「2025年ミドルの求人動向」調査
約8割が、2025年においてミドル人材の求人は「増加する」と予測。
エン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:鈴木孝二)が運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』上で、サイトを利用している人材紹介サービスの転職コンサルタントに「2025年ミドルの求人動向」についてアンケートを行ない、231名から回答を得ました。以下、概要をご報告します。
■結果 概要
★ 72%のコンサルタントが、ミドル人材対象の求人が「増加していると感じる」と回答。
★ 約8割が、2025年においてミドル人材を対象とした求人は「増加する」と予測。理由トップは「若手の人材不足により、採用人材の年齢幅を広げざるを得ない」。
★ 66%が、ミドル人材の採用で企業が求めるスキルは「高いレベルでの業務遂行能力」と回答。ここ2~3年、求められるスキルは「変化してきている」と67%が回答。
★ 2025年はミドル人材にとって「転職に適した年だと思う」と回答したコンサルタントは79%。
■調査結果 詳細
1:72%のコンサルタントが、ミドル人材対象の求人が「増加していると感じる」と回答。
転職コンサルタントに「直近、“35才以上”のミドル人材対象の求人増減は変化していると感じますか?」と伺うと、72%が「増加している」(増加している:33%、どちらかといえば増加している:39%)と回答しました。「増加している」と回答したコンサルタントに、ミドル人材を対象とした求人募集が増えていると感じる“業種”を伺うと、トップ3は「メーカー」(46%)、「IT・インターネット」(42%)、「建設・不動産」(38%)でした。ミドル人材を対象とした求人募集が増えていると感じる“職種”を伺うと、トップ3は「営業」(36%)、「経理・財務・会計系」(35%)、「経営企画・事業企画」(29%)という結果に。求人が増えている“ポジション“については、「課長クラス」(58%)が最多。求人が増えている”エリア”は、「関東(1都3県)」(82%)とそのほかエリアと大きくポイントに差が出る結果となりました。
続いて、直近、ミドル人材対象の求人が「減少している」と回答したコンサルタントに、減っていると感じる“業種“を聞くと、トップ3は「メーカー」(39%)、「IT・インターネット」(39%)、「建設・不動産」(32%)でした。一方、求人が減っていると感じる”職種”トップは「技術系(IT・web・通信系)」(32%)、“ポジション”トップは「部長・次長クラス」(54%)、“エリア”トップは「関東(1都3県)」(68%)で、増えている印象を抱く方もいれば、減少していると感じる方もいることが分かりました。
2:約8割が、2025年においてミドル人材を対象とした求人は「増加する」と予測。理由トップは「若手の人材不足により、採用人材の年齢幅を広げざるを得ない」。
転職コンサルタントに「2025年においてミドル人材を対象とした求人募集はどのように変化するとお考えでしょうか?」と聞くと、82%が「増加すると思う」と回答しました。理由も伺うと、最も多かった回答は「若手人材の不足により、年齢幅を広げざるを得ない」(56%)でした。次いで、「既存事業拡大に伴う、経験者募集が増えている」、「管理職が不足している」(同率39%)が続きます。
続いて、ミドル人材を対象とした求人募集が増加すると見込まれる”業種”を聞くと、トップ3は「メーカー」(47%)、「建設・不動産」(45%)、「IT・インターネット」(44%)でした。増加すると見込まれる“職種”については、「経理・財務・会計系」(40%)、“年齢層”については「40代前半(40才~44才)」(72%)、“年収帯”は「700万円~799万円」(53%)、“企業タイプ”は「中堅・中小企業」(79%)、“ポジション”は「課長クラス」(64%)が最もポイントが高い結果となりました。それぞれ、具体的なコメントも紹介します。
また、 2025年においてミドル人材を対象とした求人募集が「減少すると思う」と回答した方に理由を伺うと、「企業の採用自体が鈍化するため」、「景気回復の兆しが見えないため」が36%で同率1位でした。
Q.求人増加が見込まれる”業種”について、その理由を教えてください。
▼「メーカー」と回答した方
・メーカーに関しては組織的若返りがテーマになっているものの、その若手の育成もテーマであり、35才以上の採用が増加している傾向がある。
・半導体、自動車を中心に新しい開発領域への対応を余儀なくされており、その領域のマネジメントが出来るミドル層の採用が増加している。
▼「建設・不動産」と回答した方
・施工管理技士においては、過去民主党政権時代の事業仕分けで建設系の大学卒が建設業界を避けたことにより、現役世代が50代~60代となり、20代~30代が枯渇している。未経験若手の採用も増えるも、即戦力として50代~60代の求人も増えている。
・DX推進を加速させるために必要な「データセンター」の案件が増加。それに伴い、年代問わず経験者採用の求人増加が見込まれる。
▼「IT・インターネット」と回答した方
・人口減少による労働力の不足により、業務効率化や省人化のニーズは引き続き続く見込み。ITやAIなどの業界はまだまだ伸びると予測している。
・IT人材は慢性的に不足しているが、若手のIT系候補の数は増えることはなく年齢幅を広げざるを得ない。
Q.求人増加が見込まれる”職種”について、その理由を教えてください。
・メーカーの業績好調企業においては、事業拡大による管理職ポジション(経営企画、事業企画、経理・人事)などが求められる。
・技術職や資格を持っている求職者は、給与UPやワークライフバランスの改善をベースとした理由で転職する方が増えており、2024年問題によりさらに増加する傾向にある。
・レガシー産業向けのSaaSやプロダクト、コンサルティング需要が伸びる中で他サービスとの差別化や導入拡大の為にドメインエキスパートが求められ始めてきているように感じる。そのため、業界知見が深いセールスやコンサルティング、経営層が求められてくると想定している。
Q.求人増加が見込まれる”年齢層”について、その理由を教えてください。
▼「30代後半(35才~39才)」「40代前半(40才~44才)」と回答した方
・“中年の危機”に該当する年代であり、元々流動性が高いが、それに伴い流出する人材も増加。また、この年代は専門性もある程度確立してマネジメントを経験している人も多くいるため、即戦力として魅力的。
・少し前までは50代前後でもニーズがある印象だったが、経験豊富な次期経営層の採用がある程度一巡し始めたことと、若手経営者が増えたことから、30代~40代前半までの優秀層のニーズが高まっていると感じる。
▼「40代後半(45才~49才)」「50代前半(50才~54才)」と回答した方
・中小企業は若手の採用に弱いため、40代後半以上をターゲットに人員確保を狙うことが想定される。50才でも、あと15年~20年は働けると考える企業も増えている。
・マネジメント経験、求める職域の経験の両面を満たし、かつ5年~10年働ける年代が45才から55才のため。
▼「50代後半(55才~59才)」と回答した方
・年金受給額の不安もあり、シニア層の方でも就業されている方が増加している。転職市場でも60代の方が転職活動をされている現状がある。
・50代後半はまだまだ現役として働けると考えている。
Q.求人増加が見込まれる”年収帯”について、その理由を教えてください。
・企業の規模や業績によっても異なるが、一般的に中小企業の課長職(500~600万円)、およびその上のクラス次長・部長級(700~800万円)の求人が増えている。
・最近ではジョブ型雇用の流れも発生しており、若い年齢の方でも年収帯の向上は見られる傾向にある。そのため、800万円以上の提示は増えていくと想定している。
・昨今の物価高圧力と政府の最賃の引き上げが影響しこの2~3年はベースアップせざるを得ない企業が増えた。これまでよりも、上昇傾向で年収帯は推移すると推察。
Q.求人増加が見込まれる”企業タイプ”について、その理由を教えてください。
・中堅/中小企業においては、管理職が60代を超えていることが多く、世代交代をしたいが次の世代が育っていない。
・人材流失を防ぎたい中小企業や、採用を強化して事業成長をしたいベンチャー企業などは、年収を引き上げなければ採用が出来ない状況。ミドル層の採用の増加はもちろんハイレイヤーの採用は増えると考える。
・日本市場への投資や市場拡大を図る外資系企業が増えている。特に、アジア太平洋地域で拠点を強化する企業が多く、マーケティング、営業、管理職などのポジションで求人増加が見込まれる。
・若手は東京に目が向いているため、地方企業はネームバリューや企業イメージから若手の採用が難しい。そのため、ミドル層の採用が必要。
Q.求人増加が見込まれる”ポジション”について、その理由を教えてください。
・部長級の求人も発生する機会は多いが、基本的には次世代を担う採用が多いため、課長・係長レイヤーからメンバークラスの採用が多いと考えている。
・メンバークラス(経験無し、ポテンシャル採用)は上手くいっているが、そのメンバーを管理する層が圧倒的に足りていない為、部長/次長クラス以上の相談が多い印象。
・マネジメント職の採用は色々とハードルが高く、募集しても選考通過しづらい。また、定着難易度も高いため、メンバークラス層からの募集は続く見込み。
3:66%が、ミドル人材の採用で企業が求めるスキルは「高いレベルでの業務遂行能力」と回答。ここ2~3年、求められるスキルは「変化してきている」と67%が回答。
転職コンサルタントに「ミドル人材の転職者に”採用企業が求めるスキル”の上位3つ」を聞くと、「高いレベルでの業務遂行能力」(66%)の回答が最多でした。続いて、「直近2~3年と比較して、ミドル人材に求められるスキルは変化してきていますか?」と伺うと、67%が「変化してきている」と回答しました。それぞれ具体的なコメントを紹介します。
Q. ミドル人材の転職者に対して”採用企業が求めるスキル” について、理由を教えてください。
▼「高いレベルでの業務遂行能力」と回答した方
・ミドル層になると若手に比べて柔軟性が劣りがちな傾向にあり、これまでの価値観や経験を柔軟に変更/順応させていくことは容易でない。そうなった際に企業が求めるものとしては、汎用性の高いスキル(マネジメントやそもそもの高い業務遂行力)だと考える。
・様々ハラスメントの制約が部下との関係性に強く影響しており、それをうまくクリアしつつも業務遂行できる能力が求められている。その付加価値として様々なテクノロジーを活用する能力も評価されつつある。
▼「目標や課題を自ら設定し、解決策を考える能力」と回答した方
・ミドル層には「成果」を出す事が求められるが、市場が大きく変化するのこの市場ではこれまでの成功体験だけで成果を出す事は難しくなっているため。
・自ら考えて、解決策を見出し、実行できる人材が求められる。
▼「業界に適応できる高い専門性」と回答した方
・特殊な技術、発明による商品またはサービスを持ち、独自のマーケティング戦略を展開するため。
・日本市場での拡大には限度があり、他の市場への進出による拡大を狙う必要があるため。
Q.直近2~3年と比較して、ミドル人材に求められるスキルが変化しているかについて、回答とその理由を教えてください。
▼「変化してきている」と回答した方
・業務スキルによっては部下なし管理職のキャリアが描けたり、マネジメントが出来る方はマネージャとしてご活躍をいただいたりと、候補者のみならず企業側においても多様なキャリアが実現できるように体制を整えているケースが多い。そのため、企業側が求めるスキルが多様化しており、候補者サイドは自由度が増している。
・転職が広く知られようになったため、知識の豊富なミドル人材の採用企業が増えてきている。スキルも変化があり、マネージャではなく、プレイングマネージャを採用したい傾向にある。
・従来のようなただマネジメント経験の有無だけでなくジョブ型雇用を目指す企業も増えた。これにより、ジョブディスクリプション(職務記述書)相当のスキルが必要になっている為。
・とくに、メンタルヘルスに関してや働き方に理解を求めている人材が増えてきている。
▼「変化してきていない」と回答した方
・求めるスキル自体は変化していない。一方で、これまでは書類で見送りになっていたスキルの方に対して面接を組み、“会って、一度話を聞いてから判断する”など、スタンスが変化している。
・土木など特に人材が不足している職種では、求人票の細かな見直しなども増えているが、見直し内容は“要件緩和”では無く、より具体的な記載への変更だったり、活かせる経験の追加だったり、求職者の目に留まりやすくするような変更が多い印象。
・業務に関わる専門知識、経験や、管理職の場合はマネジメント能力、実績などが求められており、これらは従来から特に変化は感じられない。
4:2025年はミドル人材にとって「転職に適した年だと思う」と回答したコンサルタントは79%。
転職コンサルタントに「2025年はミドル人材にとって、転職に適した年だと思いますか?」と聞くと、79%が「思う」と回答。具体的なコメントも紹介します。
Q. 2025年はミドル人材にとって、転職に適した年だと思うかについて、回答とその理由を教えてください。
▼「思う」と回答した方
・ITを軸に言えば、2025年の崖(DXレポート)により老朽化システムを刷新しなければ多大な損失が生じる可能性があること。それ以外では超高齢化社会突入による労働者不足、再雇用促進の助成金、税優遇などの整備が出来ていること。
・2025年問題や経営層の高齢化、大手の人員削減などマイナスなニュースが多いことが、転職に関しては追い風。会社の生き残りをかけて優秀な人材を集めたい、という意思が働く。
・大手企業では特に新卒採用に苦戦しており、中途採用を事業計画のポイントにしている企業が多く、候補者がある程度良い条件の企業を選べる立場。
▼「思わない」と回答した方
・転職市場感として、やはり即戦力とはいえミドル層になるとポストが空かないと採用枠がなかったり、1社経験で長期就業が見込まれても専門的な知識をスライドで活かせるところが少ない。
・65歳までの雇用が義務化され、高齢者の有効活用が重要視されることから、働く高齢者が増えると想定。
・政治、海外情勢が非常に曖昧なため。
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『ミドルの転職』を利用するコンサルタント
■調査期間:2024年10月24日~10月31日
■有効回答数:231名
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(エン・ジャパン株式会社 /11月28日発表・同社プレスリリースより転載)