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ニュース
人事サービス 人材育成・研修
掲載日:2007/11/06

産総研、若手博士のキャリア開発情報を発信するサイト
「Dr'sイノベーション」を開設

ポイント
・ ポスドクなど若手博士のキャリア開発に関する情報を発信するインターネットサイト 「Dr's(ドクターズ)イノベーション」を開設。
・ 高度な技術・知識を持つ博士が、知識基盤社会を支え、社会の多様な場で活躍するための環境整備の一つ。
・ 産総研による人材開発を通じたイノベーション推進施策の一環として運営。

概要
独立行政法人 産業技術総合研究所(吉川弘之・理事長、 以下「産総研」という)能力開発部門【部門長 塩田康一】は、理系博士研究者のキャリア開発情報を発信するサイト「Dr'sイノベーション(ドクターズイノベーション)」を10月29日に開設しました。その目的は、高度な技術・知識を持つ理系若手博士研究者のキャリア開発を広く支援し、社会の様々な場所でその能力を発揮するための環境整備を行い、人材開発を通してイノベーションを推進することにあります。

◇ 「Dr'sイノベーション(ドクターズイノベーション)」
http://unit.aist.go.jp/humanres/ci/phd-career/

このサイトは、産総研が実施機関として推進する文部科学省委託事業「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業-筑波研究学園都市を中心としたイノベーション人材創出モデルの確立」プログラムの一環として運営します。本事業では、筑波研究学園都市を中心とした就職支援、セミナー開催などの取り組みを実施していますが、さらに、理系若手博士研究者のキャリア開発に関するさまざまな情報を収集し本サイトから発信することで、この問題に関する情報拠点の役割を担い、人材育成を通じたイノベーション創出の推進を目指します。

社会的背景
近年、大学や独立行政法人などの研究機関では、博士号取得後に数年の任期を定めてプロジェクト研究などに従事するポスドクや任期付研究職員(以後、「ポスドク等」と呼ぶ)が増加しています。これは、優れた若手研究者が、その能力を最大限発揮できるようにするため、若手研究者の自立性確保と、柔軟で競争的な状況の中で研究に専念できる環境を整備することで国内の研究開発活動の活性化を図ることを目的として、政府が任期制ポストの導入を推進した結果です。

ポスドク等は各機関の研究成果の増大や人材流動化に大きく寄与しており、現在の研究活動に不可欠な存在となっています。加えて、博士号取得者は、その高度な技術・知識を持って、社会の多様な場で、知識基盤社会を支え、活躍すべき存在であることが期待されています。しかしながら、ポスドク等が任期を終えたあとの進路は不透明であるとの指摘もあります。第三期科学技術基本計画ではこの状況を受け、「博士号取得者の社会での広い活躍を実現するために彼らの人材育成を強化する」とあります。

特に、科学技術による社会構造を変えるような技術革新を目指すイノベーション創出については、政府の長期戦略指針「イノベーション25」においても、その基本的な考えとして『人材育成が最重要』とあり、人材育成の推進が謳われている。これらのことから、理系若手博士の人材育成は非常に注目を集めている。

開設の経緯
産総研は、かねてより能力開発部門内に人材開発企画室や能力開発センターを設置するなど、イノベーション人材育成に積極的に取り組んできました。特にポスドク等のキャリア開発支援については、独自に各種スキルアップ支援セミナーや企業就職説明会を開催するなど、社会の多様な場においてポスドク等経験者が活躍し、技術経営力の強化に資するための取り組みを進めてきました。

さらに、平成19年度からは、文部科学省委託事業「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業-筑波研究学園都市を中心としたイノベーション人材創出モデルの確立」プログラム(以下「産総研キャリアパス事業」と呼ぶ)を推進してきました。産総研に蓄積されたこれらのノウハウをもとに、多くの機関におけるキャリアパス多様化の取り組みを支援してきました。本プログラムは、国立大学法人筑波大学、財団法人政策科学研究所、株式会社WDBの協力を受けて推進しており、その目的は筑波研究学園都市を中心として、ポスドク等が特に産業界において社会に貢献する可能性を広げるべく、さまざまな環境整備を実施し、その中からイノベーション人材を創出するための持続可能な仕組みを創出することにあります。

また、筑波研究学園都市にとどまらず、より普遍的、全国的な事業として、ポスドク等の育成プログラム開発や、多様な情報の発信などを進めます。このたび、その一環として、ポスドクなど若手博士研究者のキャリア開発に関する情報を発信するサイト「Dr's イノベーション」を開設するに至りました。

内容
本サイト開設の目的は、全国的に注目を集めているポスドク等のキャリア開発に関するさまざまな情報を収集・発信し、この問題に関する情報拠点の役割を担うことです。この取り組みを通じて、最終的には人材育成を通じたイノベーション創出を推進します。

「Dr's イノベーション」は、各種多様な情報を収集し、一カ所で提供することで、インターネット上に分散して蓄積されてきた本問題に関する情報へのアクセスを格段に向上させ、ポスドク等のキャリア開発に興味を持つ方がインターネット上で情報を収集する際の一助となることを目指します。具体的には以下の情報を提供します。

・ イベントカレンダー
ポスドク等のキャリア開発はしばしば新聞等で取り上げられるなど、社会的に大きな注目を集めており、本問題に関係するセミナー、シンポジウムなどのイベントもさまざまなものが開催されている。それらの情報をまとめて閲覧することを可能にすることで、個々のイベントの情報へのアクセスを簡便にすると共に、国内における動向を即時に把握することができる。

・ 企業求人情報
ポスドク等を対象とした求人を行っている企業の情報を掲載する。現在ポスドク等に関する求人情報は、大学新卒等と比べ、情報がまとまっておらず、求人を出す企業側と職を求める研究者側の情報疎通に問題がある。多くの求人情報を集め、企業、研究者双方の閲覧者を増やすことで就職マッチングの効率化を目指す。

・ 社会動向報告
ポスドク等のキャリア開発は日本国内でも盛んに議論されているが、世界的に見ても非常に注目を集めるトピックであり、多様な議論、取り組みが展開されている。特に欧米では日本に比べ先進的な取り組みも散見される。こういった国内外の取り組みに関する情報に簡単にアクセスすることができるようにし、多様な関係者の意識及び知識の向上に寄与する。

上記の他、近々開始予定の「若手研究者キャリア開発メールマガジン」の紹介やバックナンバーの提供や、本問題について言及している各機関などのへリンクなど、本問題に関する情報を収集・発信します。

さらに、産総研キャリアパス事業では、本サイトからの情報発信の他に、就職支援セミナー、シンポジウムなどの取り組みの情報発信も行っています。本事業では、多様なシンポジウム・セミナー等を開催しており、それらの情報を「Dr's イノベーション」から発信することで、筑波研究学園都市に限らず、全国に対して有益な情報を提供したい。

シンポジウムについては、本年度は『現代における研究者のあり方とその育成環境』について大学・独法・企業のトップクラスの方を招き、理念構築を目指して実施する。人材育成担当者や人事担当者向けにも若手のキャリア開発について議論するセミナーを実施します。

また、ポスドク等対象としたセミナーとして、研究者として一般に必要な予算獲得や研究マネジメントなどの「自分の考えを実現するためのテクニック」や、コミュニケーションやテクニカルライティングなどの「自分の考えを伝えるためのテクニック」、企業において研究者として働く際の実態の紹介、実際の就職活動に関する面接対策などのスキル等、多種多様なセミナーを開催する予定です。こういったイベントの情報を本サイトにて広く発信していきます。

今後の予定
産総研キャリアパス事業では、継続的にポスドク等のキャリア開発情報や当事業実施のセミナー等イベント情報を発信していきます。また、事業終了後も継続して情報発信を行えるような枠組みを構築する予定です。

用語の説明
キャリアパス
さまざまな仕事を行っていく中で、各自の能力を高めていき、自己の価値を明確に位置づけ、そこから導き出される目的を達成するための仕事の経歴のこと。

ポスドク
ポストドクトラルフェローの略。博士号取得後、研究機関等で有期雇用されプロジェクト研究等に従事する若手研究者の一形態。若手博士の武者修行的期間と考えられている。

科学技術基本計画
科学技術基本計画は、今後10年間程度を見通した5年間の科学技術政策を具体化するものとして日本政府が策定するもの。現在は第3期計画であり、平成18年度から平成22年度までの5年間を対象としている。

イノベーション25
日本政府が策定した、2025年までを視野に入れた成長に貢献するイノベーション創造のための長期的戦略指針のこと。平成19年6月1日に閣議決定された。

技術経営
技術開発の特性と経営者として必須のスキルを共に理解し、融合する経営のあり方。イノベーション推進に当たって重要な考え方とされている。産業技術総合研究所はその業務として「技術経営力の強化に寄与する人材を養成し、その資質の向上を図り、及びその活用を促進すること」(産業技術総合研究所法)を推進している。
(独立行政法人 産業技術総合研究所 http://www.aist.go.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・11月6日)

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