2023年度 教育研修費用の実態調査
従業員1人あたりの研修費用は32,412円
コロナ禍後は回復傾向に
今後の教育研修費総額は、ここ数年で最も高い「増加」意向
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび、「2023年度(第47回) 教育研修費用の実態調査」を実施しましたので、結果をお知らせします。
この調査は、企業内の教育研修の実態を知るため、1976年からほぼ毎年実施しているものです。第47回目となる今回の調査では、例年と同じく国内企業における教育研修費用総額と従業員1人あたりの教育研修費用、昨年度の予算額や実績、今後の方向性などを聞いています。新型コロナウイルスの影響により、ここ数年は教育研修費用にも動きが出ています。このような状況を踏まえながら、自社の教育制度の現状把握や見直しの際の参考にしていただければと思います。
なお、本調査の詳細データは、『企業と人材』2023年10月号(№1128)に掲載しています。
<主なポイント>
(1)従業員1人あたりの研修費用は32,412円。コロナ禍を経て回復傾向に。
(2)教育研修費用総額を「増加」見込みの企業は6割強。
(3)2023年度に重点的に取り組む教育研修は「新入社員教育」「選抜型幹部候補者育成教育」など。
<調査詳細>
1 従業員一人あたりの研修費用の推移
2022年度の従業員1人あたりの研修費用は32,412円
回復傾向にあるが、コロナ禍以前の金額までは戻らず
教育研修費用の総額を回答企業の正規従業員数で割った「従業員1人あたり研修費用」の2022年度実績額の平均は32,412円であった。1人あたりの教育研修費用は、コロナ禍となった2020年に大きくに減少したが、今回の調査ではコロナ前の水準に戻りつつある傾向がみてとれる。
一方で、オンライン化による研修の効率化(回数や交通費の削減など)、必要な研修の整理・統合などを図っている企業もあることなどから、今後の動向も注意してみていきたい。
2 教育研修費用総額の今後(1~3年)の方向性
教育研修費用総額を「増加」見込みの企業は6割強
ここ10年ほどで最も高い増加意向がみてとれる
今後(1~3年)の教育研修費総額の見込みについてたずねたところ、「かなり増加する見込み」が9.7%、「やや増加する見込み」が53.1%で、合わせて62.8%と6割強となった。
増加見込みの企業はだいたい5割前後で推移しており、2020年度に3割弱と大きく落ち込んだが、その後回復、2023年度調査ではここ10年ほどで最も高い増加傾向となった。
「増加」見込みの理由としては、「コロナ禍が落ち着いたことで研修全体の見直しを検討しているため」「コロナ禍で中断していた研修を再開するため」「経営方針として人材育成に力をいれるとしているため」「キャリア教育やデジタル教育、リスキリング関連の教育を新設・強化するため」といった声があがっていた。
3 2023年度(今年度)重点的に取り組む教育研修
2023年度に重点的に取り組む教育研修は、
階層別教育は「新入社員教育」「中堅社員研修」
職種別・目的別教育は「選抜型幹部候補者育成教育」
2023年度(今年度)に特に重点的に取り組む教育として、階層別教育8項目、職種別・目的別教育14項目のなかから3つまでを選んで回答してもらったところ、最も多かったのは、例年同様、「新入社員教育」(階層別教育)だった。次いで、「中堅社員教育」(階層別教育)、「選抜型幹部候補者育成教育」(職種別・目的別教育)、「初級管理者教育」(階層別教育)などとなっている。
このほか、職種別・目的別教育のなかでは、「DX・デジタル教育」や「メンタルヘルス・ハラスメント教育」が高くなっていた。
<調査要領>
調査対象 : 上場企業および当社会員企業から任意抽出した約3,000社
調査時期 : 2023年6~7月
調査方法 : 郵送によるアンケート方式
集計方法 : 締め切り日までに回答のあった147社で集計。
本リリースに関する取材などのお問い合わせ
株式会社産労総合研究所「企業と人材」編集部 担当:片上、原
TEL 03(5860)9795 MAIL edt-e@sanro.co.jp
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社 産労総合研究所/11月7日発表・同社プレスリリースより転載)