事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2021年)
BCP策定率は17.6%、過去最高も低水準にとどまる
~ 特に中小企業の取り組みが課題、大企業との差は縮まらず ~
2021年は、東日本大震災から10年が経過した節目の年に当たる。その間にも台風や地震などの自然災害は各地で相次ぎ、さらに新型コロナウイルスの感染拡大やサイバー攻撃の増加など、企業活動に影響を及ぼすリスクは山積している。そうしたリスクを事前に想定し、発生後の対応措置などを事前に準備しておくことは、事業の継続のみならず企業価値の維持や向上の観点からも欠かせない要素となっている。
そこで、帝国データバンクは、事業継続計画(BCP)に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年5月調査とともに行った。
※調査期間は2021年5月18日~31日、調査対象は全国2万3,724社で、有効回答企業数は1万1,242社(回答率47.4%)。なお、事業継続計画(BCP)に関する調査は、2016年6月以降、毎年実施し、今回で6回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンラインに掲載している
<調査結果>
- 事業継続計画(BCP)を「策定している」と回答した企業の割合は17.6%(前年比1.0ポイント増)となった。BCP策定率は年々緩やかに上昇し過去最高となったものの、未だ低水準にとどまっている。規模別でみると大企業は32.0%、中小企業は14.7%となり、それぞれの規模で増加傾向にある
- BCPを『策定意向あり』とする企業のうち、事業継続が困難になると想定するリスクでは、「自然災害」(72.4%)がトップとなり、5年連続で最も高い(複数回答、以下同)。次いで、新型コロナウイルスなどの「感染症」(60.4%)や「設備の故障」(35.8%)が続く。また、近年はサイバー攻撃の数も増加しているなか、「情報セキュリティ上のリスク」(32.9%)も上位となった
- BCP策定の効果では、既に策定している企業では「従業員のリスクに対する意識が向上した」が55.5%でトップ(複数回答、以下同)。また、企業からは「BCP策定は入札評価にあたっての加点材料になる」ケースや、「事業継続力強化計画の認証によって税制優遇の対象となった」などのメリットも多く聞かれた
- BCPを策定していない理由では、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」(41.9%)がトップ (複数回答、以下同)で、突出して高かった。策定における人材、時間、費用の確保も引き続き課題となっている。また、中小企業では「必要性を感じない」「自社のみ策定しても効果が期待できない」の割合が高く、BCPに対して懐疑的に考えている様子がうかがえる
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(株式会社帝国データバンク / 6月14日発表・同社プレスリリースより転載)
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