「職場におけるインシビリティ(礼儀や尊重を欠いた言動)に関する実態調査」を実施
高圧的な言動・労いの欠如が頻発。仕事満足度やエンゲージメント低下、離職意向が上昇
人事プロフェッショナルブティック「CORNER」を運営する株式会社コーナーは、全国の20~50代ビジネスパーソン624名を対象に、「職場におけるインシビリティ(礼儀や尊重を欠いた言動)に関する実態調査」を実施しました。その結果、「感謝・労いの欠如」「高圧的な言動」は約8割が経験し、「機会の不公平」「話の遮り」など約半数が何らかのインシビリティを経験していることが判明しました。対面での1on1・会議、上司との場面で多く見られ、価値観の差や忙しい状況で発生しやすいという特徴が見られました。
インシビリティはハラスメントほど明確な規範に照らして処理されることが少なく、見過ごされがちな概念です。本調査では、職場におけるインシビリティの「頻度」「経験者の属性」「発生場面」「影響行動」を可視化し、日常の無礼が組織に与える影響と、その背景にある構造を明らかにしています。
調査サマリー
- 「感謝・労いの欠如」「高圧的な物言い」「機会・役割の不公平」「話の遮り」など、約半数が何らかのインシビリティを経験。中でも「感謝・労いの欠如」「高圧的な物言い」は約8割が経験している。
- インシビリティを受けた後は心理的ストレスや離職意向が増加。組織へのエンゲージメント低下が進み、発言・提案・協力行動が減少するなど、個人・組織双方に負の影響が生じる。
- 発生場面は「対面での1on1や少人数での会議」「直属の上司・上位管理職」との場面で最も多く、価値観・コミュニケーションスタイルの違いや、忙しく余裕がない状況で起きやすい。
※インシビリティ(Workplace Incivility)とは
相互尊重という職場の規範に反しながらも、意図が明確でない低強度の逸脱行為。具体的には、言葉を遮る、感謝を示さない、貢献を軽視する、意思決定から排除するなどの行為。
主な調査結果
【インシビリティの内容と発生頻度】
回答者の半数程度が何らかのインシビリティを受けた経験があり、中でも「感謝・労いの欠如」と「ぶっきらぼう・高圧的な物言い」は約8割が経験している。「機会・役割の不公平」「話の遮り」「陰口・排除的ジョーク」など、対人関係や評価にかかわる行動も経験割合が多い。
【経験後のモチベーションへの影響】
インシビリティを受けた後、提案・協力・挑戦など“前向きな行動”は大きく減少し、「仕事の満足度」「パフォーマンス」「組織への信頼」は25〜30%台で減退。反対に、心理的ストレスと離職意向は顕著に増加している。インシビリティを受けることで、個人の状態悪化と組織へのエンゲージメント低下が同時に進むリスクが高いことが浮かび上がっている。
【発生相手と状況】
インシビリティが起きやすい状況として最も多く挙げられたのは、「価値観・コミュニケーションスタイルの違い」と「時間や人手に余裕がない」で、直属上司・上位管理職との場面で割合が高い。同僚間では、立場差よりも価値観や距離感が要因になりやすい。
解説 コーナー 代表取締役CHRO 門馬貴裕
本調査では、職場で見過ごされがちなインシビリティが、多くの企業で日常的に発生している実態が明らかになりました。特に、感謝や労いの欠如、高圧的な言動といった低強度の無礼は、個人のストレスや離職意向だけでなく、提案・協力といった前向きな行動の減少を通じて組織全体の生産性に影響を及ぼします。背景には、役割の非対称性やコミュニケーションスタイルの違いに加え、時間的余裕の乏しさといった構造要因が存在します。インシビリティはハラスメントほど明確な線引きが難しい領域ですが、グレーゾーンであるがゆえに放置されやすい課題です。企業には、行動基準や役割整理、対話スキルの底上げを通じて、日常の摩擦を最小化する仕組みづくりが求められます。
調査概要
調査タイトル:職場におけるインシビリティ実態調査
調査対象:日本国内での就業中の20〜50代正社員の男女
調査期間:2025年9月17日〜9月19日
サンプル数:624名(男女各312名、年代各78)
調査実施者:株式会社コーナー/マクロミル
調査方法:Webアンケート調査
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社コーナー /2025年11月20日発表・同社プレスリリースより転載)
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