『働き方改革』と組織マネジメントに関する実態調査
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤島 敬太郎)組織行動研究所は、「『働き方改革』と組織マネジメントに関する実態調査」の結果を公開しました。2017年に引き続き2回目の実態調査となります。159社の回答結果をもとに、【2年前と比較しての、企業の「働き方改革」の進捗や成果実感】【「働きやすさ」「働きがい」の高まった企業の「働き方改革」の特徴】など、調査結果から見える実態について公表しました。 詳細は3月12日に公表した当社Webサイトの調査レポートや冊子PDFからもご参照いただけます。
1.調査実施の背景
2017年3月の「働き方改革実行計画」政府発表以来、「働き方改革」は喫緊の課題として多くの企業で議論され、2019年4月1日には一部の関連法案が改正されました。法対応を完了し、「働き方改革」はその役割を終えたのでしょうか。それとも、さらなる理想を目指す取り組みへと深化・進化していくのでしょうか。
当社では、2017年に「『働き方改革』の推進に関する実態調査」を実施し、結果を広くご報告いたしましたが、この度、継続調査として「『働き方改革』と組織マネジメントに関する実態調査」を企画いたしました。今回の継続調査では、組織マネジメントとの関連が「働き方改革」推進の鍵と考え、一歩踏み込んだ調査を目的としています。
2.結果のポイント
<「働き方改革」の進捗と成果実感、推進課題>
- 「働き方改革」の成果実感を得ている企業の割合は、2017年度と比べて増加
- しかし内訳をみると、「労働時間減少」に対する成果実感を得ている企業の半数程度しか、「業務効率・生産性向上」の成果を実感できていない
- 「働き方改革」の進捗について、<苦戦>する企業が半数ある一方、27.0%が<順調>、13.8%は<拡張>に取り組む
- <苦戦>群では、「予算や権限」「改訂ノウハウ」が不足、「現場や他部署との連携」が課題
- 「働き方改革」の推進課題の共通点は、「管理職の負荷」「部門・職種による状況の違い」
<「働きやすさ」と「働きがい」の両立>
- 「働きやすさ」と「働きがい」を同時に高める「働き方改革」が、組織に「協働・共創」を生み出すことが示唆される
- 「働きやすさ」と「働きがい」両方が高まっている企業群の「働き方改革」の進め方の特徴は、
・「複数部署の連携・協働体制」に加え、事業現場と「対話的な推進」をしている
・生産性向上施策において、【業務改善・効率化】【組織・事業デザインの見直し】に積極的に取り組んでいる
・働き方の多様化施策として、「高年齢者雇用の促進」「男性を対象とした子育て支援」など、対象者の広い施策を導入している傾向がある
・働き方の柔軟化施策において、「フリーアドレス」「転勤見直し」「OB·OGネットワーク」「副業兼業の許可推進」「在宅勤務」「長期休職制度」を導入している傾向がある
3.組織行動研究所のコメント
リクルートマネジメントソリューション 組織行動研究所
主任研究員 藤澤理恵
2017年から2019年の2年間は、日本企業における「働き方」が大きく転換する節目の時期であったことが、実態調査の結果に現れています。長時間労働が見直され、時間や場所、副業・兼業など働き方の選択肢が増え、多様な人の労働参加を踏まえ同一労働同一賃金などの議論が進んでいく方向性が伺えます。
一方で「何か時代の大きな流れによって、思いもよらぬ変革が始まってしまった……」という思いをもつ方も多くいると思います。しかし、そのような中でも目的を見定め、手応えを得ながら改革を進めている企業もあります。本調査は、社会のトレンドを捉えるだけでなく、そのような先進的な企業群の考え方ややり方に学ぶことも目的としています。
当初、漠然とせざるを得なかった「働き方改革」の目的は、焦点が絞られていくというよりは、むしろ、社会・自社・従業員といった幅広いステークスホルダーの短期・長期の持続的な繁栄を視野に入れる方向にシフトしていくようです。舵取りはますます難しくなります。
その時に大事になるのは、個と組織を生かすための対話です。つまり、全社一律のルールやツールを導入するフェーズを抜けて、個人の尊重と同時に、事業成果に向けた協働・共創を生み出すために、何が必要かを人事が事業の現場に出て事業と一緒に悩むということです。そして、そこから学んで、多様な人が生かされる制度づくりに生かす、「対話型働き方改革」の段階と言えるでしょう。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ / 3月12日発表・同社プレスリリースより転載)