組織文化に関する調査研究
自社の組織文化『家族文化』42.7%『イノベーション文化』25.6%。集団で協力して成果をあげる意識に差
「識学」を使った経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する株式会社識学(本社:東京都品川区、代表取締役社長:安藤広大)は、2023年4月21日(金)~4月24日(月)「組織文化に関する調査」を行いました。
全国の経営者・役員・会社員に、自社の組織文化を聞いたところ、調和や連帯感を重視する『家族文化』が42.7%と最も多い一方で、上場企業では目標達成や市場での競争に勝ち抜こうとする『マーケット文化』が醸成されていることがわかりました。また従業員数100名を境にして「集団で協力して成果をあげる」ことの意識に差があることがわかりました。
■調査背景
企業が成長していく過程でぶつかると言われる従業員数の30人の壁、50人の壁、100人の壁、売上の2億円の壁、10億円の壁、30億円の壁。
会社の成長痛とも言える『〇〇の壁』の原因が各企業の組織文化にあるのではないかと考え、今回はミシガン大学のロバート・クイン、キム・キャメロンらにより開発された、「競合価値観フレームワーク」をベースとして、調査・分析を実施いたしました。
■調査トピックス
・4割以上の会社が『家族文化』の傾向があり、『イノベーション文化』の傾向を持つ企業は25.6%程度にとどまる。
・上場企業または上場を検討している企業では『マーケット文化』の傾向が高く、企業の成長のカギ。
・従業員数100名を境にして、集団で協力して成果をあげる傾向が強い。
■調査詳細
企業の組織文化は家族、仲間意識の強い親密性を重んじる “家族文化”が42.7% 企業の成長のカギはマーケット文化の醸成
従業員数10名以上の企業にお勤めの経営者・役員・部長職の会社員の方に「お勤めの会社の企業文化についてあてはまるものをお答えください」と聞いた結果をスコアリングしたところ、家族、仲間意識の強い親密性を重んじる「家族文化」は42.7%、安定、統制を重視する「官僚文化」は39.8%と、内部志向の傾向が高い組織文化が多いことがわかりました。
またスタートアップに代表されるような変化、創造を追及する「イノベーション文化」については25.6%となっており、まだ日本国内では少ないことがわかりました。
会社の上場区分別で組織文化の結果を比較すると、上場企業では目標達成や市場での競争に勝ち抜こうとする「マーケット文化」が48.9%と最も高い傾向となりました。また上場を検討している企業は「官僚文化」「家族文化」「マーケット文化」がいずれも50%弱であることがわかりました。これは上場を準備するにあたり、内部統制を進める必要があることや高い成長性を求められることによって、組織文化が急速に変化し、混在していることが予想されます。
企業の成長のためには、マーケット文化をいかに社内に醸成させるかがカギになると考えられます。
売上規模10億円を境に企業文化に違いが見られる。
企業文化について売上規模別の特徴を把握するためにコレスポンデンス分析を行ったところ、売上規模10億円を境に上下方向に大きく分かれることになりました。上方向では「組織を束ねているのは、ゴールや目標の達成である」、「組織構造化され、よく管理されており、規定された形式的な手続に乗っ取って行われることが多い。」といった「官僚文化」や「マーケット文化」の特徴がみられる一方で下方向では「非常に人間的なつながりを大切にし、家族的であり、同じ価値観・考えを共有している。」といった「家族文化」の特徴が強くみられました。
創業時はマーケット文化・イノベーション文化が強いが年数がたち経営基盤が安定することで家族文化への変化が生まれる
企業文化について創業年数別での特徴を把握するためにコレスポンデンス分析を行ったところ、創業年数が5年未満では「新しいことへの挑戦」や「ライバルとの競争」といった「イノベーション文化」や「マーケット文化」の特徴がみられるのに対して、「5~10年未満」、「10~15年未満」では「家族文化」の特徴が強くなる傾向がわかりました。これは年数がたつにつれて、経営基盤が安定してくることによって、「家族文化」が醸成されてくるのではないかと考えられます。
業務の進め方は従業員数100名を境に大きく変化 集団での成果を意識できる仕組みが重要業務の進め方や風土についてあてはまるものをお聞きしたところ、従業員数が100名以上かどうかで回答の傾向には大きな差が見られました。従業員数が100名以上の企業では「組織から与えられた役割」を「ルールに従った判断」で「同僚と助け合い」ながら「集団で協力して成果をあげる」ことが求められていることがわかりました。この傾向は上場企業でも同様の傾向がみられており、大きな成果を出すためには集団での成果を意識する必要がありそうです。
また「仕事の成果が見えやすい」については、従業員数が「10~30人」が49.1%と最も高く、従業員数が増えるにつれて下がる結果となりました。
これは従業員数が少ない企業では個人の技術であるテクニカルスキルがそのまま成果となっており、従業員数が増えた企業では、分業を行うことで全体の仕事の成果を個々人が認識しづらいのではないかと考えられます。
企業における30人の壁とは上下関係がある組織体制の構築の不備
業務や風土の回答結果について従業員数別のコレスポンデンス分析を行ったところ、『10~30人』では自分のペースで、上下関係を気にせず、個人の役割が明確で個人の主体的な判断を重視するというスタイルに対して、『100人以上』では計画にそって、ルールに従った判断を重視して集団で協力して成果を上げるという大きな違いがみられました。
また『10~30人』と『30~50人』が上下方向に大きく分かれてプロットされており、これは「上下関係が明確」かどうかによるもので、企業成長における30人の壁とは『上下関係がある組織体制の構築の不備』ではないかと考えられます。
【調査結果まとめ】
- 上場企業または上場を検討している企業では、未上場企業(上場検討なし)に比べてマーケット文化が強い傾向にある。
- 売上規模10億円以上の企業では、官僚文化やマーケット文化が強い傾向にある。一方で、10億円未満の企業では、家族文化が強い傾向にある。
- 従業員数が100人以上の企業では、計画にそって、ルールに従った判断を重視し、集団で協力して成果を上げるという特徴がある。一方で、10人以上30人未満の企業では、上下関係を気にせず、個人の役割が明確で、主体的な判断を重視する特徴がある。
■調査概要
調査機関:株式会社識学
調査対象:全国の従業員数10名以上300名以下の企業に勤める22歳~65歳
会社経営者・役員・部長職以上の会社員
有効回答数:1000サンプル
調査期間:2023年4月21日(金)~ 2023年4月24日(月)
調査方法:インターネット調査
※本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社識学 / 5月31日発表・同社プレスリリースより転載)