出している外資系企業並びに中国系民間企業に対しても、優秀な人材を確保するための的確な人材戦略の重要性を提言しています。
特にこの労働白書では、人材不足が深刻なマネージャー層に対しての人材獲得競争が今後ますます激しくなると予想しています。マンパワーの調査によると、中国系民間企業を望む求職者のうち61%にあたるマネージャー層が、就職先の第一志望として中国系民間企業を選ぶと回答しており、中国に進出している外資系企業にとって、より人材の獲得が困難な状況になることは間違いないといえます。このような動きには、以下のような要因が考えられます。
(1)中国系民間企業を選んだ主な理由として、「報酬と福利厚生が良い」と回答した求職者が43%、「長期的なキャリア開発を推進している」と回答した求職者は59%にのぼり、共に外資系企業より7ポイント高い結果となっています。
(2)外資系企業には「ガラスの天井」と呼ばれる見えない昇進の壁が未だに存在していることも事実で、多くの有能な中国人エグゼクティブが、外資系企業での昇進に対し限界を感じており、より昇進の可能性が高い中国系民間企業への就業を選択するようになってきています。
中国に進出している外資系企業の人事担当者の6割が、中国系民間企業との人材獲得競争による影響を受け始めていると実感。しかし、一方で求める人材を確保するために何らかの対策を講じている企業は少ないようです。
さらに、2008年秋に米国から世界に広がった金融危機により、外資系企業は中国国内での生産量や人員を削減するという動きもありました。そのため、外資系企業の対応に不満を抱く中国人労働者も少なくなく、彼らにとって外資系企業の魅力が薄れてしまったようです。ただし、報酬と福利厚生面で外資系企業よりも高い評価を得ている中国系民間企業は、企業文化の醸成や能力開発における新たな機会の提供といった面では外資系企業に遅れをとっていることも事実で、今後改善できる余地があります。
■ 好む企業について ■
質問「次に転職するとしたら、第一志望はどちらのタイプの企業ですか?」に対する回答
中国系民間企業
中国系民間企業を第一志望に挙げた求職者の割合が、2006年度比で5%上昇
外資系企業
外資系企業を第一志望に挙げた求職者の割合が、2006年度比で10%下落
《ジェフリー・ジョレス( マンパワー会長・社長兼CEO) のコメント》
「中国系民間企業は、現地の中国人労働者にとって魅力的な就業先と認識され始めているため、“黄金のブランド(Golden Brand)”と評された外資系企業にとって脅威となっています。外資系企業は、今後ますます増えることが予想される中国でのビジネスチャンスに対応するために、人材の確保を重要視する必要があり、中国系民間企業との間で激化する人材獲得競争に対して何らかの対策を打つことが不可欠です。また、企業の人事部は、福利厚生や報酬、トレーニング、キャリア開発の機会をはじめ、中国人の管理職層が求めるニーズを的確に把握し、積極的に人材戦略を打ち出すことが重要です。外資系企業が中国における事業拡大を達成するために必要な人材を確保することができなければ、事業拡大の可能性やビジネスチャンスの芽を摘んでしまうことになりかねません」とコメントしています。
マンパワー・ジャパン株式会社 http://www.manpower.co.jp//同社プレスリリースより転載