ピースマインド、7034件のカウンセリングデータによる大規模調査を実施
− 労働者の健康度別に相談内容を分析 −
メンタルヘルスサービスを提供するピースマインド(東京都中央区、荻原国啓・代表取締役社長)の調査・研究組織「ピースマインド総合研究所」は、7034件のカウンセリングデータを基に、ご利用者の精神的・社会的健康度を高・中・低群に区分し、各区分における相談内容を調査・分析、その傾向をまとめました。調査概要と主な分析結果は以下のとおりです。
− 調査・分析結果の概要 −
【 目的 】
経済不況により社会的環境が悪化するに伴い、労働者のメンタル不調者が増加している。病気になった後のケアや対応だけではなく、メンタルヘルスの予防に繋がる活動が必要とされている。その取り組みの一つとして期待されるカウンセリングサービスにおいて、多様化・複雑化している労働者(およびその家族)の属性や相談内容に応じたサービスとカウンセリングの質向上に反映させるため、健康度別に相談内容を調査し、その傾向を分析する。
【 対象 】
ピースマインドの契約企業・団体従業員及びその家族のうち、カウンセリングサービス(対面、電話、オンライン)の利用者
男性:3773件、女性:3261件、計7034件(のべ件数)
【 期間 】
2008年10月−2009年6月 計9ヵ月間
【 方法 】
カウンセラーによって記録されたカウンセリングデータを基に、利用者の健康度(GAF尺度※を用いて評定し、高・中・低群に区分)と相談内容との相関について解析を行う。
※ GAF尺度とは
症状の度合い(程度)と社会的にどれくらい機能しているかを、総合的に数値で表現したもの。0から100で表し、数値が高いほど健康度が高い。1987年アメリカ精神医学会の精神疾患の診断基準マニュアル(DSM)に取り入れられ、現在では広く用いられている。
【 結果 】
< 利用者の傾向 >
・ カウンセリング利用者の 約4割が健康度「高」群 である。
・ 性別による健康度の分布の差はみられない。
< 健康度別の相談傾向 >
・ 健康度「高」群 の主な相談テーマは、「仕事の質」「恋愛」。
・ 健康度「中」群 の主な相談テーマは、「仕事の量」「ワークライフバランス」「復職」。
・ 健康度「低」群 の相談テーマは、「休職」「人間関係」が多く、内容は多様。健康度が下がるほど復職相談が増加する。
・ 健康度「低」群と気分障害傾向には弱い正の相関 がある。
・ 健康度 高・中・低 の区分に関係なく、それぞれ 10%前後の夫婦関係の相談 がみられる。
・ 全体では、約7割が仕事関連の相談 となっている。
< 考察 >
・ 健康度が高いほど、カウンセリングの場で自己分析しながら問題解決に取り組んでいる傾向がうかがえる。
・ 健康度が高いほど、相談の内容は仕事量から質の問題へと変化する。
・ 健康度が低いほど人間関係全体の悩みであり、高くなるほど恋愛など特定の関係の悩みとなる。
・ 健康度が低いほど、気分障害に悩み、休職や復職など職業生活にとって切実な問題を相談していると思われる。
・ 夫婦関係の相談は、健康度に関係なく存在する。
全体としては、従来のカウンセリングでは少数とされていた精神的・社会的健康度が高い層の利用が目立ち、半数近くを占める結果となった。気分障害や人間関係といった従来型の悩みの相談もある一方で、日常生活に特に支障はないものの、より良い生活の実現を求めてカウンセリングを積極活用するという層が一定数存在し、カウンセリングの新しい使い方が浸透しつつあることがうかがえた。
※ 健康度について
< 健康度高位 >
症状が全くないか、あったとしても一過性のものである。または、社会的・職業的・学校生活面で、障害はほとんどない。もしくは全くない。
< 健康度中位 >
いくつかの中度から軽度の症状がある。または、社会的・職業的・学校生活面でいくつかの困難がある。
< 健康度低位 >
自殺に関わるような、または他社を傷つけるなどの重大な症状がある。または、社会的・職業的・学校生活面で深刻な障害がある。
◆ 本プレスリリースの詳細はこちらをご覧下さい。
ピースマインド http://www.peacemind.co.jp /同社プレスリリースより抜粋・9月29日