シニア世代(60歳以上対象)の求職活動実態調査
60歳以降の求職者の約半数が「経済的な理由で収入を得るため」に仕事を探しているが、そのうち約3割は採用された経験がないことが明らかに。
世界No.1求人検索エンジン* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、以下Indeed)は、9月18日の「敬老の日」を前に、 60〜89歳の男女30,198名を対象に、「シニア世代の求職活動実態調査」を実施しました。また、そのうち60歳以降に「経済的な理由」で求職活動を実施したことのある1,579名を対象に、採用された経験のある人とない人を比較し、採用成功のためのポイントを明らかにしました。
*出典:Indeed社内データ 2022年4~9月
<調査実施の背景・Indeedの求人/仕事検索データから見えること>
総務省統計局によると、65歳以上の高齢就業者数は2004年以降、18年連続で前年に比べ増加し、2021年は909万人と過去最多となっています。実際に、Indeed上で「60歳/60代」「70歳/70代」に関連するキーワードを用いた仕事検索の推移を調査したところ、「60歳/60代」の仕事検索数は5年間で4.0倍、「70歳/70代」の仕事検索数は5年間で14.7倍に増加しており、シニア世代の就業意向が高まっている様子がうかがえます。
一方、60歳以上を積極的に募集している求人割合を調査したところ、過去5年間で求人割合の増減はあったものの、2020年8月をピークに以降は右肩下がりの傾向が続いており、求職者ニーズとのギャップがあることがうかがえました。この背景として、以下の3つの可能性が考えられると、Indeed Hiring Labエコノミストの青木雄介は言います。
『60歳以上の採用に意欲的な求人は、2020年8月をピークに下がっています。時期的には、第一次緊急事態宣言と第二次緊急事態宣言の間に位置し、パンデミックがだんだん深刻に感じられるようになってきた頃です。そういった状況を背景に、(1)当時はまだワクチンが浸透しておらず健康リスクを考慮した企業が増えた可能性、(2)コロナ禍に対面業務を中心とする求人数が大きく減少する中、将来の先行き不透明さから高年齢層を積極的に採用しようと考える企業が減った可能性、(3)リモートワークへのシフトが急激に進み、労働者のITスキルや自主性が一層求められる中、採用企業は、高年齢層の人材に一様にITスキルがあるか・高年齢層の経験の活用が円滑に進むか等を不安視し、ある特定の層を積極募集するよりも、求職者個々人のポテンシャルやスキルにより向き合うことを優先するようになった可能性などが考えられます。』
Indeedの調査データからは、ますます増加する60代以降の求職者と、実際に企業が高年齢層の人材を積極採用しようとしているトレンドとの間に、大きなギャップがあることがうかがえます。
そこで、9月18日の「敬老の日」を前に、雇用の障壁やバイアスに直面することの多い60歳以降の求職者の方々への支援やヒントに繋げたいと考え、60歳以降の方々の求職活動の実態や、その中でも特に多い「経済的な理由」で求職活動をしている方に焦点を絞り、採用成功のポイントを明らかにするための調査を行いました。
<「シニア世代(60歳以上対象)の求職活動実態調査」結果要約>
●60歳以降の35.9%が求職活動経験あり。そのうち約半数(48.5%)が、経済的な理由で収入を得る必要があるために仕事を探している。
<60歳以降に経済的理由で求職活動を行っている人の特徴>
●60歳以降に経済的理由で職探しをしている人の約3割(27.0%)は採用に至っておらず、高い水準にあることが明らかに。
・半数以上が年齢を理由に公平に選考されていないと感じている。年齢が選考の妨げになった理由は、企業に「体力に不安がある(41.7%)」「健康に不安がある(26.8%)」「長期間勤務できない(26.3%)」「扱いづらい(23.7%)」と思われたと感じている人が多い。
・応募社数は、採用経験のある人は平均2.53社・ない人は平均2.47社と、ほぼ変わらない。
●採用に至った人のうち、84.8%が条件を緩和して仕事を見つけている。そのうち72.7%は仕事に満足しており、64.6%は入社後活躍できていると感じ、62.6%はやりがいを持って仕事をしている。
●採用に至った人のうち、47.2%が待遇や仕事内容にこだわりすぎないこと、25.9%が自身の強みの理解とアピールが、採用成功の秘訣だと考えている。
●採用に至っていない人のうち、半数以上(51.0%)は自身が採用に至らない理由がわからない。求人応募数の少なさや自身の経験・スキル不足を不採用理由として考える人も多く、採用された人との意識ギャップあり。
<調査結果に関する有識者コメント:労働政策研究・研修機構 理事長 藤村 博之氏>
人手不足と言われながら、シニア世代が応募してくると、企業は慎重になって採用を躊躇するという実態があります。今回の調査は、シニア層の求職状況を調べ、求職側から見た就職の問題を浮き彫りにしているといえます。特に、年齢が採用への障壁となったと感じたことがあると回答した781人にその内容をたずねたところ、企業側に体力や健康面の不安、長期間勤められない、扱いづらいと思われたという点が上位になりました。60代以上の層がその下の年代層に比べて、病気になったり怪我をしたりする確率が高くなることは、否めない事実です。しかし、そこには個人差があり、体力や健康面に何の問題もなく働いている人は大勢います。
雇用は、雇う側と雇われる側が合意することで成立します。場合によっては、お互いに歩み寄ることも必要です。雇われる側が雇う側の懸念を払拭するために、積極的に試用期間を受け入れることも有効です。例えば、「とりあえず1カ月間働かせてください。その状況を見て正式採用するか否かを決めていただいて結構です」と雇われる側が表明。試用期間中の給料は低く抑え(もちろん最低賃金を下回ることは論外ですが)、正式採用になったら本来の給与額との差を補填します。予定していた時給が1,500円の場合、試用期間中は1,200円とし、正式採用になったら差額の300円を追加で支払うという方式です。これで雇う側の負担感がある程度軽減され、「試しに働いてもらおうか」という行動に繋がるのではないでしょうか。
また、今回の「シニア世代の求職活動実態調査」の結果からは、採用に至っている人の特長となる部分も見えてきました。それは、「こだわりすぎないこと」と「選択の幅を広げること」です。調査では8割以上の方が条件を緩和して仕事を見つけ、その7割以上が仕事に満足しているというポジティブな結果が見いだされました。また、採用に繋がった人は、求職活動時に他者への相談や、自分が重視する点や妥協できる点を考える動きが結果として見られました。仕事探しは1人で考えていると視野が狭くなってしまいがちです。そんな時に家族や知人、キャリアカウンセラーなどと相談をしてみることで、それまで考えてはいなかった「業界」「職種」「働き方」の幅や候補が広がる可能性があります。
シニア世代の求職活動では、(1)就職にあたっての条件にこだわりすぎないこと、(2)求職活動の準備として、自分の強みを棚卸することや他の人に相談して選択の幅を広げること、(3)求職活動にあたっては、緩和できる条件をリストアップして視野を広げることの3点が大切だといえます。発想を少し変えれば、可能性は大きく広がると私は考えます。
<調査概要>
1. 60歳以上の仕事検索動向/積極募集求人動向調査
・調査主体:Indeed Japan株式会社
・調査対象期間:2018年7月〜2023年7月
<仕事検索動向>
・調査方法:対象期間において、日本のIndeed上の全仕事検索に対する①「60歳」または「60代」、②「70歳」または「70代」、のキーワードを含む検索割合を算出(100万件あたりの検索数)
<求人動向>
・調査方法:対象期間において、日本のIndeed上に掲載されている全求人における60歳以上を積極的に募集している求人*割合を算出(100万件あたりの求人数)
*①「60歳」または「60代」、②「70歳」または「70代」、③「80歳」または「80代」と、積極的に募集をしていると考えられるキーワード(「募集」「応募可」「積極採用」「歓迎」「OK」)との複合語が含まれる求人を定義し、算出
2. 「シニア世代(60歳以上対象)の求職活動実態調査」概要
・調査主体:Indeed Japan株式会社
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2023年8月10日(木)~8月15日(火)
<事前調査>
・調査対象:60代~80代の男女30,198名
<60歳以降に「経済的な理由」で求職活動を実施したことのある人を対象とした調査>
・調査対象:60代~80代で「経済的な理由」で求職活動を実施したことのある男女1,579名
・集計:人口構成比による性・年代と、採用経験の有無の出現率を考慮し、ウェイトバック集計を実施
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(Indeed Japan株式会社/ 9月8日発表・同社プレスリリースより転載)